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9話。
ひと泣きしたおかげで気分はスッキリ……するわけもなく、さらに落ち込んだ。
だけど、部屋に帰れば仕上げないといけない絵本が待っている。
文字を書き、最後に用紙をまとめて穴をあけて紐で閉じて完成。
坊っちゃまが寝る時間に間に合ってよかった。
今日は本屋へ行って旦那様に頼まれた本と、坊っちゃま用に数冊頼んでいた本を取りに行ったので、わたしも楽しみにしていた。
坊っちゃまは今日も喜んでくれるかしら?
今日の本は昼間取りに行った新しい絵本。お姫様を助ける王子様のお話。定番だけど、ドラゴンと戦うところは男の子にはワクワクしそう。
本を持つわたしはウキウキして坊っちゃまの部屋へと向かった。
「ダリア、今からリオンのところへ行くのかい?」
廊下で旦那様とすれ違った。
「はい……」
「うん?どうした?何かあったのか?」
ーーーあっ…さっき泣いた時目を擦ったからまだ目が腫れているかも……
「うちの使用人たちは虐めはしていないと思っていたが、何かされたのかい?」
「えっ?ええっ?違います!ちょっと恋の相談をしていまして………」
ーーー恥ずかしい……こんなこと旦那様に言うなんて……
わたしの言葉を聞いて気まずそうな顔をした。
「すまない、若い子には色々悩みがあるよね?うん、気が利かないな、わたしは……」
気不味そうに頭をぽりぽりと掻いている旦那様に申し訳なくてーーー
「あ、あの、大丈夫なんです。もう気持ちの整理はついていますから…………」
ーーー失恋しますってバラしてしまってる……気がする……
「今からリオンのところへ行くんだろう?今日は休んでもいいよ。代わりに僕があの子のところへ行くよ」
「いえいえ、せっかくのご厚意ですけど大丈夫です。新しい絵本を読んであげたいと思っていましたから………あっ、でも……」
「うん?」
「わたしが読んであげるより旦那様が坊っちゃまに読んであげた方が喜ばれるかと思いまして………」
「リオンが?僕に会って喜ぶかな?」
「はい!もちろんです!坊っちゃまはいつもお父様のことを待っていますから」
「………そうか……リオンは甘えてこないから僕のことをあまり必要としていないのかと思ってたんだ………」
「それは………いつも我儘を言わずに我慢しているからだと思います……『父様はおいそがしいから』といつも話されています」
「じゃあ、今日はリオンと一緒に君の読み聞かせを聞いてみようかな。今日の本は僕が頼んでいた絵本を読むんだろう?」
「はい」
「君の描いた絵本の噂も聞いているよ。リオンがとても楽しみにしているとね。それもいつか読んで欲しいね」
ーーーうっ…爽やかな旦那様の笑顔が胸に刺さる……坊っちゃまと同じ笑顔はある意味武器だ……思わず『はい』と言ってしまいそうになる。
「あ、あの、それはちょっと、難しいかも…ですね」
「どうして?」
「人様にお見せできるようなものではありませんので……」
でも結局次の日に坊っちゃまにプレゼントするので旦那様に見られてしまうのだけど、その時はそんなこと考えてもいなかった。
坊っちゃまの部屋に入ると、坊っちゃまはベッドでわたしを待っていた。
ミサさんはいつもわたしが来るまで待っていてくれる。そして交代するのだけど……
ただ……今日はわたしの後ろから旦那様が現れたので坊っちゃまもミサさんもかなり驚いていた。
「とうさま?」
キョトンとした坊っちゃまの顔がとても可愛らしかった。だけどどうしたらいいのか分からずに、キョロキョロと視線をわたしやミサさんに向ける。
旦那様もそんな坊っちゃまを見て苦笑いしながら「ふーっ」と小さく深呼吸していた。
旦那様も我が子にこんな時間に会いに来るのは初めてのようだ。我が子に緊張している旦那様がなんだか可愛く見えた。
でもわたし達使用人はみんな知っている。
旦那様が坊っちゃまが眠られた後、こっそり顔を見に行くことを。
結局わたしの後ろにミサさんと旦那様が控えるように座っている。
わたしは坊っちゃまのベッドのそばに椅子を置いて絵本が見えるようにしながら、ゆっくりと読み始めた。
いつもなら眠くなってウトウトし始める坊っちゃまなのに、旦那様にチラチラ目を向けて、眠れなかったみたい。
「もう一冊読んでもいいですか?」坊っちゃまにそう言うとコクコクと頷いた。
あまりにも可愛いので耳元でこっそり囁いた。
「お父様は坊っちゃまが眠るまでそばに居てくれますよ。またお時間があったらわたしの代わりに本を読んでもらいましょうね?」
「よんでくれるかな?」
「今お願いしてみませんか?」
後ろを振り向き旦那様の顔を見た。
「うん?」っとわたしの顔を見た旦那様。
「とうさま……ほん、よんでほしい…です」
「僕?」
驚いた顔をした旦那様にちょっとがっかりした坊っちゃま。やっぱりダメだったのか……と悲しそうな顔をしたのを旦那様は見逃さなかった。
「リオンが嫌じゃなければ父様が読んでみたいのだけどいいかな?」
「はいっ‼︎」
いつもの二倍大きな声で返事をした坊っちゃま。
わたしとミサさんはそっと部屋を後にした。
明日は朝が早い。
ロードのことを思い出すと胸がチクチク痛むけど、坊っちゃまのあの可愛い笑顔を見られたのでなんだかポカポカしたあったかい気持ちになれて、すぐ眠れた。
だけど、部屋に帰れば仕上げないといけない絵本が待っている。
文字を書き、最後に用紙をまとめて穴をあけて紐で閉じて完成。
坊っちゃまが寝る時間に間に合ってよかった。
今日は本屋へ行って旦那様に頼まれた本と、坊っちゃま用に数冊頼んでいた本を取りに行ったので、わたしも楽しみにしていた。
坊っちゃまは今日も喜んでくれるかしら?
