【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

文字の大きさ
133 / 156
幼馴染が大切ならわたしとは離縁しましょう。

要らないわ。

しおりを挟む
 ダレンをアデリーナとの買い物へと追い出して、また庭の手入れを始めた。

 じっちゃんは仕事を終わらせてまた庭へと帰ってきた。

「嬢ちゃん、まだやってたのか?」

 一人雑草抜きと土を耕しているとじっちゃんが呆れていた。朝からずっと庭いじりしてるもの、でも他にやりたいこともないし。

「はい。だってダレンの奴、『ミズナに香水?』って言って笑ったんですよ!
 わたしに似合わないからって笑うなんて失礼だわ。思い出すと頭にくるんです!」

 フーッハーと深呼吸。落ち着いて落ち着いて。

「絶対素敵な香水を作って『アデリーナにプレゼントしてあげて』って一番に渡してやるんだから!」

「あははは、自分の旦那に、他の女に自分の作ったものをプレゼントをさせるつもりなのか?」

「だって悔しいじゃないですか?いつも人のことを馬鹿にして!だから、わたしから『どうぞ』って。ダレンも香水もアデリーナにあげようかなって」

 幼馴染がそんなに大切ならアデリーナのところへ行けばいいのよ。

「アデリーナかぁ。あれは、まぁ、うん。ダレンもいかん。うん、ダレンもダメだ。だが、ダレンとアデリーナは幼馴染に過ぎん。それ以上でもそれ以下でもない」

 じっちゃんは何が言いたいのかしら?よくわからない。

「わたしとダレンも夫婦だけど、別にそこには愛も恋もありません。だからダレンがいつもアデリーナを優先するのも別にいいと思ってます。
 まあ、子供をよそで作られるといろいろ揉めて困るからそれだけはやめて欲しいと言ったけど」

「よそで子供?ミズナ、それダレンに言ったのか?」

「えっ?ええ、本人に直接言いましたけど?」

 ーーダメ?ダメだった?

 じっちゃんが黙り込んでしまったので、たじろいでしまう。

「ダレンは何か言わなかったか?」

 何か?

「『わかった』って言ってアデリーナと買い物にいきましたけど?」

「ミズナもダレンも素直じゃないな」

「ダレンはさて置き、わたしは素直ですよ?ダレンにムカつけば素直にムカついたと言うし、別に好きでもない相手との結婚なので幼馴染とイチャイチャしようと何も文句は言わないもの」

 うん、わたしは文句も言うけど認めてあげてる優しい妻だと思うの。

「そうか、そうか。ミズナにとってこの結婚は無理やりだったのか」

「幼馴染が大好きな男とわかっていて結婚したいとは普通の女性は思わないですよね?」

 わたしは肩をすくめた。

 もうダレンのことを話すのもいい加減疲れた。







 一日中庭いじりのおかげで今夜はゆっくり眠れそう。

 自分の部屋で一人ゆっくりと夕食をいただく。

 実家ではみんなでわいわいと楽しく食事をしていた。なのに、ここではいつも一人。

 寂しくない、なんで強がりは今日は言えなかった。

 だって一人で黙々と食べるのは、どんなに上手な凄腕料理人が作ってくれても、あんまり美味しくない。

 美味しいはずなのに……

 好きな人と結婚してお嫁さんになって幸せになる。

 本当は夢見ていた。

 なのに……強がっていても虚しいものは虚しい。

「実家に帰りたい……」

 思わず溢れる本音。

 目の前にある肉汁溢れるサーロインステーキも生ハムのサラダもデザートのメロンも大好物なのに……美味しくない。


「なんで結婚したんだろう……ハアー………」

 半分以上料理を残してしまった。

 だけど食欲がない。

 仕方なく湯浴みを済ませ、ベッドに横になった。

「疲れた………」

 落ち込みながら目が閉じる。

 ウトウトしながら………いつの間にか眠りについた。







 カチャッ。

 ミズナの部屋に静かに入ってきたのはダレン。

「ミズナ……昼間はごめん。俺さ、アデリーナのこと愛してなんかいない。愛してるのはミズナだけなんだ」


 ダレンはミズナに向かってそう言うと、静かに眠るミズナに言った。

「あと少ししたら本当のことを話すから。だからどうか俺にまだチャンスを。お願いだからもう少し待ってて」

 そっとミズナの髪に触れようとしたけどダレンはやめた。

「おやすみ、良い夢を」



 ミズナはダレンが部屋を訪れたことも気づかずにスヤスヤと気持ちよく眠っていた。




しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな
恋愛
 伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。  そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。  その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。  そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。  ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。  堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

処理中です...