【完結】大好きな幼馴染には愛している人がいるようです。だからわたしは頑張って仕事に生きようと思います。

たろ

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番外編。 ロード

「騎士を辞めて帰ってきたと思ったら毎日ゴロゴロしてどうするの?」

 村に戻り実家の仕事を手伝うと言って帰ってきたのに、やる気なんて起こらない。

 ずっとずっと好きだったダリア。

 なのにダリアはバルス子爵を選んだ。

 馬車の事故、怪我をして治療をしてもらっていた時、廊下からダリアの声が聞こえた。

『旦那様!』

 ダリアはバルス子爵のところへ駆け寄り、泣き出した。

『よかった……生きてる……怪我したと聞いて不安で……』

 バルス子爵は困った顔で、ダリアの頬に手を添えた。

『心配かけたね』

 首を横に振るダリア。
『だって……もし、旦那様が居なくなったらわたし……こんな時に……ごめんなさい。わたし……旦那様が好きです。ずっと辛い時そばに居てくれて……一緒に笑ってくれて、お話ししてくれて……旦那様が居てくれたから外に出るのが怖くても頑張れたんです。旦那様が……わたしに自信を下さったんです』

 ダリアはバルス子爵の胸に抱きついて泣いていた。
 俺はそれを廊下で立ち尽くして見て……そっと立ち去った。



 後日、ダリアは俺に会いにきた。

『なんとなくわかってたんだ……ダリアは気がつけばバルス子爵を見ていたもんな……』
 ダリアと活動を始めて気がついていた。
 バルス子爵を目で追うダリアを。

『ごめんなさい。ロードのことをずっと好きだった……だけど……カリナさんと二人でいる姿がどうしても忘れられないの。どんなに信じようと思っても、あの時の気持ちを思い出すと駄目なの』

『一度失った信用は簡単には消せないよな……』

『ごめん……』

『幸せになって……』

『うん……ありがとう……』




「幸せになって……かぁ……くそっ!」
 俺はベッドに横になったまま、ゴロゴロしながら天井に向かって叫ぶ。

 昔っから顔だけは良かったのでいつも女の子にチヤホヤされてきた。だけど好きなのはダリア。脇目も振らずダリアだけ。

 カリナのことなんかなんとも思っていなかった。……だけど、確かに、カリナといると楽しかったのは嘘ではない。好きとかじゃなく、一緒にいて居心地が良くて仕事で見張らないといけないのに、楽しくて仲良く話していたのは確かだ。

