35 / 55
え?一年後?
「貴女はあの事件のあと、魔力の枯渇により意識を失ったんです」
「えっ、ええ、自覚はありますよ⁈だってわたしとしては数時間前の話だもの」
「……全く目覚めることなく一年近く経ちました」
「う、嘘?えっ、わたし18歳じゃなくてもう19歳?」
「そうです、魔導士に診てもらったのですがかなり魔力が強いお方で、その魔力を使い果たしたせいで魔力を取り戻すのにかなりの時間が掛かってしまったようですね」
「呑気に?ゆっくり?……し過ぎですよね?目覚めたらスッキリして気分が良かったんです。いつも忙しくて睡眠不足だったから……」
「たぶん日頃の睡眠不足や睡眠の質の低下、体内時計の乱れ、ストレスなど精神的なものもあったのでしょう。それに魔力の枯渇で生命維持をするために仮死状態になっていたのです」
「一年近くも?」
「まぁ普通はあり得ませんが。魔導士に聞くと魔力の強い者には稀にあるそうです」
「稀に……」
「それも一年近く動いていないのに普通に歩いているからみんな驚いています」
「あっ…なんだか体が重たく感じたから癒しの魔法を掛けて今とっても軽いの」
「なるほど……」
呆れたような顔をしていたけど興味津々のようで
「ぜひ診察させてください」とわたしに詰め寄ってきた。
「え、あ、は、はい。どうぞ……」
少し体を後退りしたが、仕方なく診察してもらうことになった。
「うーん、とても健康そうですね」
ーーそりゃ癒しの魔法を掛けたからどこも悪くはないと思うのよね。
それよりも屋敷のことが心配になってきた。
しっかり者の執事のバッカムがいるしエリノアもいるから安心だけど……
サムエルはもう6歳になっているのかな、うん?もう7歳だ!
「わたしここにゆっくりしてはいられません!屋敷に帰ります!」
ーーサムエルにも会いたいけどマリアナも赤ちゃんを産んでいるはず。
わたしの頭の中はまだマリアナはお腹が大きいまま。だけどもう母親になっているのよね?
「ちょ、ちょっとダメです」
「どうして?」
「もうセレン様の屋敷はありません」
「えっ?どう言うこと?」
「説明は……貴女が目覚めたことをエリザベス様に伝えておりますのでもうすぐここに来ると思いますのでその時に……」
わたしが質問をしてもこのお医者様は答えることはしないだろう。口を閉ざしているようだ。
だったら黙って待つしかない。
わたしの屋敷はどうなったの?バートン達はどこに居るの?わたしの財産は?
わたしが居た部屋に戻ってベッドに座りじっと待った。
することがない。考えたくても情報がなさ過ぎてどうしようもない。
そわそわしてどうしても落ち着けない。
待ったのは20分くらいだった。
だけどわたしにはとても長く感じた。
扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
入ってきたのはエリザベス様だった。
「セレン、やっと目が覚めたのね?ずっと心配していたのよ?」
「ご心配お掛けしました。わたし数時間眠っていたと思っていたんです。まさか一年近くも意識がなかったなんて……」
「ほんと、セレンはずっと突っ走ってきたからとっても疲れていたのね。しっかり休憩出したんだと思うことにするわ」
「うっ、そう思ってください……」
「あと話さないといけないことがあるの……セレンの屋敷なんだけど……火事になって今は屋敷はないの」
「火事?」
嘘っ、どうして?みんなは?
想像しただけで頭がくらっとなった。
唇が震える。
「みんなは大丈夫なんでしょうか?サムエルは?エリノアは……他のみんなは?」
「使用人達は急いで逃げたから大丈夫だったの。だけど屋敷は……全焼だったの」
ーー原因はなんだったのだろ?
「火は屋敷の中からではなくて外壁が燃え始めたの」
ーーそれはどう言うこと?
聞きたいのに言葉が出てこない。
「放火だったの……犯人は…イザベラ様だったの」
ーーえっ?
