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第13話「一撃の解放」
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俺の剣が、ジェイルキーパーの核――『赤い点』を貫いた瞬間、世界が静止したかのような感覚があった。 骨と骨の狭間、わずか数センチの隙間を縫って突き刺さった刃は、その奥にある魔力の源泉を粉砕したのだ。
「グ、オ……ォ……」
死神の口から、空気が抜けるような音が漏れる。 空洞の眼窩に灯っていた赤い光が、フッと掻き消えた。 直後、巨大な骸骨の体が輪郭を失い、無数の光の粒子となって弾け飛んだ。
カラン、ジャララ……。
地面に落ちたのは、先ほどまで奴が振るっていた巨大な斧と、ボロボロの布、そして手のひらサイズの金属片だった。
「ふぅ……」
俺は息を吐き、剣を納める。 サラが座り込み、リーナが弓を下ろす。二人とも激しい消耗を見せているが、今は休んでいる暇はない。 俺はすぐにドロップ品の元へ駆け寄る。 真っ先に拾い上げたのは、黄金色に輝く奇妙な鍵だった。 複雑な溝が刻まれているが、どこか不定形で、見る角度によって形状が変わるようにも見える。
【鑑定】
【万能の鍵(スケルトン・キー)】
【レアリティ:SR】
【効果:あらゆる物理的・魔術的な錠前を開錠する。ただし、神話級の封印などは対象外】
これだ。 俺は他のドロップ品――『処刑人の斧(攻撃力+300、即死効果あり)』と『亡者のローブ』をインベントリに放り込むと、壁際で倒れているミオの元へ走った。
「ミオ!」
彼女の意識はもう途切れかけていた。 顔は蒼白で、唇は紫色に変色している。 首輪が肉に食い込み、気道を完全に塞ごうとしていた。 俺が近づくと、彼女は薄く目を開け、何かを言おうとして口をパクパクとさせたが、声にならない。
(間に合え……!)
俺はミオの上体を抱き起こす。 震える手で首輪の鍵穴を探す。 鉄の冷たさと、ミオの体温の熱さが同時に伝わってくる。
あった。 首の後ろ、小さな鍵穴。 俺は『万能の鍵』を差し込んだ。 鍵はまるで液状化したように形を変え、鍵穴の内部構造に完璧に適合していく。
カチリ。
小さく、だが明確な音が地下空間に響いた。 次の瞬間、ミオの首を締め上げていた鉄の輪が、パカリと左右に開いて地面に落ちた。
「かはっ……! げほっ、ごほっ……!」
ミオが激しく咳き込む。 喉に空気が通り、堰き止められていた血流が巡り始める。 俺は彼女の背中をさすりながら、様子を見る。 首には赤黒い跡が残っているが、呼吸は戻ったようだ。
「はぁ……はぁ……うぅ……」
ミオは涙目で何度も呼吸を繰り返し、自分の首筋を恐る恐る触れた。 そこにあるはずの冷たい拘束具がないことを確認すると、信じられないという顔で俺を見た。
「とれ……た……?」
「ああ。約束通りな」
「本当に……鍵を……」
彼女は地面に転がる真っ二つになった首輪と、俺の手にある金色の鍵を交互に見た。 そして、へなへなと俺の胸に寄りかかってきた。
「死ぬかと……思った……」
「死なせるわけないだろ。お前は貴重な戦力だ」
「……またそれ」
ミオは力なく笑ったが、その表情には安堵の色が広がっていた。 サラとリーナも駆け寄ってくる。
「よかったぁ! ミオちゃん、無事!?」
「顔色は悪いけど、呼吸はしっかりしてる。ポーションを飲めば大丈夫そうですね」
リーナが手持ちの下級ポーションを取り出し、ミオに飲ませる。 首に残った痛々しい跡が、少しずつ薄くなっていく。
