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57話。
わたしとロードは歩くことにした。
隣町まで歩けば小一時間はかかる。
話すのにちょうどいい。話終わったらわたしは坊っちゃまとの約束がある。
どこかに寄ってゆっくりとお茶をしながら話すだけの時間はない。
「ダリア、俺、子供の時からずっとお前のことが好きだった。ずっと隣にお前がいるのが当たり前だと思ってた。なのに、ちゃんと付き合って欲しいと言えずに偽の恋人なんて言ってしまうし、カリナの恋人として過ごさないといけなくなるし、お前のことを傷つけた。それに事件に巻き込んで大怪我させた。
本当にごめん。お前が辛い思いをしているのに俺はそばにいてやることも出来なくて……」
「わたし……いつもわたしなんて………とばかり思っていて卑屈で下ばかり向いていたの。取り柄もないし人見知りで人と関わるのが苦手で、自信がなくて……だけど……ずっと……ロードが好きだった。だけど……やっぱり自信がなくて、妹にしか見てもらえていないと思っていたの。カリナさんとロードはとてもお似合いで素敵な恋人同士にしか見えなかった」
「違う……」
「うん、今はわかってる。上司の命令に逆らうことはできないもの」
「……ごめん、俺……ダリアをたくさん傷つけた……一番大切にしたいダリアを、一番傷つけた」
「うん、いっぱい傷ついた。辛くて何度も泣いたわ。街で女性達に絡まれて酷いことを言われたし、カリナさんと二人で歩く姿を何度も見かけて、どうしていいのかわからなかった。だけどわたしは偽の恋人。文句なんて言えないし愛されてもいないわたしが何も言うことなんてできない……そう思ってた」
「俺が悪いんだ。ダリアならわかってくれると思ってた。全て解決したら話そう。そうすれば許してもらえると安易に考えていたんだ」
「そっか、わたしはロードのこともう信用できなくなってた……悲しくて辛くて……そんな時いつもそばにいて慰めてくれたのがバルス子爵家の坊っちゃまなの。坊っちゃまがわたしが書いた絵本を喜んでくれて、旦那様が出版社に話してくれて、絵本を出すことになって……少しずつ自信が出てきたの。わたしでも人を喜ばせる事が出来るんだって。坊っちゃまがわたしにいっぱい幸せをくれたの」
「ダリアが性格が変わったのは……その坊っちゃまのおかげなんだ」
「うん、ロードに好きな人ができて……わたしは…坊っちゃまのために頑張ろうって思って過ごしたの……ロード………あのね……」
「うん?」
「わたしのこと……好きだと言ってくれてありがとう」
「うん……」
「わたし…………今は………「ごめん。返事はいらない」
「えっ…………?」
「俺、ほんの少しでも可能性があるなら待つから。今はフラないで欲しい。
好きなんだ……他の女なんて興味ない。いくら言い寄ってこられてもダリアだけなんだ。カリナとは仲良くしているように見えたかもしれないけど、絶対彼女に気持ちが動くことはなかった。ずっとダリアのことだけ考えてた……」
ロードが真剣な顔をしてわたしを見ていた。
わたしは………
「ロード……わたし……今の気持ちを素直に言うね?」
「わかった………」
「偽の恋人役はもう終わり。これからは、幼馴染としてお互い過ごしたいの」
「それは……」
「うん、以前の二人に戻ろうよ。ロードと付き合ったらまた街で女性に絡まれたり嫌がらせを受けてしまうもの。その度に傷つくのはもう嫌なの」
「絶対、守る」
「ふふ、そんなの無理なことわかってるでしょう?ロードの活躍でさらにロードは注目されてるわ。わたしなんかが恋人になったらまた何を言われるかわからないわ。
……それに……旦那様に……結婚を申し込まれているの……坊っちゃまの本当の母親にならないかと……旦那様のこと愛してるとかそんなこと考えたことない……多分旦那様もわたしのこと愛してるとかそんなことは思っていないと思うの。でもね……互いに坊っちゃまのことでは気持ちが同じなの……」
「愛のない結婚なんて……俺はダリアを愛してる。ダリアは俺が嫌い?愛してない?」
「好きだったよ……いっぱい泣いたもん。辛かったし……悲しかったし……苦しかった……いっぱい涙が出たら……好きな気持ちも流れてしまったみたい……」
「もう期待してもダメ?これからもう一度やり直しても無理なのか?」
「ねぇ?どうしたらロードを信用できるようになるの?どうしたらロードといることが怖いと思わなくなるのかな?旦那様との結婚を受け入れることが逃げになるのかな?