驚いてエリザベス様に迫るように質問をした。
「イザベラ様がわたしに?どうしてかしら?スティーブ様と結婚したはずよ、幸せに暮らしているのにそんなことする必要はないと思うの」
「スティーブ様とは結婚していないの。セレン様はスティーブ様のことは一切耳に入れようとしなかったから知らないと思うのだけど、スティーブ様は貴女と離縁してから公爵家を出て行ったわ」
ーーわたしは貴族令嬢としての社交は全くしていなかった。それにエリザベス様もマリアナもわたしの前で彼らの話をしようとはしなかった。
もちろんわたしもスティーブ様のことを誰かに聞こうとはしなかったし、もし聞こえてきてもいつの間にか聞こえないように魔法で耳を塞いでしまっていた。
「あの、うちの使用人達はどうしているのですか?」
「貴女の親友のマリアナ様が今は預かってくれているわ」
「よかった……」
「マリアナ様も後で顔を出すと思うわ」
「わかりました、エリザベス様ありがとうございます」
「イザベラ様のことはマリアナ様の方が詳しいから聞いてちょうだい。………あっ、わたくし嫁いだのよ、だからもう王族ではないの」
「え?いつの間に?」
「まだ最近のことよ。貴女が倒れてすぐに婚約することが決まりこの前結婚式だったの」
「婚約者はまだいませんでしたよね?」
「前々から名前が挙がっていた人と結婚することになったの」
「お名前は?」
「………エディ・ロセス」
「エディ様?」
わたしは驚いて目を見開いてしまった。
「えっ、ええ、自覚はありますよ⁈だってわたしとしては数時間前の話だもの」
「……全く目覚めることなく一年近く経ちました」
「う、嘘?えっ、わたし18歳じゃなくてもう19歳?」
「そうです、魔導士に診てもらったのですがかなり魔力が強いお方で、その魔力を使い果たしたせいで魔力を取り戻すのにかなりの時間が掛かってしまったようですね」
「呑気に?ゆっくり?……し過ぎですよね?目覚めたらスッキリして気分が良かったんです。いつも忙しくて睡眠不足だったから……」
「たぶん日頃の睡眠不足や睡眠の質の低下、体内時計の乱れ、ストレスなど精神的なものもあったのでしょう。それに魔力の枯渇で生命維持をするために仮死状態になっていたのです」
「一年近くも?」
「まぁ普通はあり得ませんが。魔導士に聞くと魔力の強い者には稀にあるそうです」
「稀に……」
「それも一年近く動いていないのに普通に歩いているからみんな驚いています」
「あっ…なんだか体が重たく感じたから癒しの魔法を掛けて今とっても軽いの」
「なるほど……」
呆れたような顔をしていたけど興味津々のようで
「ぜひ診察させてください」とわたしに詰め寄ってきた。
「え、あ、は、はい。どうぞ……」
少し体を後退りしたが、仕方なく診察してもらうことになった。
「うーん、とても健康そうですね」
ーーそりゃ癒しの魔法を掛けたからどこも悪くはないと思うのよね。
それよりも屋敷のことが心配になってきた。
しっかり者の執事のバッカムがいるしエリノアもいるから安心だけど……
サムエルはもう6歳になっているのかな、うん?もう7歳だ!
「わたしここにゆっくりしてはいられません!屋敷に帰ります!」
ーーサムエルにも会いたいけどマリアナも赤ちゃんを産んでいるはず。
わたしの頭の中はまだマリアナはお腹が大きいまま。だけどもう母親になっているのよね?
「ちょ、ちょっとダメです」
「どうして?」
「もうセレン様の屋敷はありません」
「えっ?どう言うこと?」
「説明は……貴女が目覚めたことをエリザベス様に伝えておりますのでもうすぐここに来ると思いますのでその時に……」
わたしが質問をしてもこのお医者様は答えることはしないだろう。口を閉ざしているようだ。
だったら黙って待つしかない。
わたしの屋敷はどうなったの?バートン達はどこに居るの?わたしの財産は?
わたしが居た部屋に戻ってベッドに座りじっと待った。
することがない。考えたくても情報がなさ過ぎてどうしようもない。
そわそわしてどうしても落ち着けない。
待ったのは20分くらいだった。
だけどわたしにはとても長く感じた。
扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
入ってきたのはエリザベス様だった。
「セレン、やっと目が覚めたのね?ずっと心配していたのよ?」
「ご心配お掛けしました。わたし数時間眠っていたと思っていたんです。まさか一年近くも意識がなかったなんて……」
「ほんと、セレンはずっと突っ走ってきたからとっても疲れていたのね。しっかり休憩出したんだと思うことにするわ」
「うっ、そう思ってください……」
「あと話さないといけないことがあるの……セレンの屋敷なんだけど……火事になって今は屋敷はないの」
「火事?」
嘘っ、どうして?みんなは?
