『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道

文字の大きさ
11 / 25

第11話「呪いの首輪」

しおりを挟む
俺たちは街の地下に広がる広大な水路、通称『地下水路ダンジョン』の入り口に立っていた。  腐敗臭と湿気が混じった生温かい風が吹き上げてくる。

「はぁ、はぁ……ごめん、足手まといで……」

 俺の背中で、ミオが苦しげな息を漏らす。  彼女の首にある『隷属の首輪』は、先ほどよりも強く赤く発光し、ゆっくりと、だが確実に収縮を始めていた。  ミオの白い肌に、鉄の跡が食い込み始めている。

「喋るな。体力を消耗する」

 俺はミオを背負い直す。  軽い。食べていないせいか、骨と皮だけのような感触だ。だが、その筋肉はしなやかで、戦士としての素質を感じさせる。

「ねえカズヤ、本当に大丈夫なの? 鍵なんて本当にあるの?」

 サラが不安そうに聞いてくる。彼女は大きな盾を構え、周囲を警戒している。  俺は【鑑定】で得た知識を反芻する。

「ある。この地下水路の主、『ジェイルキーパー』は、捕らえた獲物を閉じ込めるために様々な『鍵』を収集する習性がある。そいつのドロップリストには『万能の鍵』が含まれているはずだ」 
「はずって……確定情報じゃないの?」 
「俺の勘は当たる」

 根拠は【鑑定】だが、彼女たちには勘ということにしておく。  俺たちは暗い階段を降り、地下水路へと足を踏み入れた。

 中は薄暗く、壁には発光する苔がわずかに張り付いているだけだ。視界が悪い。  足元はぬかるみ、汚水が流れる水路が中央を走っている。

「うっ、臭いですね……」

 リーナが鼻をつまむ。  だが、俺の背中にいるミオが、ピクリと耳を動かした。

「……臭いだけじゃない。この匂い、魔物がいる」 
「どっちだ?」 
「右の通路の奥。三体……いや、四体。壁に張り付いてる」

 ミオが小声で告げる。  俺は視線を向ける。暗闇でよく見えないが、目を凝らすと天井付近に赤い点が四つ、揺らいでいるのが見えた。  『ジャイアントバット』だ。吸血コウモリの群れ。

「正解だ。コウモリがいる」 
「えっ、全然見えないわよ?」

 サラが目を凝らすが、彼女には見えていないらしい。  俺はリーナに合図を送る。

「リーナ、天井だ。俺が指差す方向を射て」 
「はい!」

 俺が指差すと同時に、リーナが矢を放つ。  風を切る音。  直後、ギャッ! という短い悲鳴と共に、ボトボトと何かが水路に落ちる音がした。

「当たった……!」 
「すごい……位置も数も完璧だった」

 サラとリーナが感嘆の声を上げる。  ミオは俺の肩に顔を埋めながら、少し得意げに鼻を鳴らした。

「当たり前だろ。私は夜目が利くし、鼻も耳もお前ら人間よりずっといいんだ」 
「役に立つな。採用して正解だった」

 俺が素直に褒めると、ミオは驚いたように体を強張らせた。

「……お世辞はいい。どうせ使い捨ての道具だろ」 
「道具ならメンテナンスをする。使い捨てにするつもりなら、わざわざこんな臭いドブ川には来ない」

 俺は淡々と言う。  ミオはしばらく黙っていたが、やがて小さな声で呟いた。

「……変な奴」

 少しだけ、彼女の警戒心が緩んだ気がした。

 俺たちはさらに奥へと進む。  道中、水路から飛び出してくる『ポイズントード』や、物陰に潜む『アサシンラット』などを、ミオがいち早く察知し、俺たちが処理する。  完璧な連携だった。  奇襲を受けないというのは、これほどまでにストレスがないものか。  サラの防御も、リーナの射撃も、初動が早くなることで安定感が増している。

「ぐっ……ぁ……!」

 不意に、ミオが呻き声を上げた。  首輪が、さらに一段階締まったようだ。彼女の手が俺の服を強く握りしめる。  呼吸がヒューヒューと浅くなっている。

「ミオちゃん!」 
「時間がありません、マスター!」 
「ああ、分かっている」

 俺は足を速める。  ミオの限界が近い。  だが、焦って突出して罠にかかっては元も子もない。

「ミオ、意識を保て。もうすぐ最深部だ。そこにお前の命綱がある」
「は、はい……。まだ、死にたく……ない……」

 彼女の意識が朦朧としている。  俺は走った。  水路の構造は複雑だが、俺は時折見える魔物の配置から、より強い魔物がいる方向――つまりボスがいる方向を推測して進む。

 やがて、ひと際大きな鉄格子のある広間に出た。  床には骨が散乱し、錆びついた鎖が垂れ下がっている。  処刑場のような場所だ。

 ジャラララ……。

 奥から、鎖を引きずる音が響いてきた。  闇の中から姿を現したのは、ボロボロの黒いローブを纏い、両手に巨大な断頭斧を持った骸骨の魔物だった。  その腰には、ジャラジャラと無数の鍵束がぶら下がっている。

【種族:ジェイルキーパー】 
【討伐推奨レベル:40】 
【ドロップアイテム:処刑人の斧、亡者の衣、万能の鍵(SR)】

「いたぞ」

 俺はミオを安全な壁際に下ろす。  彼女は首を押さえ、苦悶の表情でその魔物を見上げた。

「あいつ……鍵を……」 
「待ってろ。すぐ取ってきてやる」

 俺は剣を抜き、サラとリーナに指示を出す。

「総力戦だ。あいつを倒して、鍵を奪う」

 ジェイルキーパーが俺たちに気づき、空洞の眼窩に赤い光を灯した。  カチカチと歯を鳴らし、巨大な斧を振り上げる。

 獲物は目の前だ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界に召喚されたら職業がストレンジャー(異邦”神”)だった件【改訂版】

ぽて
ファンタジー
 異世界にクラスごと召喚された龍司だったが、職業はただの『旅人』?  案の定、異世界の王族貴族たちに疎まれて冷遇されていたのだが、本当の職業は神様!? でも一般人より弱いぞ、どゆこと?  そんな折に暗殺されかけた挙句、どさくさに紛れてダンジョンマスターのシータにプロポーズされる。彼女とともに国を出奔した龍司は、元の世界に戻る方法を探すための旅をはじめた。……草刈りに精を出しながら。 「小説家になろう」と「ノベルバ」にも改定前版を掲載中です。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

処理中です...