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こうしてると本当の親子みたい
しおりを挟む大勢集まると一人はいるんじゃなかろうか。こうやって全員と友達ですみたいな顔していて、なおかつ全員が前から友達だったと勘違いしてしまうような奴。
それが信二だ。
信二は高校一年生のときに浩人と同じクラスになったらしく、それからはよく一緒につるむようになったとか。
馴れ馴れしいとも言えるが、嫌な気にはならないし、実際いいやつだ。
「で、そちらは二人の子ども?産んだの?」
「産んでねーわ」
こ、子どもが出来るようなことしてないし!
浩人はぼくの腹に腕を回して肩口に顎を置いて尋ねてきた。
「シオン、産めるの?」
天使は両性具有というか、相手によって体の性別が変わる。ぼくは、性質は男として生まれている。だが必要性があれば、体は女性のような機能を持ったものに変わる。
つまり、ぼくが女の子であることを望む者と結ばれる時、ぼくの体は女性の機能を有するのだ。
が、これは内緒だ。なぜなら
「産めるわけないでしょ、男なんだから」
「ふーん」
ということにしておかないと、浩人が何をしてくるか分からないからだ。
何かしてくることもあってはならないことだが、それよりも、何かしてきたときに女性の体になってしまったら。そう考えると何故か胸が痛む。
そんなぼくの胸中を知ってか知らずか、浩人は背後からぼくの抱く赤子の頬をぷにぷにとつついている。
おい、いい加減離れろ。写真を撮られている。
以前写真を撮られて、SNSとかいうやつに載せられたときは大変だった。
何を思ったのかその辺にいた天使たちが寄って来て、思い思いのポーズを取りながら写り混んだ。
しかし天使と関わりのない人間にぼくたちは天使として認識されないため、輝く羽根が大量に舞散る神秘的なものに見えたようだ。
浩人への取材が跡を絶たず、奇跡を呼ぶ写真だとか幸運の写真だとか好きなように呼ばれていた。
実際、あの写真を見た人にはラッキーなことがあったと思う。
すごいぞ、あんなに天使があつまって。
「あ、そうだ。信二、写真撮ってよ」
「は?」
ぼくの返事を無視しカメラを構える信二。
「ちょっと!ぼくは良いって言ってないぞ」
「まぁまぁ。そんなこと言ってると、また「痛い」しか言ってくれなくなるぞ」
どこから見ていたんだ。
「ほーら!シオン、にっこり。せっかくの綺麗な顔を後世に残すと思って」
「確かにぼくのこの美しい顔を後世に残さないなどというのは罪に値するな」
ちょろいな、という二人の声はぼくに届かない。
「家族写真みたいだな」浩人が楽しそうに言った。「こうしてると本当の親子みたいだろ」
本当の、親子。
「……どうしたら、そう見えるんだよ」
熱くなった頬を隠すように顔を背けた。
ちらりと見やった浩人の横顔は、とても嬉しそうに見えて。まあ、これも恩返しの一環ということにしておくか。
ちょ、こら。スマホの待受にするのはやめろ。
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