【完結】裏切られた私はあなたを捨てます。

たろ

文字の大きさ
48 / 116

47話

しおりを挟む
 レイモンド殿下もカイ様も部屋に顔を覗かせてはよくしてくださる。

 お菓子の差し入れや珍しい外国の本、私が好きなものをよくご存知。

 でも感謝しつつもそろそろこの環境で過ごすのもどうだろうと思う。

「もうそろそろ寮へ戻ろうと思います」

「そうだな、過保護にここに君を置いて過ごさせてもいいものではないな」

 カイ様がそう言うと「ただし、護衛はつける。お前のことを狙っている者はまだいるからな」と言われた。

 何かしら事情があるのだろうことはわかっているけど、何を聞いても今はまだ何も話せないと言われている。

 カイ様からすれば国際問題になってしまうので「悪いが解決するまでは話せない」と言われてしまった。

 レイモンド殿下も同じ。

「レインは当事者だから知りたいことがあるのはわかってる。報告もしないといけないとは思ってるんだけど、問題解決が先なんだ。ただもう危険なことはあまりないだろうから無理さえしなければ普通に生活しても大丈夫だ」




 寮の部屋に戻るとやっぱり落ち着く。

 ここが今は私の居場所なんだ。

 また仕事と寮の往復する毎日が始まる。ただし、常に護衛がついているというところは以前とは違う。

 それも、護衛の任についたのはアレックス兄様だった。

「兄様、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」

「レインが謝る必要はないよ。俺は依頼されて仕事として君のそばにいるんだ。それに何かあったら守ってあげられるから俺としても安心だよ」

 優しいいつもの兄様の笑顔にホッとしつつカリーナ様とのことを考えると心配になる。

 あの事件にはカリーナ様がいるはず。
 そのことは兄様だって知っているはずなのに、何も言わない。
 お二人は愛し合っているはずなのに、仲睦まじくあれだけ一緒にいたのに……

 そう思うと、私が悪いわけではないのにやはり申し訳ない気持ちになってしまう。

 もう兄様への恋心は消えてしまったけど、それでも兄様が優しくてつい甘えたくなるしホッとする存在なのは変わらない。だからこそ幸せになってほしい。

 なのに……

「うん?俺の顔をそんなにじっと見つめてどうしたんだい?」

 兄様が私の顔のそばに思いっきり近づいてきた。

「きゃっ……もう!兄様、ち、近すぎます!」

「だってレインがあんまりにも食い入る様に俺の顔を見てるから、ね?」

「……ごめんなさい……でも兄様とこんなにお話しするのは久しぶりですね」

「そうだな、ここでたまに顔を見ることはあってもゆっくり話すことはあまりなかったし、レインは屋敷には帰ってこないしね」

「………申し訳ありません」

「あーー、違うんだ、レイン謝らせたかったわけじゃない……」

 兄様が困った顔をする。

 多分兄様も私が侯爵家と距離を置いていることを理解してる。理由を知ってるかはわからないけど。

「レイン……話をゆっくりしよう、昔のように、たくさん」

「そうですね、子供の頃はいつも兄様の後を追ってくっついて、他愛もない話をしてましたね」

 あの頃に戻れるなら、今みたいに意地っ張りで可愛くない私でも、また家族と笑い合えるのかしら?

「そう言えばキース兄様はお元気ですか?」

 うわっ、私キース兄様のこと完全に忘れてた。
 あんなに冷たくしていたけど、学園を卒業したら顔を合わせることもなくなって……

「キース?あいつは必死で騎士を目指して鍛錬をしてるよ。連絡はない?」

「………そうですね、連絡はとっておりません」

「キースは昔っから素直じゃないから、レインのことも意地悪ばかりだった、本当はいつもレインが気になって仕方がないのに」

「キース兄様とは、その……」
 あまり仲良くないんです……とは言いにくくて言葉を濁した。

 素直じゃないのは私も同じだもの。

 アレックス兄様と話すのはやっぱり楽しくて昔の話ばかりになるけど、つい笑顔になってしまう。




「アレックス!」

 その声に振り返ると、唇を噛んで睨みつけるカリーナ様がいた。

しおりを挟む
感想 209

あなたにおすすめの小説

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

(完結)あなたの愛は諦めました (全5話)

青空一夏
恋愛
私はライラ・エト伯爵夫人と呼ばれるようになって3年経つ。子供は女の子が一人いる。子育てをナニーに任せっきりにする貴族も多いけれど、私は違う。はじめての子育ては夫と協力してしたかった。けれど、夫のエト伯爵は私の相談には全く乗ってくれない。彼は他人の相談に乗るので忙しいからよ。 これは自分の家庭を顧みず、他人にいい顔だけをしようとする男の末路を描いた作品です。 ショートショートの予定。 ゆるふわ設定。ご都合主義です。タグが増えるかもしれません。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏
恋愛
私はペシオ公爵家のソレンヌ。ランディ・ヴァレリアン第2王子は私の婚約者だ。彼に幼い頃慰めてもらった思い出がある私はずっと恋をしていたわ。 だから、ランディ様に相応しくなれるよう努力してきたの。でもね、彼は・・・・・・ ※なんちゃって西洋風異世界。現代的な表現や機器、お料理などでてくる可能性あり。史実には全く基づいておりません。

(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)

青空一夏
恋愛
 従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。  だったら、婚約破棄はやめましょう。  ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!  悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!

処理中です...