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序
『なぜか、姉の身代わりをやれと言われました』
─────……
───…
「父上、アランです」
扉をノックすると、すかさず『入れ』という父の声が聞こえた為、中に入るとそこには執務机で組んだ手の上に顎を置き、深い深い溜め息をつく父上がいた。
「……父上?」
『ああ、来たかアラン』
そう言う父上は酷く顔色が悪い。やはり、何かあったんだろうか?そして、思いつめた表情の父上がやっと口を開いた。
『…単刀直入に言おう。すまない、アラン。姉の代わりに殿下の… 王太子の婚約者を務めてほしい』
「……は?」
・・・あっれ?おかしい。姉上に付き合わされて毎日寝不足に見舞われている僕の耳がとうとうおかしくなったらしい。あの厳格な父上の口から出たあるまじき言葉に思わず耳を疑った。
「すみません、父上。最近、寝不足が酷くて…」
どうも、言葉を聞き間違えたみたいですと笑顔で言えば父上はその表情をしかめた。
『…いや、聞き間違えなんかじゃない。お前が自分の耳を疑う気持ちはわかる。だが、もう… これしかないんだ』
「・・・・」
笑顔のまま固まった、いや、顔が引き攣る僕の反応は何もおかしくないと思う。
『はぁ、ソフィアが… 家出したんだ』
固まる僕を見て、さすがに罪悪感を覚えたのか父上はそう切り出した。
「は… え、姉上が家出したんですか!?」
『そうだ。ソフィア付きのメイドが朝、部屋に入ったときに気付いたらしい。机に置き手紙があったそうだ』
そう言って酷く焦燥した表情の父上は頭を抱えていた。
『これと言って、あの子の最近の様子に特に変わったところもなかった!敢えて言うなら、王太子との婚前だというくらいしか…。だが、この婚約はそもそもあの子のほうから強請ったものだ。嫌になって逃げ出した、とは考えにくい。だから、何に不満があってこんな状況を招いたのか、検討がつかん…っ!』
・・・いや、間違いなく、それでしょ。つか、えっ…まさか昨日の今日で、え!?こんな行動に移すなんて… これ、ひょっとして、僕だけが真相を知ってる?……でも、もし父上に。いや、やっぱりダメだ!僕までもが絶対にとばっちりが来ることは目に見えている!
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う、ん…?だからって、なんで僕が代わりに?
『だ… だから、だな?その、お前に… 姉のソフィアに代わってその身代わりを務めてほしいのだ』
妙案だとばかりにこちらを見た父上がなぜか瞬時に表情を強張らせた───。
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