聖女だったのはお城で召喚された彼女ではなく、前世の記憶を取り戻した嫌われ王女の私だったようです。

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極悪王女の所業

悪魔の所業②

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失神してしまったメイドを見てつまらなさげに溜め息を漏らす。

「…つまらないわ、彼女も。もっと… もっともっと痛み悶える声が聞きたいの…!」

兄たちはそんな私のことを狂ってるというけれど、私こそは正常で彼らがおかしいの。だって、私たちは王族だもの。何をしたって赦されるものなのよ?

部屋を出て回廊を歩いていると、バッタリ王族の一人と会う。王族といっても、私からすれば彼は王族の末端に過ぎないのだけど。拷問する以外に全てに関心を無くしてしてしまった私は彼の名前さえも… 霞に掛かって忘れてしまったのだけど、それさえも私にとってどうでもいいの。

「…っお前は恥ずかしくないのか!?またメイドが一人いなくなったというじゃないか!!!」

どうして、メイド如きでゴタゴタ騒ぐの?私の繊細な耳を痛めてしまうわ。

「貴方に、関係あって?私のメイドを主人である私がどうしようと勝手でしょう」

毎度毎度、すれ違う度にこうして突っかかる彼に嫌気がさして軽くあしらう。貴方とこうして話す時間が無駄なの。私には次のターゲットを誰にしようか決めなきゃいけないのよ?…だって、唯一の娯楽だもの。それを取り上げるのは身内とはいえ、赦さないわ。

  ───…あ、ああっっ!!そうしましょ!そうしましょ!!私ってばなんて頭がいいの。目の前にいるじゃない!次の拷問に掛かる相手が。

開いた扇で吊り上がる口許を隠し、目を細める…

張りのある若くて綺麗な肌、程よい筋肉がついていて引き締る体つきに加え、王族とはいえ、末端の彼なら…いなくっても、大して構わないでしょうと勝手に位置付ける。

───だから、目を細めて扇で隠した口許を彼の耳に寄せてこう言うの。

「まあ!怖いお顔…。なら、早くしないと間に合わないかもしれなくってよ?」

「なん、だと…!」

凄い剣幕で振り返る彼に私は、ああっ!可笑しいっと笑ってしまう。

「…彼女、実はね、まだココにいるのよ?私の髪を梳かしに来たのだけど。彼女、私の大切な髪の毛を何本か抜いてしまったの。だから… コレは罰なの。」

「狂ってる…っ!ふざけるな!そんな理由で…!!」

でも、あの子はすぐに失神してしまった。だから、代わりとなる者を捜していたの。外に出るのも億劫で部屋から出ることもあまりなかったのだけど、次のターゲットを誰にしようか、物色しに久しぶりに部屋を出てみたら良い者を見つけた。

……たまには、こうして部屋から出てみるのも悪くはないわね。

「あら、そう?でも、こんなところで私に怒りをぶつける暇なんて貴方にあるのかしら?」

「なに…?どういうことだッ!?」


「彼女ね、まだ私の部屋にある奥の拷問部屋にいるのだけど、もう彼女は用済みなの。こんなところで私に油売ってないで彼女を早く助けてあげないと… 」

『───死ぬわよ?』

目を窄め、扇で隠した口許の笑みを深めた。

「な゙…ッ!?」

「今なら、まだ助かるかも?でも、貴方が他の人間を呼んでる時間なんて無いと思うわよ?私と此処で油売ってる時間もね」

「…クソッ、」

サッと踵を反し、焦燥感を浮かべた彼は私の部屋の方向へと走っていく。ああ、可笑しい…。どうして、彼は何も疑わないのかしら?素直に教えてあげる理由なんて… 決まっているじゃない。

にんまり笑みを浮かべ、来た道へ帰る。気分はルンルンであまりに嬉しくて思わずスキップが出そうになる。そしてそんな珍しく機嫌のいい私を目にしたメイドや執事たちはこぞって顔面蒼白でガタガタ震えていて、普段なら… 次のターゲットに誰を選ぶか迷うところだけど、今の私は機嫌がもの凄く良いの。だから、赦してあげる。

───私は優しいもの。たまには彼らにも慈悲を与えなければいけないものね。

それに、がどのくらい耐えられるのか、愉しみですもの。

「うふふ…っ!」

彼は男性ですもの。どんな拷問がいいかしら?バラす?爪を剥がす?耳を裂く?目玉を抉る??ああっ!なんて、愉しいの!!!なぜ、もっと早く彼をターゲットにしなかったのかしら!ああ、でも彼は末端とはいえ、貴重な王族の一員。殺してはダメね?……すぐに死ななきゃいいのだけど。
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