34 / 76
救出
しおりを挟む
ダイアナの元へ向かうのに公爵たちは邪魔でしかない。
「公爵、馬車で来てください、俺は先に馬で向かいます」
「場所はわかるのか?」
「公爵、馬は?」
「もちろんお前ほどではないが乗れる。ジェファは騎士達と馬車でおいで、悪いが先に行くよ」
一刻も早く彼女を見つけ出したい。一人の方が早いが場所がわからない。無闇に探し回るくらいなら多少遅くなっても一緒に行くしかない。
この人にも親としての感情はあったのだと思いながら共に馬を駆けた。
「遅い、早く!」
俺は公爵に敬意すら払わず怒鳴りながら向かった。
公爵が当たりをつけたのは船着場から1時間ほど離れた森の近くにある別荘地だった。
季節外れの今人があまり来ない場所。
確かに隠すにはちょうどいい。
よく見れば新しい車輪の跡がいくつもあった。
その後を辿れば「やはり別荘だったな」
公爵は鍵の束を取り出すと扉を開けた。
季節外で使われていないとは言え手入れはきちんとされていた。
中に人はいない。
静まり返った部屋の中、耳をよく澄ます。
しかしどこからも音は聞こえない。
もう日も落ちてきた。
「公爵、この別荘には地下とか貯蔵庫とか何かないんですか?」
「……わからない、ここは父上のものだったから」
「貴方は今公爵なんでしょう?」
「情けない話だが、この歳になっても父上の呪縛から逃れられない。ダイアナのことだって守りたいのに守れないでいる」
「一番は貴方の手から離してあげることだったのでは?」
「……君にはわからないよわたしの気持ちは」
「そうですね、でもダイアナには何も伝わっていないと思います」
「……それでいい……………うん?……確か……この別荘には…」
突然、考え込んだと思ったら別荘を飛び出した公爵は、森の中へと走り出した。
俺は黙ってついて行くことにした。
別荘の中にはいくら探してもダイアナはいなかった。
他のところにいるのか、それとも見つけられないだけなのか。今はこの人を信じるしかなかった。
森の奥には古ぼけた小屋があった。
公爵はその小屋の中に入ると中を見回した。
「確か……あった」
床には一目ではすぐにはわからない地下へ続く扉があった。床に座り込み小刀を出して小さな隙間にはを立てた。そして扉を持ち上げた。
「ここが地下になっているんだ。ここは囚人を入れたりもしもの時に隠れるように作られた地下への入り口だ」
ランプを持って地下の階段を降りると扉があった。
「ダイアナ?」名前を呼びながら公爵が持っている鍵の中から扉を開けた。
「………誰?」
か細い声が聞こえた。
「ダイアナ、怪我はないか」
「え?ま、まさか…」
ダイアナは自分の父親が助けに来るとは夢にも思っていないようだった。
「ダイアナ、立てるか?」
俺は彼女のそばへ行くとランプの灯りを足元に照らした。
怪我はないようだ。
「歩けるか?」
「はい、キース様助けにきてくれたんですね」
ダイアナは父親をチラッと見たがどう話しかけようか迷っているみたいだった。
俺は公爵のことに触れずにダイアナを立たせて抱き上げた。
「きゃっ」驚いたダイアナは「お、おろしてください。あ、歩け…ます」必死で俺の腕の中から抜け出そうとした。
「悪いが今はじっと抱っこされていてくれ。いつまた犯人が戻ってくるかわからないからな」
ダイアナをおろす気はなかったが警戒しているのは確かだった。
連れ去ったのにどうして監視する人すらいないのか。あまりにも無防備だと感じた。
ランプの灯を照らしてくれて先に階段を上がったのが公爵だった。
「な、何だ、やめなさい」
階段を上り詰めたところで揉めている声が聞こえた。
目を凝らすと公爵が男と争っているようだ。
「公爵、馬車で来てください、俺は先に馬で向かいます」
「場所はわかるのか?」
「公爵、馬は?」
「もちろんお前ほどではないが乗れる。ジェファは騎士達と馬車でおいで、悪いが先に行くよ」
一刻も早く彼女を見つけ出したい。一人の方が早いが場所がわからない。無闇に探し回るくらいなら多少遅くなっても一緒に行くしかない。
この人にも親としての感情はあったのだと思いながら共に馬を駆けた。
「遅い、早く!」
俺は公爵に敬意すら払わず怒鳴りながら向かった。