想像しただけで頭がくらっとなった。
唇が震える。
「みんなは大丈夫なんでしょうか?サムエルは?エリノアは……他のみんなは?」
「使用人達は急いで逃げたから大丈夫だったの。だけど屋敷は……全焼だったの」
ーー原因はなんだったのだろ?
「火は屋敷の中からではなくて外壁が燃え始めたの」
ーーそれはどう言うこと?
聞きたいのに言葉が出てこない。
「放火だったの……犯人は…イザベラ様だったの」
ーーえっ?
驚いてエリザベス様に迫るように質問をした。
「イザベラ様がわたしに?どうしてかしら?スティーブ様と結婚したはずよ、幸せに暮らしているのにそんなことする必要はないと思うの」
「スティーブ様とは結婚していないの。セレン様はスティーブ様のことは一切耳に入れようとしなかったから知らないと思うのだけど、スティーブ様は貴女と離縁してから公爵家を出て行ったわ」
ーーわたしは貴族令嬢としての社交は全くしていなかった。それにエリザベス様もマリアナもわたしの前で彼らの話をしようとはしなかった。
もちろんわたしもスティーブ様のことを誰かに聞こうとはしなかったし、もし聞こえてきてもいつの間にか聞こえないように魔法で耳を塞いでしまっていた。
「あの、うちの使用人達はどうしているのですか?」
「貴女の親友のマリアナ様が今は預かってくれているわ」
「よかった……」
「マリアナ様も後で顔を出すと思うわ」
「わかりました、エリザベス様ありがとうございます」
「イザベラ様のことはマリアナ様の方が詳しいから聞いてちょうだい。………あっ、わたくし嫁いだのよ、だからもう王族ではないの」
「え?いつの間に?」
「まだ最近のことよ。貴女が倒れてすぐに婚約することが決まりこの前結婚式だったの」
「婚約者はまだいませんでしたよね?」
「前々から名前が挙がっていた人と結婚することになったの」
「お名前は?」
「………エディ・ロセス」
「エディ様?」
わたしは驚いて目を見開いてしまった。
あなたにおすすめの小説
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―
柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。
最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。
しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。
カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。
離婚届の上に、涙が落ちる。
それでもシャルロッテは信じたい。
あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。
すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。
【完結】彼を幸せにする十の方法
玉響なつめ
恋愛
貴族令嬢のフィリアには婚約者がいる。
フィリアが望んで結ばれた婚約、その相手であるキリアンはいつだって冷静だ。
婚約者としての義務は果たしてくれるし常に彼女を尊重してくれる。
しかし、フィリアが望まなければキリアンは動かない。
婚約したのだからいつかは心を開いてくれて、距離も縮まる――そう信じていたフィリアの心は、とある夜会での事件でぽっきり折れてしまった。
婚約を解消することは難しいが、少なくともこれ以上迷惑をかけずに夫婦としてどうあるべきか……フィリアは悩みながらも、キリアンが一番幸せになれる方法を探すために行動を起こすのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
【完結済】次こそは愛されるかもしれないと、期待した私が愚かでした。
こゆき
恋愛
リーゼッヒ王国、王太子アレン。
彼の婚約者として、清く正しく生きてきたヴィオラ・ライラック。
皆に祝福されたその婚約は、とてもとても幸せなものだった。
だが、学園にとあるご令嬢が転入してきたことにより、彼女の生活は一変してしまう。
何もしていないのに、『ヴィオラがそのご令嬢をいじめている』とみんなが言うのだ。
どれだけ違うと訴えても、誰も信じてはくれなかった。
絶望と悲しみにくれるヴィオラは、そのまま隣国の王太子──ハイル帝国の王太子、レオへと『同盟の証』という名の厄介払いとして嫁がされてしまう。
聡明な王子としてリーゼッヒ王国でも有名だったレオならば、己の無罪を信じてくれるかと期待したヴィオラだったが──……
※在り来りなご都合主義設定です
※『悪役令嬢は自分磨きに忙しい!』の合間の息抜き小説です
※つまりは行き当たりばったり
※不定期掲載な上に雰囲気小説です。ご了承ください
4/1 HOT女性向け2位に入りました。ありがとうございます!
すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…
アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者には役目がある。
例え、私との時間が取れなくても、
例え、一人で夜会に行く事になっても、
例え、貴方が彼女を愛していても、
私は貴方を愛してる。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 女性視点、男性視点があります。
❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。