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18歳になりました。
仕事が終わりヘトヘトになりながら屋敷に帰ると執事のバッカムとエリノアがニコニコと出迎えてくれた。
5歳になった癒しのサムエルが「おかえりなさいませ」と言うとわたしの手を握って「早く早く」と中に入れと急かしてきた。
「どうしたの?サムエル?」
「ないしょ、だってセレンさまをおどろかさないといけないからないしょなの」
「そうなんだ、わかったわ内緒にしておこうね?」
「うん、セレンさまのおたんじょうびだからないしよなの」
「えっ?わたしの誕生日?」
ーー忘れてた。18歳になるのね。
15歳の時に結婚して16歳と半年になった時に離縁した。
そして1年以上騎士団の事務の仕事をしている。
うわあ、もう結婚適齢期が……
この国の貴族令嬢は15歳から20歳までには結婚する人が多い。
18歳になっても恋人も婚約者もいないわたしは完全に行き遅れになりつつある。
白い結婚で白紙になった結婚歴。
一応初婚として結婚できる。
だけど白い結婚だったことは消えることはない。
ーーうん、悩むのやめた。
とりあえずサムエルにお付き合いしなくっちゃ。
部屋に入ると使用人やマリアナ夫婦が「「「おめでとう!」」」と言って迎えてくれた。
「みんなありがとう」
サムエルはわたしの手を握ったままわたしのスカートを引っ張った。
そして手でこっちこっちと手招きをする。わたしにこっそりと話をしたそうだったのでしゃがんでサムエルの口元に耳を近づけた。
「あのね、セレンさま、ないしょ、うれしかった?」
と聞いてきたので
「もちろんよ。とっても嬉しいわ、サムエルありがとう」
「ぼくね、あそこのおはな、かざったんだ。それからね、おさらもきれいにふいたの、ちょっとだけおとしたけどわれなかった。
おかあさんにおこられるからこっそりきれいなところにいれたの、これもないしょだよ?」
「うんわかったわ」
ーー誰か落としたお皿で食事をするのね?
わたしはなんだかおかしくてクスクス笑った。
「セレンさまがわらった、ぼく、うれしい」
サムエルがニコニコしているので、わたしもニコニコして返した。
「サムエル、一緒に美味しい料理を食べましょう」
隣にサムエルを座らせて席に着くとサムエルが「これぼくがつくったサラダ」と言ってわたしの前に置いてくれた。
一生懸命に手で千切ったのだろう。
レタスがとっても大きいのとすっごくちいさいのがあって、トマトもどーんと大きく切られていて、豪快なサラダ。
「セレン様申し訳ありません。サムエルがどうしても自分の料理を食べてもらいたいと言って聞かなくて」
エリノアがすまなそうに謝った。
「とっても嬉しいわ、サムエルが作ってくれたんだもの」
「うん、いっぱいたべてね。おかわりもいっぱいあるから」
「ふふありがとう」
「セレンもサムエルには甘いわね」
目の前に座っているマリアナがクスクス笑って「トマト苦手なのにね?」
と言った。
「あら?マリアナももうすぐ母親になるのよ?わたしの気持ちがすぐにわかるわよ」
わたしはマリアナの大きなお腹を見てそう言うと
「サムエルは貴女の子じゃないじゃない」
「わたしの子供と同じよ。産んでいないだけで、ね?」
「セレンさまもおかあさん?」
「うん、二人目のお母さん」
「じゃあおかあさんいっぱいだね」
「うん、いっぱいだね」
わたしは苦手なトマトをサムエルの前なので美味しそうな顔をして食べた。
「もういっこいる?」
と聞かれたので
「もうお野菜はお腹いっぱいなので他のものも食べていいかな?」
「えーー?しかたないなぁ」
マリアナがクスクス笑って、「確かに親子みたいね?」と言ってくれた。
ーーわたしの癒しのサムエル。
毎日どんなに疲れても彼の顔を見ると疲れも吹っ飛んでしまう。
みんなに祝ってもらってわたしは少しお酒を飲んで酔っ払っていた。
一人で庭に出てボッーと星を眺めていた。
こんなにゆっくりとした気分はいつぶりかしら?