公爵が当たりをつけたのは船着場から1時間ほど離れた森の近くにある別荘地だった。
季節外れの今人があまり来ない場所。
確かに隠すにはちょうどいい。
よく見れば新しい車輪の跡がいくつもあった。
その後を辿れば「やはり別荘だったな」
公爵は鍵の束を取り出すと扉を開けた。
季節外で使われていないとは言え手入れはきちんとされていた。
中に人はいない。
静まり返った部屋の中、耳をよく澄ます。
しかしどこからも音は聞こえない。
もう日も落ちてきた。
「公爵、この別荘には地下とか貯蔵庫とか何かないんですか?」
「……わからない、ここは父上のものだったから」
「貴方は今公爵なんでしょう?」
「情けない話だが、この歳になっても父上の呪縛から逃れられない。ダイアナのことだって守りたいのに守れないでいる」
「一番は貴方の手から離してあげることだったのでは?」
「……君にはわからないよわたしの気持ちは」
「そうですね、でもダイアナには何も伝わっていないと思います」
「……それでいい……………うん?……確か……この別荘には…」
突然、考え込んだと思ったら別荘を飛び出した公爵は、森の中へと走り出した。
俺は黙ってついて行くことにした。
別荘の中にはいくら探してもダイアナはいなかった。
他のところにいるのか、それとも見つけられないだけなのか。今はこの人を信じるしかなかった。
森の奥には古ぼけた小屋があった。
公爵はその小屋の中に入ると中を見回した。
「確か……あった」
床には一目ではすぐにはわからない地下へ続く扉があった。床に座り込み小刀を出して小さな隙間にはを立てた。そして扉を持ち上げた。
「ここが地下になっているんだ。ここは囚人を入れたりもしもの時に隠れるように作られた地下への入り口だ」
ランプを持って地下の階段を降りると扉があった。
「ダイアナ?」名前を呼びながら公爵が持っている鍵の中から扉を開けた。
「………誰?」
か細い声が聞こえた。
「ダイアナ、怪我はないか」
「え?ま、まさか…」
ダイアナは自分の父親が助けに来るとは夢にも思っていないようだった。
「ダイアナ、立てるか?」
俺は彼女のそばへ行くとランプの灯りを足元に照らした。
怪我はないようだ。
「歩けるか?」
「はい、キース様助けにきてくれたんですね」
ダイアナは父親をチラッと見たがどう話しかけようか迷っているみたいだった。
俺は公爵のことに触れずにダイアナを立たせて抱き上げた。
「きゃっ」驚いたダイアナは「お、おろしてください。あ、歩け…ます」必死で俺の腕の中から抜け出そうとした。
「悪いが今はじっと抱っこされていてくれ。いつまた犯人が戻ってくるかわからないからな」
ダイアナをおろす気はなかったが警戒しているのは確かだった。
連れ去ったのにどうして監視する人すらいないのか。あまりにも無防備だと感じた。
ランプの灯を照らしてくれて先に階段を上がったのが公爵だった。
「な、何だ、やめなさい」
階段を上り詰めたところで揉めている声が聞こえた。
目を凝らすと公爵が男と争っているようだ。
403
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
旦那様は離縁をお望みでしょうか
村上かおり
恋愛
ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。
けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。
バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。
婚約者から婚約破棄されたら、王弟殿下に捕まった件
みおな
恋愛
「ルチル、君との婚約を破棄させてもらう」
五年間、婚約者として交流して来た王太子であるランスロットから婚約破棄を告げられたクォーツ公爵家の令嬢であるルチル。
「ランスロットと婚約破棄したって?なら、俺と婚約しよう」
婚約破棄をきっかけに、領地に引きこもる予定だったルチルに、思いがけない婚約の打診が。
のんびり田舎生活をしたいルチルだが・・・
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる