『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道

文字の大きさ
7 / 25

第7話「岩石の迷宮」

しおりを挟む
 アルディアの街から徒歩で半日ほどの距離にある『岩石の迷宮』は、その名の通り、壁も床も全てが硬質な岩盤で構成された洞窟型のダンジョンだ。  内部は薄暗く、ひんやりとした空気が漂っている。

「本当にここでやるの? ゴーレムは刃物が通らないのよ」

 先頭を歩くサラが、不安げに振り返る。  新品のフルプレートアーマーが擦れて、カシャンカシャンと金属音を立てていた。

「心配するな。お前の仕事は敵を倒すことじゃない。敵の攻撃を引き受けることだ」 
「引き受けるって言っても……」

 サラが言い募ろうとした時、通路の奥から重低音が響いてきた。  ズシン、ズシンという振動が床を伝わってくる。

「来るぞ」

 俺が声をかけると同時に、曲がり角から巨大な影が現れた。  身長三メートルほどの岩の塊。ストーンゴーレムだ。  ごつごつした岩石が魔力で繋ぎ合わされ、人の形を成している。

「で、でかい……!」

 サラが息を飲む。  前のパーティでは、こうした硬い敵は魔法使いが処理していたのだろう。物理職の彼女にとっては天敵のはずだ。  だが、サラは騎士としての習性か、反射的に大剣を構えて前に出た。

「や、やるしかないのね! うおおおおっ!」

 気合の声と共に、サラが大剣を振り下ろす。  ガキンッ!  激しい火花が散り、サラの手から大剣が弾かれそうになった。  ゴーレムの岩肌には、浅い傷一つついただけだ。

「硬っ……!?」

 サラが体勢を崩す。  そこへ、ゴーレムの丸太のような腕が裏拳で振るわれた。

「危ない!」

 リーナが叫ぶ。  しかし俺は動かない。冷静に状況を見守る。  ドゴォッ!  鈍い音がして、サラの体が横になぎ払われた。壁に激突し、土煙が上がる。

「ぐっ……!」

 普通の人間なら即死級の一撃だ。  だが、サラはすぐに体勢を立て直し、ふらつきながらも立ち上がった。  鎧は少し凹んでいるが、彼女自身の肉体に深刻なダメージは見当たらない。

「いっ……たぁ……。なによ今の馬鹿力……」 
「無事か」 
「なんとかね。でも、次は避けなきゃ……」 
「避けるな」

 俺は短く命じる。

「は?」 
「避ける必要はない。真正面から受け止めろ。スキルを使え」

 サラは信じられないという顔をしたが、俺の目は本気だ。  彼女は唇を噛み、再びゴーレムに向き直った。

「わ、わかったわよ! あんたを信じて死ぬなら本望よ! 【挑発】!」

 サラがスキルを発動する。赤いオーラが彼女の体を包み、ゴーレムの注意が完全に彼女へと固定された。  ゴーレムが両腕を振り上げ、叩きつけるような攻撃を繰り出す。  サラは盾を構え、歯を食いしばって防御姿勢を取った。

 ズドォォン!  凄まじい衝撃音が響く。  サラの足元の岩盤がひび割れた。  だが、サラは倒れない。膝を少し折っただけで、その場に踏みとどまっている。

「……あれ? そんなに、痛くない?」

 サラが目を瞬かせる。  当然だ。彼女のHPと防御力は異常なのだから。

「よし、そのまま耐えてろ」

 俺はサラの背後から飛び出した。  ゴーレムはサラを押し潰すことに夢中で、俺の接近に気づいていない。  俺の視界には、ゴーレムの左脇腹、岩と岩の継ぎ目に、強く輝く『赤い点』が見えていた。  魔力を供給する核の位置か、あるいは構造上の脆弱点か。  どちらでもいい。そこを突けば『落ちる』。

「そこだ」

 俺は剣を突き出した。  岩の隙間に刃が吸い込まれる。  カチリ、という硬質な感触があった直後、ゴーレムの動きがピタリと止まった。

 次の瞬間、巨体は音もなく崩れ落ち、光の粒子となって消滅した。  カラン、コロン。  地面には数個の鉱石が転がっていた。

【魔鉄鉱(上質)】 
【ゴーレムの核石】

 確定ドロップ。  俺はそれらを拾い上げる。

「え……?」

 サラが盾を下ろし、自分の体と、消滅したゴーレムの跡を見比べる。

「倒したの? あの一撃で? それに私、あんな攻撃を受けたのに、ピンピンしてる……」 
「言っただろう。お前は才能がある」

 俺は拾った魔鉄鉱を放り投げてキャッチする。

「お前の耐久力は異常だ。普通の剣士なら死んでいる攻撃も、お前にとってはそよ風みたいなもんだ。だから攻撃なんてしなくていい。ただ突っ立って、敵の攻撃を引き受ける。それだけでお前は最強の盾になる」

 サラは呆然としていたが、やがてその顔にじわじわと実感が湧いてきたようだった。

「私……役に立ってるの?」 
「ああ。おかげで俺は攻撃に専念できた。最高の囮役だ」

 言い方は悪いが、サラの顔は輝いていた。  これまで「動きが遅い」「攻撃が当たらない」と罵倒され続けてきた彼女にとって、「攻撃を受けること」自体が評価されるのは初めての経験なのだろう。

「すごいわ、サラさん! あのゴーレムの攻撃を正面から受け止めるなんて!」

 リーナも駆け寄ってきて称賛する。  サラは照れくさそうに、しかし誇らしげに鼻の下をこすった。

「ま、まあね! これくらい余裕よ!」

 調子のいい奴だ。  だが、これでパーティの戦術が確立した。  サラが受けて、俺とリーナが狩る。

「よし、次へ行くぞ」

 俺たちは迷宮のさらに奥へと進む。 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

処理中です...