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54話 ミシェル編
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レインはとてもいい子だった。
そして愛に飢えていた。
寂しがり屋でなのにそんな気持ちをうまく出せない意地っ張りで、ひたすら勉強に励む努力家で、自分の気持ちを誤魔化してずっと生きていく不器用な女の子。
私はレインの前で優しい友人を演じた。
お金のため。
もし、レインとの出会いが仕組まれたものではなく自然な出会いだったら、私はレインの親友になれたと思う。
だって損得関係なく本当にレインのことが大好きになれるから。
でも私は兄のため家族のため、お金が必要だった。ううん、本当は自分のため。
婚約者はいるのにこのままでは幸せな結婚は望めない。我が家が貧乏すぎて結婚するのにお金がない。
まともに学校にも行けなければ婚約は解消されるところだった。
私は自分の幸せのためにレインに近づきレインと仲良くなった偽りの友人。
それでもレインが私といる時楽しそうに笑う顔がたまらなく好きだった。
この子は愛に飢えて、私なんかの偽りの友情も素直に受け入れてくれるのだと思うと、私なりに大切にレインとの時間を過ごした。
レインが私に心を許せば許すほど罪悪感が私の心を蝕んだけど。
兄様も「レインに本当のことを伝えよう」と言い出した。
兄様はレインに惹かれていた。
レインの容姿の美しさは学園でも評判で気高く見えるのか他人を寄せ付けない雰囲気がある。
仲の良い友人の前では気を許しよく笑うのに知らない人にはとても警戒するレイン。そんなレインの隣で一番仲の良い特別な場所にいた私はとても誇らしかった。
だけど……惨めでもあった。
大好きと大嫌い。
大好きだけど憎らしい。
大好きなのに、そばにいるのが嫌になる。
私は自分がどんどん嫌いになった。
いつも侯爵様に定期報告をするときもそんな気持ちが出てしまう。
レインがあまり友人達と仲良くしようとしない。
レインは勉強ばかりして協調性がないのでクラスで浮いた存在だ。
そんな内容までつい書いてしまう。
本当は、優しくて笑った時の顔はとても可愛らしい。
困った人にさりげなく手を貸す優しい女の子。
平民とか貴族とか関係なく誰にでも平等に接することができるレイン。
結婚の話が出た時、レインは必死で抵抗した。
何度も屋敷に帰り結婚をとりやめてもらおうと通ったのに親に会ってもらえず追い返された。
私は……そんなレインのことを心配したフリをしながら心の中では、貴族令嬢なんだから愛がない結婚なんて当たり前なのに、と馬鹿にしていた。
いい加減に親に反抗せず、いいところのお嬢様なんだから、親の言う事を聞けば、お金持ちと結婚して贅沢な暮らしが保障されるのだからいいじゃないと思っていた。
だけどレインは必死で抵抗した。寝る間も惜しんで文官試験を一位で合格して、自分の人生を、自由を勝ち取った。
私なんか自分の小さな幸せのために、必死で他人を裏切って……レインを踏み台にして過ごしてきたのに。
レインは私には眩しすぎた。
「ミシェル!」といつもどんなときも、私の裏切りなんか知りもせず、純粋に私を友として大切に思ってくれた。
それがどれだけ私を苦しめているのか、レインは知らない。
兄様にも最後は全て話してレインに許しを乞おうと言われた。
でも私には出来なかった。
だって、レインに届いたドレスを私は勝手に自分のものにしてしまったから。
ドレスを買うお金が作れなかった。
本当は婚約者が私の好きなものを作るようにドレスショップに注文してくれていた。そこで私はドレスを注文したのに、途中で断って、そのドレス代を……妹の病院代に使ってしまった。
高熱が続き医者に診てもらったら入院させないと命が危険だと言われた。
侯爵家からもらうお金も私が卒業すれば終わってしまう。なんとか子爵家の立て直しも目処が立ったとはいえ、高額な入院代は払えない。
ドレスを諦めお金に換えた。
文官試験を頑張っていたレインには何も話していなかった。
レインが試験に合格して喜ぶ姿に私は一緒に喜び合いながらも、本当は笑うことができなかった。
お金さえあれば……こんな惨めな思いはしない。
婚約者になんて言い訳をしよう。お金がなくてせっかく作ってくれたドレスを売ったなんて言えない。彼から贈られた宝石も全て売ってしまった。
そんなとき、悪魔の囁きが聞こえた。
レインに贈られてくるドレスを自分のものにしたらいい。
贈られてくることは侯爵家から聞いていた。レインが素直に受け取るように手助けして欲しいと言われていた。
レインが受け取ったと侯爵家には伝えた。
ただし、受け取る代わりに卒業式には顔を出さないで欲しいと言っていると伝えた。
レインは侯爵家の人たちが顔を出す事をとても嫌がっていると。
侯爵家の人たちはレインが自分たちを受け入れないことはわかっていた。だから最後のプレゼントとしてレインにとても高価なドレスを贈った。
私はそれを自分のドレスとして着た。
「婚約者からのプレゼント?素敵ね?」
レインの言葉に私は満面の笑みで「ええそうなの」と答えた。
そんな私が今度は……またレインを傷つけている。
もう二度とレインが私を友達なんて思わないように。
私はずるい、嫌われようとしながらもレインを傷つけている。