今日の本は昼間取りに行った新しい絵本。お姫様を助ける王子様のお話。定番だけど、ドラゴンと戦うところは男の子にはワクワクしそう。
本を持つわたしはウキウキして坊っちゃまの部屋へと向かった。
「ダリア、今からリオンのところへ行くのかい?」
廊下で旦那様とすれ違った。
「はい……」
「うん?どうした?何かあったのか?」
ーーーあっ…さっき泣いた時目を擦ったからまだ目が腫れているかも……
「うちの使用人たちは虐めはしていないと思っていたが、何かされたのかい?」
「えっ?ええっ?違います!ちょっと恋の相談をしていまして………」
ーーー恥ずかしい……こんなこと旦那様に言うなんて……
わたしの言葉を聞いて気まずそうな顔をした。
「すまない、若い子には色々悩みがあるよね?うん、気が利かないな、わたしは……」
気不味そうに頭をぽりぽりと掻いている旦那様に申し訳なくてーーー
「あ、あの、大丈夫なんです。もう気持ちの整理はついていますから…………」
ーーー失恋しますってバラしてしまってる……気がする……
「今からリオンのところへ行くんだろう?今日は休んでもいいよ。代わりに僕があの子のところへ行くよ」
「いえいえ、せっかくのご厚意ですけど大丈夫です。新しい絵本を読んであげたいと思っていましたから………あっ、でも……」
「うん?」
「わたしが読んであげるより旦那様が坊っちゃまに読んであげた方が喜ばれるかと思いまして………」
「リオンが?僕に会って喜ぶかな?」
「はい!もちろんです!坊っちゃまはいつもお父様のことを待っていますから」
「………そうか……リオンは甘えてこないから僕のことをあまり必要としていないのかと思ってたんだ………」
「それは………いつも我儘を言わずに我慢しているからだと思います……『父様はおいそがしいから』といつも話されています」
「じゃあ、今日はリオンと一緒に君の読み聞かせを聞いてみようかな。今日の本は僕が頼んでいた絵本を読むんだろう?」
「はい」
「君の描いた絵本の噂も聞いているよ。リオンがとても楽しみにしているとね。それもいつか読んで欲しいね」
ーーーうっ…爽やかな旦那様の笑顔が胸に刺さる……坊っちゃまと同じ笑顔はある意味武器だ……思わず『はい』と言ってしまいそうになる。
「あ、あの、それはちょっと、難しいかも…ですね」
「どうして?」
「人様にお見せできるようなものではありませんので……」
でも結局次の日に坊っちゃまにプレゼントするので旦那様に見られてしまうのだけど、その時はそんなこと考えてもいなかった。
坊っちゃまの部屋に入ると、坊っちゃまはベッドでわたしを待っていた。
ミサさんはいつもわたしが来るまで待っていてくれる。そして交代するのだけど……
ただ……今日はわたしの後ろから旦那様が現れたので坊っちゃまもミサさんもかなり驚いていた。
「とうさま?」
キョトンとした坊っちゃまの顔がとても可愛らしかった。だけどどうしたらいいのか分からずに、キョロキョロと視線をわたしやミサさんに向ける。
旦那様もそんな坊っちゃまを見て苦笑いしながら「ふーっ」と小さく深呼吸していた。
旦那様も我が子にこんな時間に会いに来るのは初めてのようだ。我が子に緊張している旦那様がなんだか可愛く見えた。
でもわたし達使用人はみんな知っている。
旦那様が坊っちゃまが眠られた後、こっそり顔を見に行くことを。
結局わたしの後ろにミサさんと旦那様が控えるように座っている。
わたしは坊っちゃまのベッドのそばに椅子を置いて絵本が見えるようにしながら、ゆっくりと読み始めた。
いつもなら眠くなってウトウトし始める坊っちゃまなのに、旦那様にチラチラ目を向けて、眠れなかったみたい。
「もう一冊読んでもいいですか?」坊っちゃまにそう言うとコクコクと頷いた。
あまりにも可愛いので耳元でこっそり囁いた。
「お父様は坊っちゃまが眠るまでそばに居てくれますよ。またお時間があったらわたしの代わりに本を読んでもらいましょうね?」
「よんでくれるかな?」
「今お願いしてみませんか?」
後ろを振り向き旦那様の顔を見た。
「うん?」っとわたしの顔を見た旦那様。
「とうさま……ほん、よんでほしい…です」
「僕?」
驚いた顔をした旦那様にちょっとがっかりした坊っちゃま。やっぱりダメだったのか……と悲しそうな顔をしたのを旦那様は見逃さなかった。
「リオンが嫌じゃなければ父様が読んでみたいのだけどいいかな?」
「はいっ‼︎」
いつもの二倍大きな声で返事をした坊っちゃま。
わたしとミサさんはそっと部屋を後にした。
明日は朝が早い。
ロードのことを思い出すと胸がチクチク痛むけど、坊っちゃまのあの可愛い笑顔を見られたのでなんだかポカポカしたあったかい気持ちになれて、すぐ眠れた。
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