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イザベラ編②
「はあ?邪魔!ふざけないで!わたしを誰だと思っているの?レテーシア様に似ているからとおじ様が選んで結婚させてもらって、次期公爵夫人なんて言われてるけどスティーブ様に愛されることもなくもうすぐ離縁されるって噂でみんなあんたのことなんか見下しているのよ!」
“レテーシア”
禁句の言葉。
体調が悪くぐったりしているはずのおば様が突然暴れ始めた。
「い、いやあ!わたしは、わたしは………、どうして我慢しないといけないの?あんたなんか死んだらいいのよ!」
お腹の痛みでぐったりしていたはずのおば様が立ってセレンのところに歩み寄って行く。
セレン様は一歩後ろに下がった。
ジリジリとセレン様に近づいて泣き叫んでいた。
「あんたがわたしを苦しめるの。あんたなんか死ねばいい!!!」
手がセレン様の首に近づいてきた。
するとセレン様はおば様を突然抱きしめた。
「辛かったのですよね?ずっと我慢して……もう大丈夫です」
「何が大丈夫だと言うの?ずっと夫の浮気に気づいているのに気づかないふりをして生きることがどれだけ辛いと思うの?死んでしまいたいのに……息子達がいなければいつでも死ねたのに……離縁も死ぬことも出来ない………」
おば様は最初暴れていた。だけど大人しくなっていきセレン様の腕の中で泣き続けた。
そして蹲るように倒れた。
それを見た騎士団の人達がどうすればいいのか迷っていた。
「セレン様、奥様は?」
「うん今、心の癒しの魔法をかけたの。現状はどうも出来ない。だけど心だけでも癒してあげたくて。今からお義母様の治療を始めるわ。イザベラ様にはこの場所から退いて貰います。煩くて仕方がないの」
するとスティーブがセレン様に向かって言った。
「セレン、イザベラを治療してやってくれ」
ーースティーブはやはりわたしを愛しているのね。
「はっ?なぜですか?」
ーーそこはわかりましたではないの?
「俺は薬で治す。だから頼む」
「…………」
セレン様は返事をしない。
セレン様の不機嫌な顔にわたしはとても気分が良くなりクスッと笑った。
「ほら早くしてくださいな。薬はまだ飲んでいないわ」
勝ち誇ったわたしの笑顔に顔を顰めるセレン様。
「………わかりました。スティーブ様の代わりです」
「そんな、スティーブ様が治るのにどれくらい掛かることになるのですか?」
周りの団員達が慌て始めた。
「知りません。たぶん……一月もあれば完治するのでは?本人がそれでいいと言うのならそれでいいのでしょう。わたしはあと少しでここを去るので関係ありませんから。ではイザベラ様治療しますね」
「ええさっさとしてちょうだい」
セレン様はわたしのお腹に手を当てて魔力を流し込んだ。
「い、痛いわ、なに今までより痛いじゃない!ぎゃっ!こんなことして許されると思っているの?」
「スティーブ様には薬を飲ませて。わたしは他の人の治療にあたります」
セレン様はさっさと他の人を治療し始めた。
わたしは治療の後すっかり元気になったけど、あの治療は考えられないくらい痛かった。
何が癒しの治療よ!
本当セレン様って使えない女ね。
ま、でもあと少しでこの屋敷を出ていくんだから、我慢してあげなくっちゃ。
でもムカつくから去り際に「こんな痛い癒しの治療なんて聞いたことがないわ。ほんっとこんなに痛いなら薬飲んでおけばよかったわ」と吐き捨ててやったわ。
ーーあー、スッキリしたわ!