今目の前にいるレインはとても悲しそうに泣きそうな顔をしていた。
そして愛に飢えていた。
寂しがり屋でなのにそんな気持ちをうまく出せない意地っ張りで、ひたすら勉強に励む努力家で、自分の気持ちを誤魔化してずっと生きていく不器用な女の子。
私はレインの前で優しい友人を演じた。
お金のため。
もし、レインとの出会いが仕組まれたものではなく自然な出会いだったら、私はレインの親友になれたと思う。
だって損得関係なく本当にレインのことが大好きになれるから。
でも私は兄のため家族のため、お金が必要だった。ううん、本当は自分のため。
婚約者はいるのにこのままでは幸せな結婚は望めない。我が家が貧乏すぎて結婚するのにお金がない。
まともに学校にも行けなければ婚約は解消されるところだった。
私は自分の幸せのためにレインに近づきレインと仲良くなった偽りの友人。
それでもレインが私といる時楽しそうに笑う顔がたまらなく好きだった。
この子は愛に飢えて、私なんかの偽りの友情も素直に受け入れてくれるのだと思うと、私なりに大切にレインとの時間を過ごした。
レインが私に心を許せば許すほど罪悪感が私の心を蝕んだけど。
兄様も「レインに本当のことを伝えよう」と言い出した。
兄様はレインに惹かれていた。
レインの容姿の美しさは学園でも評判で気高く見えるのか他人を寄せ付けない雰囲気がある。
仲の良い友人の前では気を許しよく笑うのに知らない人にはとても警戒するレイン。そんなレインの隣で一番仲の良い特別な場所にいた私はとても誇らしかった。
だけど……惨めでもあった。
大好きと大嫌い。
大好きだけど憎らしい。
大好きなのに、そばにいるのが嫌になる。
私は自分がどんどん嫌いになった。
いつも侯爵様に定期報告をするときもそんな気持ちが出てしまう。
レインがあまり友人達と仲良くしようとしない。
レインは勉強ばかりして協調性がないのでクラスで浮いた存在だ。
そんな内容までつい書いてしまう。
本当は、優しくて笑った時の顔はとても可愛らしい。
困った人にさりげなく手を貸す優しい女の子。
平民とか貴族とか関係なく誰にでも平等に接することができるレイン。
結婚の話が出た時、レインは必死で抵抗した。
何度も屋敷に帰り結婚をとりやめてもらおうと通ったのに親に会ってもらえず追い返された。
私は……そんなレインのことを心配したフリをしながら心の中では、貴族令嬢なんだから愛がない結婚なんて当たり前なのに、と馬鹿にしていた。
いい加減に親に反抗せず、いいところのお嬢様なんだから、親の言う事を聞けば、お金持ちと結婚して贅沢な暮らしが保障されるのだからいいじゃないと思っていた。
だけどレインは必死で抵抗した。寝る間も惜しんで文官試験を一位で合格して、自分の人生を、自由を勝ち取った。
私なんか自分の小さな幸せのために、必死で他人を裏切って……レインを踏み台にして過ごしてきたのに。
レインは私には眩しすぎた。
「ミシェル!」といつもどんなときも、私の裏切りなんか知りもせず、純粋に私を友として大切に思ってくれた。
それがどれだけ私を苦しめているのか、レインは知らない。
兄様にも最後は全て話してレインに許しを乞おうと言われた。
でも私には出来なかった。
だって、レインに届いたドレスを私は勝手に自分のものにしてしまったから。
ドレスを買うお金が作れなかった。
本当は婚約者が私の好きなものを作るようにドレスショップに注文してくれていた。そこで私はドレスを注文したのに、途中で断って、そのドレス代を……妹の病院代に使ってしまった。
高熱が続き医者に診てもらったら入院させないと命が危険だと言われた。
侯爵家からもらうお金も私が卒業すれば終わってしまう。なんとか子爵家の立て直しも目処が立ったとはいえ、高額な入院代は払えない。
ドレスを諦めお金に換えた。
文官試験を頑張っていたレインには何も話していなかった。
レインが試験に合格して喜ぶ姿に私は一緒に喜び合いながらも、本当は笑うことができなかった。
お金さえあれば……こんな惨めな思いはしない。
婚約者になんて言い訳をしよう。お金がなくてせっかく作ってくれたドレスを売ったなんて言えない。彼から贈られた宝石も全て売ってしまった。
そんなとき、悪魔の囁きが聞こえた。
レインに贈られてくるドレスを自分のものにしたらいい。
贈られてくることは侯爵家から聞いていた。レインが素直に受け取るように手助けして欲しいと言われていた。
レインが受け取ったと侯爵家には伝えた。
ただし、受け取る代わりに卒業式には顔を出さないで欲しいと言っていると伝えた。
レインは侯爵家の人たちが顔を出す事をとても嫌がっていると。
侯爵家の人たちはレインが自分たちを受け入れないことはわかっていた。だから最後のプレゼントとしてレインにとても高価なドレスを贈った。
私はそれを自分のドレスとして着た。
「婚約者からのプレゼント?素敵ね?」
レインの言葉に私は満面の笑みで「ええそうなの」と答えた。
そんな私が今度は……またレインを傷つけている。
もう二度とレインが私を友達なんて思わないように。
私はずるい、嫌われようとしながらもレインを傷つけている。
今目の前にいるレインはとても悲しそうに泣きそうな顔をしていた。
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