「……ありがとう。みんな」
ミオが小さな声で礼を言った。 あの牙を剥き出しにしていた獣のような少女が、初めて見せた素直な反応だった。
「礼を言うのは早いぞ。ここから出なきゃならない」
「……ああ、そうだな。歩ける。足の怪我は治ってるし」
ミオは立ち上がろうとするが、ふらついて俺の腕を掴む。 まだ無理はさせられない。
「サラ、お前が背負え。盾はしまう」
「えっ、私が? まあ、いいけど……軽そうだし」
「悪いな、デカ女」
「誰がデカ女よ! お姉さんと言いなさい!」
サラが文句を言いながらも、優しくミオを背負う。 その背中で、ミオは安心したように目を閉じた。
俺は『万能の鍵』をポケットにしまい、周囲を見渡す。 ジェイルキーパーが守っていたこの部屋の奥には、宝箱があるはずだ。 ドロップ品だけでも十分な収穫だが、迷宮踏破の報酬も忘れてはいけない。
部屋の隅に、古びた鉄の箱が置かれていた。 通常なら罠が仕掛けられている可能性があるが、今の俺には『万能の鍵』がある。 鍵穴に差し込むと、やはり音もなく開錠された。
中に入っていたのは、一冊の古びた本と、数枚の金貨。 本を【鑑定】する。
【スキル書:シャドウステップ】
【効果:影に潜み、短距離を瞬時に移動する暗殺術】
盗賊用のレアスキルだ。 俺が使うこともできるが、適性を考えればミオに覚えさせるのが最適解だろう。 彼女の機動力が上がれば、それだけ俺たちの生存率も上がる。
「いい拾い物をした」
俺は本を回収し、振り返る。
「帰るぞ。今日は祝杯だ」
「やったー! お酒飲んでいいの!?」
「サラ、お前は飲み過ぎるなよ。明日も狩りだ」
「えー、ケチー」
軽口を叩きながら、俺たちは地下水路を後にする。 背後で、ミオが小さく寝息を立てていた。 首輪の跡はまだ消えないが、彼女を縛るものはもう何もない。 あるのは、俺との「契約」だけだ。
だが、その契約は、かつての強制的なものとは質が違うものになりつつある。 俺は確信する。 このパーティは強くなる。 俺が欲しいものを全て手に入れるための、最強の道具として。
「グ、オ……ォ……」
死神の口から、空気が抜けるような音が漏れる。 空洞の眼窩に灯っていた赤い光が、フッと掻き消えた。 直後、巨大な骸骨の体が輪郭を失い、無数の光の粒子となって弾け飛んだ。
カラン、ジャララ……。
地面に落ちたのは、先ほどまで奴が振るっていた巨大な斧と、ボロボロの布、そして手のひらサイズの金属片だった。
「ふぅ……」
俺は息を吐き、剣を納める。 サラが座り込み、リーナが弓を下ろす。二人とも激しい消耗を見せているが、今は休んでいる暇はない。 俺はすぐにドロップ品の元へ駆け寄る。 真っ先に拾い上げたのは、黄金色に輝く奇妙な鍵だった。 複雑な溝が刻まれているが、どこか不定形で、見る角度によって形状が変わるようにも見える。
【鑑定】
【万能の鍵(スケルトン・キー)】
【レアリティ:SR】
【効果:あらゆる物理的・魔術的な錠前を開錠する。ただし、神話級の封印などは対象外】
これだ。 俺は他のドロップ品――『処刑人の斧(攻撃力+300、即死効果あり)』と『亡者のローブ』をインベントリに放り込むと、壁際で倒れているミオの元へ走った。
「ミオ!」
彼女の意識はもう途切れかけていた。 顔は蒼白で、唇は紫色に変色している。 首輪が肉に食い込み、気道を完全に塞ごうとしていた。 俺が近づくと、彼女は薄く目を開け、何かを言おうとして口をパクパクとさせたが、声にならない。
(間に合え……!)