そして………
「スティーブ、やっとセレン様が居なくなったわね?わたし達結婚出来るのよ?それも白い結婚だったから傷一つついていないわ。わたしも貴方も初婚になるのよ?」
スティーブに抱きついて彼の顔を見上げた。
「ねえ、この屋敷にすぐに引っ越して来てもいいかしら?わたし公爵夫人としていっぱいおしゃれして着飾って貴方に恥ずかしくないように振る舞うわ」
スティーブは何にも返事をしてくれない。
仕方なく彼の頬をそっと触った。
「もう照れなくてもいいのよ?わたしの全てを貴方にあげるわ。ふふ、セレン様には出来なかったこといっぱいさせてあげる」
彼の唇にキスをしようとしたら
「やめてくれ!俺は何度も言っただろう?君を愛してはいない」
「酷いわ、貴方が体調悪い間ずっと看病してあげたじゃない」
「君が勝手に俺の部屋に押しかけて勝手に話をして帰っていただけだろう?あれは看病とは言えない」
「貴方はわたしにセレン様の治療を譲ってくれたじゃない。愛しているからわたしが不憫だったのでしょう?」
「はっ?違う。セレンの治療は多少の痛みを伴う。君に少しは痛さを実感してもらうためだ。そうすれば少しは人の気持ちもわかるかと思ったんだ。決して君のためなんかではない」
「酷いわ、あんな痛みをわたしに態と実感させたというの?」
「君は自分の気持ちばかりを人に押し付ける。相手の気持ちを理解しようともしない。そんな君にどうやったら愛情が持てるというんだ?」
「そんなの簡単よ、美しくて可愛らしい。全ての人から愛されて当たり前のわたしをそのまま受け止めたらいいのよ」
「もう二度と君の顔なんて見たくない。出て行ってくれ!セレンがこの屋敷から出て行ったんだ。もう君に優しくする必要はない。君がセレンに害を与えないと分かれば俺も我慢なんてする必要はないんだ!
俺はこの世界でもし君と俺二人っきりになっても君だけは愛さないし結婚だって絶対にしない」
「な、な、何、を言っているの?ふざけないで!怒るわよ?」
「君が怒ろうと怖くなんてない。セレンが傷つけられることだけが怖かったんだ。もうセレンは俺のそばにいない。俺は……公爵家を出る……つもりだ」
「どう言うこと?わたしは公爵夫人になるために貴方のそばにいたのよ?」
「君がこの部屋から出ないのなら俺が出ていく。もう二度と俺の前に顔を見せるな、そしてセレンに何かすればお前を殺す、わかったな?」
「ひっ‼︎」
スティーブの顔がとても怖かった。
まるでわたしが何か悪いことでもしたみたいに……そして彼は本当に部屋から出て行った。
ううん、この屋敷からそのまま姿を消してしまった。
わたしの愛するスティーブは、ストマのせいで寝込んでいたから精神的に参ってしまったのだろう。
また元気になったら戻って来ていつもの優しいスティーブに戻ってわたしを迎えに来てくれるはず。
ゆっくりと待っていよう。
だってわたしはスティーブに愛されているのだもの。少しくらいイライラしたスティーブもかっこよかったわ。
◆ ◆ ◆
【家族に冷遇された姫は一人の騎士に愛を捧げる。貴方を愛してもいいですか?】
始めました。もし宜しければ読んでみてくださいね。
切ない話です。
“レテーシア”
禁句の言葉。
体調が悪くぐったりしているはずのおば様が突然暴れ始めた。
「い、いやあ!わたしは、わたしは………、どうして我慢しないといけないの?あんたなんか死んだらいいのよ!」
お腹の痛みでぐったりしていたはずのおば様が立ってセレンのところに歩み寄って行く。
セレン様は一歩後ろに下がった。
ジリジリとセレン様に近づいて泣き叫んでいた。
「あんたがわたしを苦しめるの。あんたなんか死ねばいい!!!」
手がセレン様の首に近づいてきた。
するとセレン様はおば様を突然抱きしめた。
「辛かったのですよね?ずっと我慢して……もう大丈夫です」
「何が大丈夫だと言うの?ずっと夫の浮気に気づいているのに気づかないふりをして生きることがどれだけ辛いと思うの?死んでしまいたいのに……息子達がいなければいつでも死ねたのに……離縁も死ぬことも出来ない………」
おば様は最初暴れていた。だけど大人しくなっていきセレン様の腕の中で泣き続けた。
そして蹲るように倒れた。
それを見た騎士団の人達がどうすればいいのか迷っていた。
「セレン様、奥様は?」
「うん今、心の癒しの魔法をかけたの。現状はどうも出来ない。だけど心だけでも癒してあげたくて。今からお義母様の治療を始めるわ。イザベラ様にはこの場所から退いて貰います。煩くて仕方がないの」
するとスティーブがセレン様に向かって言った。
「セレン、イザベラを治療してやってくれ」
ーースティーブはやはりわたしを愛しているのね。
「はっ?なぜですか?」
ーーそこはわかりましたではないの?
