【完結】イアンとオリエの恋   ずっと貴方が好きでした。 

たろ

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24話  幸せなとき。

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 今暮らしているのはシャトナー国。

 わたしもイアン様も一度は捨てた国。
 ーーだけど大切な祖国。

 もうこの国で暮らすことはないだろう。

 だから二人で半年間この国に帰って来た。

 たくさんの友人や親戚達に泣かれた。

「オリエ様、お久しぶりです」
「どうして今まで……」

 そんな言葉をたくさん。

 みんなが心配してくれていた。大切な人々にこんなに思ってもらっていたなんて……
「心配掛けてごめんなさい」

「そうよ、オリエ。ずっと心配していたのよ」
 友人達はみんなわたしの帰りを喜びながらも叱ってくれた。

 公爵家の副団長のオーヴェンはわたしの頭をくしゃくしゃにして

「元気そうで良かったです!手合わせどうですか?」
 といきなりの打ち合いが始まった。

 アレック兄様は(従兄)結婚していて可愛い息子と娘、奥様を紹介してくれた。

 時が経つのは早い。

 みんな変わっていないようで少しずつ変化していた。

 私たちの結婚式は小さな教会で、身内だけの結婚式を挙げた。

 参加者はカイさんとメルーさん、マーラ。
 お父様とお母様、お兄様とお姉様の家族。そして、ブルダとマチルダとギル。
 それからイアン様のご両親、元国王陛下ご夫妻。

 再婚だと言うこともあるし、この国で暮らすこともない。だから発表されることもなく。

 なのに挙式が終わった後、半年間暮らすために用意してもらった公爵家の別邸にはたくさんのお祝いの品が届いていた。

 貴族達からの贈り物はもちろん、シャトナー国でわたしが手がけた子ども達の支援から始まった仕事が上手くいっているらしくその子供達からもたくさんのお祝いの手紙をもらった。



 シャトナー国に戻ってまず会ったのがアンドラだった。

「ほんの小さな動きだったのですが、今はこの国で子供達が飢えて死ぬことも少なくなりました。みんなが文字や計算が出来ることで離職者も減って、生活水準も少しずつ上がって来ているんです」

 マチルダの兄のアンドラがわたしの思いを引き継いで子供達の生活を、そしていずれ家庭を持った時にその子供達が幸せになれるようにと今も頑張ってくれている。

「わたしはこの国を捨てて逃げたのにアンドラありがとう」

「オリエ様が動いたから周りの大人達もそして他の貴族達も動いてくれたんです。この国の子供達の未来が少しでも明るく暮らせるように大人達が頑張らないといけませんからね」

「オリソン国も始まったばかりだけど、子供達のために動き出したのよ。わたしは結婚したら騎士は辞めて、これからは子供達の未来のために少しでも動こうと思っているの」

「ギルに聞きました。向こうでも子供達と出会いがあったんですね?」

「うん、結婚して騎士を続けるのは難しい。でも騎士になるために剣術や体術、文字や計算、教えてあげることは出来るわ。わたしが出来ることをこれからはして行こうと思って」

「またオリソン国にも行ってみたいです。お互いのいいところは出来るだけ真似したいですからね」

「そうね、交流会があってもいいわよね?」

「オリエ、帰って来て早々もう仕事のこと?」
 イアン様は隣で苦笑いをしていた。

「ごめんなさい、せっかくの里帰りなのに」

「ううん、オリエらしいと思う。だけど半年という短い間にやらなければいけないことは沢山あるから体を壊さないように程々にね」

「ええ、イアン様も久しぶりにお会いしたい方がいるでしょう?」

「オリエ一緒に両親に挨拶に行こう」

「もちろん、前両陛下にご挨拶させていただきたいわ、ご心配ばかりお掛けしているもの」

 一度は離縁した、だからお二人に会うのは少しだけ気後れしていた。でもまたお会いしたい。

 イアン様の手を取り、離宮で暮らすお二人に会いに行った。

 いつの間にか少し歳をとられて白髪が増えていた。

「ご無沙汰しております」

「久しぶりね」そう言って前王妃はわたしを抱きしめて優しく頭を撫でてくれた。

「幸せそうな顔をしているのね安心したわ」

「はいとても幸せです」

「イアンも長年の恋がやっと成就して良かったわね」
 少し呆れながら息子に言うと

「俺のしつこさは父親譲りですからね」とニヤッと笑った。

「わたしはお前ほど優柔不断で妻を傷つけたりはしない」

「ふふ、貴方も若い頃は色々あったでしょう?」

 前王妃の話ぶりで、やはりそれなりに色々あったのだろうと想像しながらもそこは触れずに、お二人と楽しい時間を過ごした。

「貴方達の結婚式楽しみにしているわ」

 2回目の結婚式、少し気恥ずかしいけど、今度は二人だけで考えて決めた、本当の結婚式だった。


 そして式の後、たくさんの贈り物に目を通して、わたしは初夜のため、ドレスを脱ぎ入浴をした。

 平民暮らしに慣れて一人でなんでも出来るようになった。

「一人で入れるから!」とお願いしたのにマチルダはわたしの好きにはさせてくれなかった。
 たくさんの侍女達がわたしの体を洗い全身マッサージをしてクリームを塗り、ピカピカに磨き上げてくれた。

 夜着は「いやいやこんなの着たくない!」と叫んだのに無理矢理着せられた。
 白のシルク生地のたくさんフリルが付いたなんとも……派手で色っぽいものを………………

 ーーこれ、恥ずかし過ぎる……

 鏡に映る自分の姿に、顔が赤くなる。

 素足は太ももまで出ていて、隠れていない。

 上も胸元が開いていて、リボンを外せばすぐに………

「うっ、いつもの寝間着に着替えよう!」

 みんなが部屋から出て行って、イアン様が部屋に来るまでの間に急いで着替えることにした。

 いくら初夜とは言えこれはない。

 1回目の結婚の時でも、こんな格好はしていない。

 タンスの引き出しを開けていつもの寝間着を出そうとしたら………ない!
 ーーえ?どうして⁈

 他の引き出しを開けてもない!