俺はミオの上体を抱き起こす。 震える手で首輪の鍵穴を探す。 鉄の冷たさと、ミオの体温の熱さが同時に伝わってくる。
あった。 首の後ろ、小さな鍵穴。 俺は『万能の鍵』を差し込んだ。 鍵はまるで液状化したように形を変え、鍵穴の内部構造に完璧に適合していく。
カチリ。
小さく、だが明確な音が地下空間に響いた。 次の瞬間、ミオの首を締め上げていた鉄の輪が、パカリと左右に開いて地面に落ちた。
「かはっ……! げほっ、ごほっ……!」
ミオが激しく咳き込む。 喉に空気が通り、堰き止められていた血流が巡り始める。 俺は彼女の背中をさすりながら、様子を見る。 首には赤黒い跡が残っているが、呼吸は戻ったようだ。
「はぁ……はぁ……うぅ……」
ミオは涙目で何度も呼吸を繰り返し、自分の首筋を恐る恐る触れた。 そこにあるはずの冷たい拘束具がないことを確認すると、信じられないという顔で俺を見た。
「とれ……た……?」
「ああ。約束通りな」
「本当に……鍵を……」
彼女は地面に転がる真っ二つになった首輪と、俺の手にある金色の鍵を交互に見た。 そして、へなへなと俺の胸に寄りかかってきた。
「死ぬかと……思った……」
「死なせるわけないだろ。お前は貴重な戦力だ」
「……またそれ」
ミオは力なく笑ったが、その表情には安堵の色が広がっていた。 サラとリーナも駆け寄ってくる。
「よかったぁ! ミオちゃん、無事!?」
「顔色は悪いけど、呼吸はしっかりしてる。ポーションを飲めば大丈夫そうですね」
リーナが手持ちの下級ポーションを取り出し、ミオに飲ませる。 首に残った痛々しい跡が、少しずつ薄くなっていく。
「……ありがとう。みんな」
ミオが小さな声で礼を言った。 あの牙を剥き出しにしていた獣のような少女が、初めて見せた素直な反応だった。
「礼を言うのは早いぞ。ここから出なきゃならない」
「……ああ、そうだな。歩ける。足の怪我は治ってるし」
ミオは立ち上がろうとするが、ふらついて俺の腕を掴む。 まだ無理はさせられない。
「サラ、お前が背負え。盾はしまう」
「えっ、私が? まあ、いいけど……軽そうだし」
「悪いな、デカ女」
「誰がデカ女よ! お姉さんと言いなさい!」
サラが文句を言いながらも、優しくミオを背負う。 その背中で、ミオは安心したように目を閉じた。
俺は『万能の鍵』をポケットにしまい、周囲を見渡す。 ジェイルキーパーが守っていたこの部屋の奥には、宝箱があるはずだ。 ドロップ品だけでも十分な収穫だが、迷宮踏破の報酬も忘れてはいけない。
部屋の隅に、古びた鉄の箱が置かれていた。 通常なら罠が仕掛けられている可能性があるが、今の俺には『万能の鍵』がある。 鍵穴に差し込むと、やはり音もなく開錠された。
中に入っていたのは、一冊の古びた本と、数枚の金貨。 本を【鑑定】する。
【スキル書:シャドウステップ】
【効果:影に潜み、短距離を瞬時に移動する暗殺術】
盗賊用のレアスキルだ。 俺が使うこともできるが、適性を考えればミオに覚えさせるのが最適解だろう。 彼女の機動力が上がれば、それだけ俺たちの生存率も上がる。
「いい拾い物をした」
俺は本を回収し、振り返る。
「帰るぞ。今日は祝杯だ」
「やったー! お酒飲んでいいの!?」
「サラ、お前は飲み過ぎるなよ。明日も狩りだ」
「えー、ケチー」
軽口を叩きながら、俺たちは地下水路を後にする。 背後で、ミオが小さく寝息を立てていた。 首輪の跡はまだ消えないが、彼女を縛るものはもう何もない。 あるのは、俺との「契約」だけだ。
だが、その契約は、かつての強制的なものとは質が違うものになりつつある。 俺は確信する。 このパーティは強くなる。 俺が欲しいものを全て手に入れるための、最強の道具として。
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