『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道

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第19話「火山の主」

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アルディアの街から北へ進むと、景色は一変する。  緑豊かな森は消え、赤茶けた荒野が広がり、その中心に黒煙を噴き上げる巨大な山が聳え立っている。  火山ダンジョン『イグニス・マウンテン』だ。

「あっつぅ……! ちょっと、何よこれ! サウナのほうがマシよ!」

 入り口に立った時点で、サラが滝のような汗を流して悲鳴を上げた。  金属鎧を着ている彼女にとって、この環境は拷問に近い。  リーナとミオも顔を真っ赤にして、荒い呼吸を繰り返している。

「マスター……これ、進む前に干からびちゃいます……」 
「息を吸うだけで喉が焼けるぞ……」

 だが、俺は涼しい顔をしていた。  装備している『火竜の革鎧』が、周囲の熱を完全に遮断し、さらに適度な冷気すら循環させてくれているからだ。SSR防具の性能は伊達ではない。

「安心しろ。対策はしてある」

 俺はインベントリから、レッドワイバーンから剥ぎ取った『火竜の赤鱗』を三枚取り出し、それぞれに手渡した。

「それを持ってろ。熱吸収の効果がある」 
「えっ? うわ、ほんとだ! これを持った瞬間、周りの空気がひんやりした!」

 サラが鱗を頬に押し当てて喜ぶ。  この鱗は本来、鍛冶素材として使われるものだが、素材そのものが持つ「熱干渉力」を利用すれば、簡易的なクーラー代わりになる。

「行くぞ。この奥に、俺が求めている最強の剣がある」

 俺たちは洞窟内部へと侵入した。  中は溶岩が川のように流れ、壁面も赤熱している。  現れる魔物は『マグマスライム』や『フレイムハウンド』といった火属性の魔物ばかりだ。

「邪魔だ」

 俺は襲い掛かってくる炎の犬を、真正面から蹴り飛ばした。  バシュッ!  犬の体から炎が吹き上がるが、俺の足には熱さすら伝わらない。鎧の『耐熱結界』と『火属性無効』が完璧に機能している。  蹴り飛ばされて隙を見せた犬の首元にある赤い点を、剣で一突き。  即死。

「カズヤ、あんた今の装備だと無敵ね。火の中歩いても平気そう」 
「試す気はないが、マグマのしぶき程度なら問題ないな」

 俺たちは最短ルートを進む。  ミオの【索敵】と、俺の【鑑定】によるルート選定で、無駄な戦闘は避ける。  目指すは最下層。火口の真下にある広間だ。

 一時間ほど進むと、広大な地下空洞に出た。  そこは一面が溶岩の湖になっており、中央に浮かぶ小島のような岩場が、唯一の足場だった。

「……いるぞ」

 俺が足を止めると同時に、溶岩の湖がボコボコと泡立ち始めた。    ゴオオオオオオッ!

 爆発音と共に、溶岩の柱が立ち昇る。  飛沫が集束し、巨大な人の形を形成していく。  燃え盛る炎の巨体。筋肉の一本一本がマグマで構成され、頭部には二本の角が生えている。

【種族:イフリート(火山の主)】 
【討伐推奨レベル:50】 
【ドロップアイテム:炎精の核、獄炎の灰、炎帝の剣(UR)】

 出た。  UR(ウルトラレア)。  『炎帝の剣』。攻撃力最強クラスの魔剣だ。  俺の喉が鳴る。

「で、デカい……! それに、実体があるようでないわよ!?」

 サラが盾を構えるが、その顔には焦りが見える。  イフリートは炎の精霊だ。物理的な実体を持たない流動体。  剣で斬っても、炎をかき混ぜるだけだ。

「物理無効……どうやって倒すんですか!?」 
「火は斬れないぞ!」

 リーナとミオも叫ぶ。  イフリートが腕を振り上げ、巨大な火球を生成した。  それを俺たちめがけて投げつけてくる。

「サラ、防げ!」 
「無茶言わないでよ! ……【絶対防御】ッ!」

 サラが前に出て、盾を展開する。  ドォォォン!  火球が盾に直撃し、爆炎が周囲を包む。  だが、サラの盾は魔法ダメージもカットする。彼女は歯を食いしばりながらも、その場に踏みとどまった。

「熱いけど……耐えられる!」 
「よし。攻撃のチャンスを作るぞ」

 俺はイフリートを凝視する。  物理攻撃は効かない。だが、奴の体内には魔力を供給する『核』が存在する。  そして、その核こそがドロップ判定を持つ『急所』だ。

 今の状態では、核は体内の奥深くにあり、炎の層に守られていて手が出せない。  だが、俺の【鑑定】には、奴の行動パターンと弱点の露出タイミングが表示されている。

『大技を放った直後、魔力再充填のために核が実体化する』

 奴に全力を出させる。  それが勝利への鍵だ。

「総員、散開! 奴を怒らせろ!」

 俺の指示で、三人が左右に走る。  イフリートの視線が分散する。  俺は剣を抜き、溶岩の湖の縁ギリギリに立った。

「こっちだ、焚き火野郎! その程度の火力じゃ、俺の装備は焦げ目もつかないぞ!」

 俺は挑発しながら、あえて炎の攻撃を受け流す。  イフリートの顔が怒りで歪んだ(ように見えた)。  周囲の溶岩が集まり、奴の体が一回り大きくなる。  来る。最大火力の広範囲攻撃が。

「全員、サラの後ろに隠れろ! 来るぞ!」

 俺の叫びに、散らばっていた三人が全力でサラの背後へ集合する。  イフリートが両手を広げ、周囲の空間全てを焼き尽くす熱波『地獄の業火(インフェルノ)』を放った。

 視界が真っ白になるほどの炎。  だが、その一瞬の後に訪れる『隙』を、俺は見逃さない。  赤い点が、俺を呼んでいる。
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