【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。

たろ

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お久しぶりです

 どうして彼に会うことがなかったのだろう。

 ううん、たぶん彼が私に会わないように避けていたのだろう。

 気付かなかった。

 どうして今更こんなところで再会するのだろう。


 今日も沢山の怪我人や病人の治療をしていたら

「強盗に大怪我をさせられた男性の治療をお願いします」
 と王城外からやって来た医者に頼まれた。

 たまに医者では治らない患者さんをわたしのところまで連れてくる。

 この王城にはわたしの他にあと二人癒しの魔法が使える人がいる。交代で治療をしているのだけど、今日はたまたま「代わってくれない?」と先輩に頼まれて「嫌です」と断らなくて休みを返上して治療をしていた。

「この人です」と抱えて来た騎士を見てわたしは固まった。

 向こうもハッとした顔をしたけど、お互い怪我人の治療が先なので何も話さずわたしは治療を始めた。

 強盗にお金を取られまいと必死に抵抗したらしくお腹や背中を蹴られて内臓までダメージを与えられていた。

 わたしは患者さんの手を握り魔力を流す。

 もう今は相手に痛みを与えないで治療することもできる。そして完全に治すのではなくある程度のところで治療をやめるようにしている。

 残りの怪我は自然治癒で治してもらう。体のためにも無理やり治すより再生する力を残した方がまた怪我した時のためにもいいのだと魔導士様に言われている。

『お前のように何でもかんでも治してしまったら次怪我した時本人が辛い目に遭うんだ!』と怒られた。

 さっきの騎士……スティーブ様はわたしの休憩を待っていたようだ。

 診療所を出て食堂へ行こうとしたら、外で剣を振り鍛錬している姿のスティーブ様がわたしを見て鍛錬をやめた。

 そして少し戸惑いながらもわたしのところへやって来た。

「セレン…嬢、久しぶりです。本当は貴女が目覚めた時に顔を出さなければいけなかったのに遅くなってすみません」

「え?何故謝るのですか?」

「貴女が一年近く寝込む原因になったのは俺のせいです」

「貴方の?…………あの火傷の人?」

「死にかけた俺を助けてくれてありがとう。だけどそのせいで貴女が死にかけた……なのに今まで顔を出すこともしなかった……申し訳ない」

「……スティーブ様はまだ完全に治ってないのでしょう?」

「えっ?」

「わたしあの時魔力が枯渇して最後まで治せなくて、あの人大丈夫だったのかなと思っていたんです。
 みんなにその人のことを聞いても「さあ?」とか「その人のことはよくわからない」と濁されて本当のことを教えてもらえなかったんです。
 だから勝手に助けられなくて亡くなったのかもと思い、もう聞くのをやめていたんです」

「……貴女のおかげで命は助かりました。その後しばらくはリバビリと火傷の治療でずっと入院していました。やっと最近少しずつ仕事を始めたところです」

「やっぱり……スティーブ様が歩いている姿が少しぎこちなく感じたんです。ちょっと手を出してください」

「え、あ、いや、だけどーー」

「いやではありません。わたしが治療をした患者さんなのですから最後まで診させてください」

 そう言ってスティーブ様の手を握りしめた。

 ーーやっぱり、まだ完全に治ってない。体の中がまだガタガタで流れが悪い。外も中も悪いところだらけだわ。

 わたしの治癒能力は魔導士様曰くこの国では一番だと言われた。他の人は完全に治すことが出来ない病気や怪我もわたしなら治せるらしい。
 以前だったら出来なかったけど指導を受けて技術も上がり一度魔力を空にしたことでわたしの魔力はさらに増え、癒しの魔力の使い手としては、うん、とっても優秀になった。

 スティーブ様にそっと魔力を流した。

「どうですか?」

「とても……軽くなった……俺は………君に助けてもらえる資格なんてないのに……」

「ほんとですよ、貴方、イザベラ様とどんな別れ方をしたんですか?我が家の屋敷はなくなったんですよ!」

「すまない……まさかイザベラが火事を起こすなんて……」

「まぁ普通に考えて逆恨みですもの。スティーブ様が悪いわけではありませんけど、お二人は愛し合っていたのに別れているなんて知りませんでした」

「……イザベラとは……いや、言い訳なんで今更だ……俺は公爵家を出た身だが、それなりに財産分けはしてもらったので君の屋敷くらいなら用意できる」

「え?要りません!どうして貴方がそんなことする必要があるのですか?」

「しかし君の大切な屋敷は焼けてしまった。君の友人には断られたんだが、君に会えたら弁償させてもらいたいと思っていたんだ」

「マリアナには会ったのですか?」

「君が入院中お見舞いに行って、もう二度と来るなと追い返されたんだ」

「ふふっ、マリアナらしいわ」
 想像しただけでなんだか笑ってしまった。

 スティーブ様もあれだけ刺々しかったのに、柔らかくなった話し方をしていてなんだか不思議な気持ちだった。
 もう離縁して三年も経っている。

 意地っ張りで彼の前ではいつも気が張って過ごしていたけど、わたしももう19歳。大人になったのかまぁそれなりに?話せている。






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