 それをダリアは見て、信用できないと言ったんだ。幼い頃から一緒にいるからこそ、俺の態度がカリナに気を許していたのもバレていたみたいだ。

 うじうじ考えていると、お袋が扉をバンッと開けて大きな声を出した。

「もう!フラれたんだから諦めなさい!そんなことよりディーンが来てるわよ!父さんと打ち合わせをするの。あんたも顔出して仕事を覚えなさい!」

「はあ……わかったよ」


 父さん達は今年の農作物の仕入れの値段交渉をするためにディーンの領地で採れる作物の聞き取りをしていた。

「よお!まだ不貞寝してるの?」

「不貞寝じゃねぇし……」
 ーーただやる気が出ないだけだ。

「今うちの領地で盗賊が増え始めたんだ。騎士が足りない。ロード、助けてくれないか?」

「………」
 ーーえ?やだよ……と言いたいけど、困ってる人がいると聞けば嫌とも言えず、俺は一瞬悩んだ。

「ロード、うちの仕事はまだまだ手が足りてる。人様の為になるなら行ってこい」
 父さんの言葉に仕方なく頷く。


 俺がディーンの領地で新しい出会いをするのはそれからまだ1年以上先の話。


 ディーンの領地で知り合った村娘。

 俺に突っかかってきて生意気で、ダリアと違い、口から先に生まれたんじゃないかと言うくらい口煩い。


「ロードさん!ほら!早く!ダラダラしないで!」

「まだ寝てるの?起きた起きた!もうこの部屋何?臭いって!」

「食べることは大事なの。しっかり食べてしっかり寝て、しっかり糞するの!」

「お、お前、女の子なのに、糞なんて言うな!」

「はあ?みんな毎日してることでしょう?」

 なんなんだ!この女!ダリアはそんなこと言う奴じゃなかった。いつも一歩下がって優しく笑ってくれてた。

 なのに………

 大雨でたまたま雨宿りで小屋に二人になった時……

「きゃっ!」とか言ってるくせに「へ、平気なんだから」と強がる姿に俺はなんだか可愛く見えて、生意気だったこいつがいつの間にか気になり始めて………


 数年後、俺は、この生意気な女に「結婚してください」と言っていた。

 そのあとは、もちろん尻に敷かれて毎日叩き起こされるし、文句ばかり言われているけど、こんな毎日が楽しくて、時折女の顔を覗かせる嫁に完全に惚れてしまっている。

 ーーなあ、ダリア。

 幸せに暮らしてるか?俺は今も平民で親父の仕事を継いで頑張ってるけど、それなりに幸せに暮らしてる。

 うちの娘にダリアが書いた絵本を読み聞かせする嫁の姿を見て、俺は今、すっげえ幸せなんだ。




 ーーーーー

 ご意見ご感想ありがとうございました。

 最後はやはり自分なりの考えで終わらせました。

 いろんな考え方があるなと受け止めつつ、それでもマイペースで書いていくわたしのお話。

 そんなお話ですが、これからも読んでいただけると嬉しいです。


 いつも読んでいただきありがとうございます。


        たろ


感想 168

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みんなの感想(168件)

くぅ
2025.01.15 くぅ

一気に読ませていただきました!
私的には元鞘は苦手なので、ハッピーエンドで良かったです^_^
そもそも、捜査で恋人役をしなければならないとしても、ダリアにきちんと告白して詳しくは話せなくても何があっても好きなのは君だけだから、信じて待っていて欲しいと話し合っておけば、こんな事になっていなかったかと。
それを怠り、女の子に良い顔していた報いですね。
そんな不誠実な人と付き合うとか、無しでしょ。
旦那様ももしかしたら捜査内容知っていたかもしれないけど、ダリアとロードの関係に口を出すのは野暮だと思っていたのかも?
最終的にダリアが旦那様を選んだわけだし、どちらがダリアを大切にしていたか。
それに尽きると思います^_^

2025.01.16 たろ

感想ありがとうございました😊

解除
ざと
2024.12.25 ざと

連載中の作品も一緒に、いつも楽しく読ませて頂いてます。

まだ途中ですが、
感想としては、このヒロインよく泣くなぁ…近くにいた人はたまったもんじゃないだろうなぁ…私なら触らないだろうなぁと。

思ってましたが、私と同じように性格に難のある先輩方に同じような事言われてましたね。

なにはともあれ、幸せになってほしいので最後までゆっくり読ませていただきます


これからも楽しい作品楽しみにしております。



2024.12.28 たろ

ありがとうございます😭

解除
千の谷
2024.05.11 千の谷

旦那さま派でしたので、良かったです💕
ロードかも…とギリギリまで、悩ませる展開でしたね!感想欄の真っ二つ感に、負けない作者さま、いつもながら、さすがのステキ作者さまです。
読み返して、やっぱり偽の恋人ってのがアカンし(初恋なのに、なんでそんなこと言っちゃったかロード…💧)ダリアは、嫌がらせや暴力で、傷付けられ過ぎたから、ロードの正論だけでは、もう癒やされないとこまで、傷付いちゃったんですよね…
(誘拐と暴力が、致命的なトラウマにならなかったのは、旦那さまが時間をかけて完璧に守ってくれて、ダリア本人が弱くなかっただけで、本当なら凄い恐怖だと思う。)
守秘義務や、子爵家の一部の嫌がらせで取り次いでもらえなかったり、そこはロードが気の毒とも思ったし、一途なとこも絆されそうでしたけどね…
旦那さまとぼっちゃまの、癒しと圧倒的な安心感と、大人の魅力には…叶わないですよね~。一番辛かった時に助けてくれて、傍で支えてくれたんですもん。中盤からでも、一使用人に対しての対応としては破格では?と私は、もしかして?とトキメイてましたよ。だから嫉妬もされたのでしょうね。
ダリアが幸せになって良かったです😂

解除

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