旦那様は……亡くなった奥様を愛してるの…でも…………でもね、穏やかな一生を送れると思うの」
「ダリア………俺が……俺のことが、少しでも受け入れられるなら……一緒に村に帰らないか?」
「…………村に?」
隣町まで歩けば小一時間はかかる。
話すのにちょうどいい。話終わったらわたしは坊っちゃまとの約束がある。
どこかに寄ってゆっくりとお茶をしながら話すだけの時間はない。
「ダリア、俺、子供の時からずっとお前のことが好きだった。ずっと隣にお前がいるのが当たり前だと思ってた。なのに、ちゃんと付き合って欲しいと言えずに偽の恋人なんて言ってしまうし、カリナの恋人として過ごさないといけなくなるし、お前のことを傷つけた。それに事件に巻き込んで大怪我させた。
本当にごめん。お前が辛い思いをしているのに俺はそばにいてやることも出来なくて……」
「わたし……いつもわたしなんて………とばかり思っていて卑屈で下ばかり向いていたの。取り柄もないし人見知りで人と関わるのが苦手で、自信がなくて……だけど……ずっと……ロードが好きだった。だけど……やっぱり自信がなくて、妹にしか見てもらえていないと思っていたの。カリナさんとロードはとてもお似合いで素敵な恋人同士にしか見えなかった」
「違う……」
「うん、今はわかってる。上司の命令に逆らうことはできないもの」
「……ごめん、俺……ダリアをたくさん傷つけた……一番大切にしたいダリアを、一番傷つけた」
「うん、いっぱい傷ついた。辛くて何度も泣いたわ。街で女性達に絡まれて酷いことを言われたし、カリナさんと二人で歩く姿を何度も見かけて、どうしていいのかわからなかった。だけどわたしは偽の恋人。文句なんて言えないし愛されてもいないわたしが何も言うことなんてできない……そう思ってた」
「俺が悪いんだ。ダリアならわかってくれると思ってた。全て解決したら話そう。そうすれば許してもらえると安易に考えていたんだ」
「そっか、わたしはロードのこともう信用できなくなってた……悲しくて辛くて……そんな時いつもそばにいて慰めてくれたのがバルス子爵家の坊っちゃまなの。坊っちゃまがわたしが書いた絵本を喜んでくれて、旦那様が出版社に話してくれて、絵本を出すことになって……少しずつ自信が出てきたの。わたしでも人を喜ばせる事が出来るんだって。坊っちゃまがわたしにいっぱい幸せをくれたの」
「ダリアが性格が変わったのは……その坊っちゃまのおかげなんだ」
「うん、ロードに好きな人ができて……わたしは…坊っちゃまのために頑張ろうって思って過ごしたの……ロード………あのね……」
「うん?」
「わたしのこと……好きだと言ってくれてありがとう」
「うん……」
「わたし…………今は………「ごめん。返事はいらない」
「えっ…………?」
「俺、ほんの少しでも可能性があるなら待つから。今はフラないで欲しい。
好きなんだ……他の女なんて興味ない。いくら言い寄ってこられてもダリアだけなんだ。カリナとは仲良くしているように見えたかもしれないけど、絶対彼女に気持ちが動くことはなかった。ずっとダリアのことだけ考えてた……」
ロードが真剣な顔をしてわたしを見ていた。
わたしは………
「ロード……わたし……今の気持ちを素直に言うね?」
「わかった………」
「偽の恋人役はもう終わり。これからは、幼馴染としてお互い過ごしたいの」
「それは……」
「うん、以前の二人に戻ろうよ。ロードと付き合ったらまた街で女性に絡まれたり嫌がらせを受けてしまうもの。その度に傷つくのはもう嫌なの」
「絶対、守る」
「ふふ、そんなの無理なことわかってるでしょう?ロードの活躍でさらにロードは注目されてるわ。わたしなんかが恋人になったらまた何を言われるかわからないわ。
……それに……旦那様に……結婚を申し込まれているの……坊っちゃまの本当の母親にならないかと……旦那様のこと愛してるとかそんなこと考えたことない……多分旦那様もわたしのこと愛してるとかそんなことは思っていないと思うの。でもね……互いに坊っちゃまのことでは気持ちが同じなの……」
「愛のない結婚なんて……俺はダリアを愛してる。ダリアは俺が嫌い?愛してない?」
「好きだったよ……いっぱい泣いたもん。辛かったし……悲しかったし……苦しかった……いっぱい涙が出たら……好きな気持ちも流れてしまったみたい……」
「もう期待してもダメ?これからもう一度やり直しても無理なのか?」
「ねぇ?どうしたらロードを信用できるようになるの?どうしたらロードといることが怖いと思わなくなるのかな?旦那様との結婚を受け入れることが逃げになるのかな?
旦那様は……亡くなった奥様を愛してるの…でも…………でもね、穏やかな一生を送れると思うの」
「ダリア………俺が……俺のことが、少しでも受け入れられるなら……一緒に村に帰らないか?」
「…………村に?」
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