「俺は薬で治す。だから頼む」
「…………」
セレン様は返事をしない。
セレン様の不機嫌な顔にわたしはとても気分が良くなりクスッと笑った。
「ほら早くしてくださいな。薬はまだ飲んでいないわ」
勝ち誇ったわたしの笑顔に顔を顰めるセレン様。
「………わかりました。スティーブ様の代わりです」
「そんな、スティーブ様が治るのにどれくらい掛かることになるのですか?」
周りの団員達が慌て始めた。
「知りません。たぶん……一月もあれば完治するのでは?本人がそれでいいと言うのならそれでいいのでしょう。わたしはあと少しでここを去るので関係ありませんから。ではイザベラ様治療しますね」
「ええさっさとしてちょうだい」
セレン様はわたしのお腹に手を当てて魔力を流し込んだ。
「い、痛いわ、なに今までより痛いじゃない!ぎゃっ!こんなことして許されると思っているの?」
「スティーブ様には薬を飲ませて。わたしは他の人の治療にあたります」
セレン様はさっさと他の人を治療し始めた。
わたしは治療の後すっかり元気になったけど、あの治療は考えられないくらい痛かった。
何が癒しの治療よ!
本当セレン様って使えない女ね。
ま、でもあと少しでこの屋敷を出ていくんだから、我慢してあげなくっちゃ。
でもムカつくから去り際に「こんな痛い癒しの治療なんて聞いたことがないわ。ほんっとこんなに痛いなら薬飲んでおけばよかったわ」と吐き捨ててやったわ。
ーーあー、スッキリしたわ!
そして………
「スティーブ、やっとセレン様が居なくなったわね?わたし達結婚出来るのよ?それも白い結婚だったから傷一つついていないわ。わたしも貴方も初婚になるのよ?」
スティーブに抱きついて彼の顔を見上げた。
「ねえ、この屋敷にすぐに引っ越して来てもいいかしら?わたし公爵夫人としていっぱいおしゃれして着飾って貴方に恥ずかしくないように振る舞うわ」
スティーブは何にも返事をしてくれない。
仕方なく彼の頬をそっと触った。
「もう照れなくてもいいのよ?わたしの全てを貴方にあげるわ。ふふ、セレン様には出来なかったこといっぱいさせてあげる」
彼の唇にキスをしようとしたら
「やめてくれ!俺は何度も言っただろう?君を愛してはいない」
「酷いわ、貴方が体調悪い間ずっと看病してあげたじゃない」
「君が勝手に俺の部屋に押しかけて勝手に話をして帰っていただけだろう?あれは看病とは言えない」
「貴方はわたしにセレン様の治療を譲ってくれたじゃない。愛しているからわたしが不憫だったのでしょう?」
「はっ?違う。セレンの治療は多少の痛みを伴う。君に少しは痛さを実感してもらうためだ。そうすれば少しは人の気持ちもわかるかと思ったんだ。決して君のためなんかではない」
「酷いわ、あんな痛みをわたしに態と実感させたというの?」
「君は自分の気持ちばかりを人に押し付ける。相手の気持ちを理解しようともしない。そんな君にどうやったら愛情が持てるというんだ?」
「そんなの簡単よ、美しくて可愛らしい。全ての人から愛されて当たり前のわたしをそのまま受け止めたらいいのよ」
「もう二度と君の顔なんて見たくない。出て行ってくれ!セレンがこの屋敷から出て行ったんだ。もう君に優しくする必要はない。君がセレンに害を与えないと分かれば俺も我慢なんてする必要はないんだ!
俺はこの世界でもし君と俺二人っきりになっても君だけは愛さないし結婚だって絶対にしない」
「な、な、何、を言っているの?ふざけないで!怒るわよ?」
「君が怒ろうと怖くなんてない。セレンが傷つけられることだけが怖かったんだ。もうセレンは俺のそばにいない。俺は……公爵家を出る……つもりだ」
「どう言うこと?わたしは公爵夫人になるために貴方のそばにいたのよ?」
「君がこの部屋から出ないのなら俺が出ていく。もう二度と俺の前に顔を見せるな、そしてセレンに何かすればお前を殺す、わかったな?」
「ひっ‼︎」
スティーブの顔がとても怖かった。
まるでわたしが何か悪いことでもしたみたいに……そして彼は本当に部屋から出て行った。
ううん、この屋敷からそのまま姿を消してしまった。
わたしの愛するスティーブは、ストマのせいで寝込んでいたから精神的に参ってしまったのだろう。
また元気になったら戻って来ていつもの優しいスティーブに戻ってわたしを迎えに来てくれるはず。
ゆっくりと待っていよう。
だってわたしはスティーブに愛されているのだもの。少しくらいイライラしたスティーブもかっこよかったわ。
◆ ◆ ◆
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どうぞよろしくお願い致します。