スティーブ様と婚約してからなんだか毎日が気が張って意地ばっかり張って………
あーー、わたしらしくないわ。うん、お酒のせいね。
お酒って人を惑わすのよ。思ってもないことを考えてしまうだけ……
別に寂しくなんかないし。
いつもイザベラ様にだけ優しくしてるの見ても悔しくなんてなかったし。
わたしにだけ冷たい態度をとるのだって平気だったもの。
イザベラ様が横にいるのを妻の前で普通許すもの?
ーーあり得ないわ。
離縁だってわたしから言い出したけどさっさとサイン書くんだもの。全くわたしのことなんてなんとも思っていなかったのよね。
ーー嫌われてるのはわかってたけど……わたしが何をしたと言うの?
そうよ!原因がわからないわ。
どうしてわたしがあそこまで嫌われないといけないの?
なんだかだんだんムカついてきた。
腹立つ!
あー、気持ちがいい。
このままここで寝ちゃおうかな。
「………セレン」
ーー優しい声でわたしを呼ぶのは誰?
「こんなところで眠ったら風邪をひくぞ」
わたしは優しい声の主に抱き抱えられて……
「セレン、誕生日おめでとう………そして今までごめん………」
ーーなんでそんな辛そうな声で話すの?
「………わたしも意地を張ってごめん、素直になれなくてごめんなさい」
ーー夢の中なら素直に言えるのにね?
スティーブ様のこと本当はずっと好きだった。
だけど嫌われているわたしは意地を張ることで必死で彼の前に立っていたの、それしかわたしにはなかったもの。意地を張るしか………
わたしは泣いた。
もう離縁して1年以上も経っているのに未だに忘れられないなんて……
馬鹿だよね。絶対誰にも言えない。
次の日の朝……
「エリノア………頭が痛い………胃が気持ち悪い……」
「お酒の飲み過ぎです!」
「ちょっとしか飲んでなかったわ……」
「お庭に何本の酒瓶が転がっていたと思うんですか?」
「……………吐く」
わたしはその日生まれて初めて二日酔いというものを経験した。
わたしの部屋には赤いアネモネの花が飾られていた。
5歳になった癒しのサムエルが「おかえりなさいませ」と言うとわたしの手を握って「早く早く」と中に入れと急かしてきた。
「どうしたの?サムエル?」
「ないしょ、だってセレンさまをおどろかさないといけないからないしょなの」
「そうなんだ、わかったわ内緒にしておこうね?」
「うん、セレンさまのおたんじょうびだからないしよなの」
「えっ?わたしの誕生日?」
ーー忘れてた。18歳になるのね。
15歳の時に結婚して16歳と半年になった時に離縁した。
そして1年以上騎士団の事務の仕事をしている。
うわあ、もう結婚適齢期が……
この国の貴族令嬢は15歳から20歳までには結婚する人が多い。
18歳になっても恋人も婚約者もいないわたしは完全に行き遅れになりつつある。
白い結婚で白紙になった結婚歴。
一応初婚として結婚できる。
だけど白い結婚だったことは消えることはない。
ーーうん、悩むのやめた。
とりあえずサムエルにお付き合いしなくっちゃ。
部屋に入ると使用人やマリアナ夫婦が「「「おめでとう!」」」と言って迎えてくれた。
「みんなありがとう」
サムエルはわたしの手を握ったままわたしのスカートを引っ張った。
そして手でこっちこっちと手招きをする。わたしにこっそりと話をしたそうだったのでしゃがんでサムエルの口元に耳を近づけた。
「あのね、セレンさま、ないしょ、うれしかった?」
と聞いてきたので
「もちろんよ。とっても嬉しいわ、サムエルありがとう」
「ぼくね、あそこのおはな、かざったんだ。それからね、おさらもきれいにふいたの、ちょっとだけおとしたけどわれなかった。
おかあさんにおこられるからこっそりきれいなところにいれたの、これもないしょだよ?」
「うんわかったわ」
ーー誰か落としたお皿で食事をするのね?