 ーーマチルダが隠したのね。こういう要らないことするのギルにそっくりなんだから!

 どうしようもなくなって……見られたくないので布団に入り寝たフリをすることにした。

 イアン様は参加者の人達とお酒を飲んで接待をしていた。途中切り上げてくると聞いたが待っていてもなかなか来なかった。

 寝たフリが本当に眠ってしまっていた。

 ウトウトしているとガチャっと音がした。
 ハッと目が覚めたけど、自分の格好を思い出し、また寝たフリをした。

「オリエ?」わたしの横に来たイアン様はわたしの髪をゆっくりと触り、一房を持ち上げキスをした。

 そして首すじに唇を落としてきた。

「オリエ?眠っているの?ねぇ、起きて」
 耳元で甘い声で囁かれると、なんだか身体がゾクゾクとしてきた。

「っあ……」

 思わず声が出てしまった。

「ふっ、やっぱり起きていた」
 イアン様の声が近い!

「ごめんなさい、ウトウトして眠ってしまっていました」

「うん、遅くなってごめんね。義父上の義兄上がなかなか離してくれなかった」

「すみません、ご迷惑をかけて」

「オリエのところに行くことを阻止しようとしていただけなんだ、仕方ないよ」

 イアン様はわたしの顔を覗き込んだ。
 少し酔っているイアン様は元が綺麗なのにさらに色気が増して真っ直ぐ見れないくらい淫靡な美しさがあった。

 目を逸らしてしまう。

「オリエ、俺を見て。今夜はもう我慢はしないよ」

 彼の手が何度も慈しむように髪を撫でてくる。そうイアン様の綺麗な顔が、わたしに近付いてくる。
 きゅっと閉じていた唇に、優しく触れて、そこから急に舌をねじ込まれる。何度も激しいキスを求めてきてぞわぞわとした感覚が背筋を這い上がってきた。

 頭がぼうっとしている間に彼の手はわたしの着ている服のリボンを解いた。
 スルリと上の服は脱げ、彼は私の顕になった胸をゆっくりと触り始めた。

「やっ」思わず声が出た。

「オリエ、ごめん、優しくできない」

 そして「綺麗だ、オリエ、愛している」と。

 そこからイアン様は……わたしの体を優しく抱いた。

 ゆっくりと身体中にキスをして指で解しゆっくりとわたしの中に……
「愛しているオリエ」

 痛みの中イアン様の言葉に頭の中がふわふわとしてきた。
 何度もわたしの名を呼び優しく抱いてくれるイアン様。

 そして……「オリエっ、ごめん、初めてだったの?」

 イアン様はわたしを抱いたあと、一気に酔いが醒めてしまったようだ。

「ううん、イアン様はわたしが恋人がいること知っているものね」
 ーーたぶん経験があると思われていた。そんな気がしていた。

「だって離縁して7年も経つのに……こんな美しいオリエを放っておくわけがない、みんなが狙っていたのも知っていたし……」

「お付き合いはしたわ、でも好きになれなかったの。だから結婚するまではそう言うことはしないと断ってきたの」

「そっか……オリエ、やばい、俺……また我慢できない……」


 ◇ ◇ ◇

 オリエが処女だと知った時、思わず泣きそうになった。

 だってこんな美しい身体を俺が初めて?

 やばい、やばい、やばい。

 ずっと我慢してきた俺は貪るようにオリエを抱いた。

 オリエには言えなかった。

 俺も実は初めてだと……

 オリエを好き過ぎて、どうしても他の女を抱けなかった。どんなに言い寄られても付き合う寸前までいっても、最後の一線を越えたいと思えなかった。

 だけど俺は男だ、それだけは内緒にしていた。だから初めてだと悟られないように少し酒を飲んで酔ったフリをしてオリエを抱いた。

 ーーくっ、オリエに下手くそだと思われたくなくて……






 半年間シャトナー国で過ごしてから、アルク国へと向かった。

 アルク国でオリエはみんなに温かく迎えられた。
 元々何度か演習で来ているので知り合いもいるし、オリエ自身みんなに愛されている。

 結婚してからのオリエはさらに美しくなった。

「イアン様!お帰りなさい」

 走って駆け寄ってくるオリエに
「お願いだから走らないで!」と注意するのが日課になった。

「でもじっとしているのも退屈なんですよ?少しは動かないと!」

「身重なんだから!赤ちゃんのためにも大人しくしていて!」

「最近動くんですよ、早く会いたいな」
 オリエは愛おしそうにお腹をさする。

 俺もオリエのお腹にそっと手をやり「待ってるよ」と声を掛ける。
 あと二月もすれば子供が産まれる。

「明日は休みだから久しぶりに街に買い物に行こう」

「ほんと?イアン様とゆっくり買い物に行けるの嬉しいわ。ベビー服もみたかったの。最近流行っている話題のカフェにも行ってみたいわ」

「うん、オリエ久しぶりのデートをしよう」

 オリエの嬉しそうな顔を見るだけで俺も幸せになれる。

 オリエの顔にそっと唇を近づけた。


「愛しているよ、オリエ」





          end






 読んでいただきありがとうございました。

           たろ








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