わたしはなんだかおかしくてクスクス笑った。
「セレンさまがわらった、ぼく、うれしい」
サムエルがニコニコしているので、わたしもニコニコして返した。
「サムエル、一緒に美味しい料理を食べましょう」
隣にサムエルを座らせて席に着くとサムエルが「これぼくがつくったサラダ」と言ってわたしの前に置いてくれた。
一生懸命に手で千切ったのだろう。
レタスがとっても大きいのとすっごくちいさいのがあって、トマトもどーんと大きく切られていて、豪快なサラダ。
「セレン様申し訳ありません。サムエルがどうしても自分の料理を食べてもらいたいと言って聞かなくて」
エリノアがすまなそうに謝った。
「とっても嬉しいわ、サムエルが作ってくれたんだもの」
「うん、いっぱいたべてね。おかわりもいっぱいあるから」
「ふふありがとう」
「セレンもサムエルには甘いわね」
目の前に座っているマリアナがクスクス笑って「トマト苦手なのにね?」
と言った。
「あら?マリアナももうすぐ母親になるのよ?わたしの気持ちがすぐにわかるわよ」
わたしはマリアナの大きなお腹を見てそう言うと
「サムエルは貴女の子じゃないじゃない」
「わたしの子供と同じよ。産んでいないだけで、ね?」
「セレンさまもおかあさん?」
「うん、二人目のお母さん」
「じゃあおかあさんいっぱいだね」
「うん、いっぱいだね」
わたしは苦手なトマトをサムエルの前なので美味しそうな顔をして食べた。
「もういっこいる?」
と聞かれたので
「もうお野菜はお腹いっぱいなので他のものも食べていいかな?」
「えーー?しかたないなぁ」
マリアナがクスクス笑って、「確かに親子みたいね?」と言ってくれた。
ーーわたしの癒しのサムエル。
毎日どんなに疲れても彼の顔を見ると疲れも吹っ飛んでしまう。
みんなに祝ってもらってわたしは少しお酒を飲んで酔っ払っていた。
一人で庭に出てボッーと星を眺めていた。
こんなにゆっくりとした気分はいつぶりかしら?
スティーブ様と婚約してからなんだか毎日が気が張って意地ばっかり張って………
あーー、わたしらしくないわ。うん、お酒のせいね。
お酒って人を惑わすのよ。思ってもないことを考えてしまうだけ……
別に寂しくなんかないし。
いつもイザベラ様にだけ優しくしてるの見ても悔しくなんてなかったし。
わたしにだけ冷たい態度をとるのだって平気だったもの。
イザベラ様が横にいるのを妻の前で普通許すもの?
ーーあり得ないわ。
離縁だってわたしから言い出したけどさっさとサイン書くんだもの。全くわたしのことなんてなんとも思っていなかったのよね。
ーー嫌われてるのはわかってたけど……わたしが何をしたと言うの?
そうよ!原因がわからないわ。
どうしてわたしがあそこまで嫌われないといけないの?
なんだかだんだんムカついてきた。
腹立つ!
あー、気持ちがいい。
このままここで寝ちゃおうかな。
「………セレン」
ーー優しい声でわたしを呼ぶのは誰?
「こんなところで眠ったら風邪をひくぞ」
わたしは優しい声の主に抱き抱えられて……
「セレン、誕生日おめでとう………そして今までごめん………」
ーーなんでそんな辛そうな声で話すの?
「………わたしも意地を張ってごめん、素直になれなくてごめんなさい」
ーー夢の中なら素直に言えるのにね?
スティーブ様のこと本当はずっと好きだった。
だけど嫌われているわたしは意地を張ることで必死で彼の前に立っていたの、それしかわたしにはなかったもの。意地を張るしか………
わたしは泣いた。
もう離縁して1年以上も経っているのに未だに忘れられないなんて……
馬鹿だよね。絶対誰にも言えない。
次の日の朝……
「エリノア………頭が痛い………胃が気持ち悪い……」
「お酒の飲み過ぎです!」
「ちょっとしか飲んでなかったわ……」
「お庭に何本の酒瓶が転がっていたと思うんですか?」
「……………吐く」
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サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。