14 / 117
- 乙女ゲームの世界観と宿命 -
『バクは中身もイケメン』
しおりを挟む
「そのうち、僕の私物も… 消えていくようになりました。彼は人気者だから、きっと彼に好意を寄せられていることに対しての… 報復だと、彼のファン達からの嫌がらせだと思っていました。
だけど、違ったんです。
消えた私物…。犯人は彼でした。ある日、放課後の教室にその日、使用した水着のことを思い出して取りに戻ったときでした。彼が僕の席のところから… 僕の水着を手に取って、匂いを嗅いでいたんです」
今でも… 思い出します。あのとき、咄嗟に… 隣の席から拝借したパイプ椅子を掴んで袋叩きに…
『え゙?』
「?…どうかしましたか??あ、すみません!いつの間にか、思い耽りすぎて話が途切れてしまいましたね。えーっと…。どこまで話しました?」
へらっと取り繕うように笑う。
そう、確かあのとき… 飛び散った血痕がそのパイプ椅子に付着して大騒ぎになりましたっけ?今振り返ればそれも懐かしい思い出ですね。
・・・しかし、気のせいでしょうか?
バクの表情が些か引き攣っているように見えますが。
「それで… そのときに理解したんです。
ずっと、いじめに遭っていると…。嫌がらせを受けていると思っていたのが、まさかのクラス一番の人気者、妹の告白をフッて僕を好きだと言った彼の… ストーキング行為によるものだったと。
……今さら驚くほどでもありませんでしたが、気持ち悪すぎて、一瞬、思考が停止したくらいです」
くすっと微笑んだ僕にバクの表情が変わったような気がした。
「そのまま、先生に突き出しても周りに訴えても誰も信じてくれませんでした。
それはそうですよね、僕は地味で目立たない一クラスメイト。相手は変態でも超絶イケメンのクラスの人気者。明るくて、気さくで勉強が出来てスポーツもできる…。先生からの信頼も厚くて、どんな人間に対しても分け隔てなく接してくれる… 男女関係なくモテる彼が変態だと、僕の物を盗んだって言って… 誰が信じる?
――‥ 誰も信じてくれませんでした。
友達も… 親友も」
みんな… ッ誰も僕の言うことなんて、信じてくれなかった…ッ と声が震える。地獄だった。友達も親友も皆いなくなって、毎日が辛くて悲しかった。
そのうち、疑心暗鬼になって誰も信じられなくなった。それから家に引き篭もるようになった。妹は相変わらず暴力を振るうけど、あんな学園にいてるよりもずっとマシだった。
何よりも堪えたのは… 友達と親友に信じてもらえなかったことでした。あんな変態よりも… 親友たちに ”ウソつき” 呼ばわりされたのが… 何よりも辛かった。
だから、妹に罵られようと、
それでも家に引き篭もれるなら… 元友達と元親友に会うくらいなら… また傷つくくらいなら…ッ
『もういい』
え…?
一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。
『もういいよ。すごく… 辛かったんだね』
ふわりと風を感じて、顔を上げるとバクが僕を抱きしめていた。
「バ、ク…?」
人型のバクに抱きしめられたまま、その腕の中でバクを見上げる。すると、バクは困ったように僕に笑った。
『あーぁ。泣かせちゃったね、ごめんね…』
バクの言葉に、そこで初めて泣いていたことに気づいた。
『僕はこの世界のことなら分かるけど、キミが元いた世界のことは知らなかったんだ。…ただ、キミの僕を見る目が気になって。
キミを泣かせるつもりはなかったんだ。本当にごめん』
「ちが…っ!バクは悪くなんか…」
本当に一瞬だった。
「ンな…っ/// Σちょ、バ、バク…!?」
バクが… 涙で濡れた僕の目尻に、そっとキスを落としたのは――。
だけど、違ったんです。
消えた私物…。犯人は彼でした。ある日、放課後の教室にその日、使用した水着のことを思い出して取りに戻ったときでした。彼が僕の席のところから… 僕の水着を手に取って、匂いを嗅いでいたんです」
今でも… 思い出します。あのとき、咄嗟に… 隣の席から拝借したパイプ椅子を掴んで袋叩きに…
『え゙?』
「?…どうかしましたか??あ、すみません!いつの間にか、思い耽りすぎて話が途切れてしまいましたね。えーっと…。どこまで話しました?」
へらっと取り繕うように笑う。
そう、確かあのとき… 飛び散った血痕がそのパイプ椅子に付着して大騒ぎになりましたっけ?今振り返ればそれも懐かしい思い出ですね。
・・・しかし、気のせいでしょうか?
バクの表情が些か引き攣っているように見えますが。
「それで… そのときに理解したんです。
ずっと、いじめに遭っていると…。嫌がらせを受けていると思っていたのが、まさかのクラス一番の人気者、妹の告白をフッて僕を好きだと言った彼の… ストーキング行為によるものだったと。
……今さら驚くほどでもありませんでしたが、気持ち悪すぎて、一瞬、思考が停止したくらいです」
くすっと微笑んだ僕にバクの表情が変わったような気がした。
「そのまま、先生に突き出しても周りに訴えても誰も信じてくれませんでした。
それはそうですよね、僕は地味で目立たない一クラスメイト。相手は変態でも超絶イケメンのクラスの人気者。明るくて、気さくで勉強が出来てスポーツもできる…。先生からの信頼も厚くて、どんな人間に対しても分け隔てなく接してくれる… 男女関係なくモテる彼が変態だと、僕の物を盗んだって言って… 誰が信じる?
――‥ 誰も信じてくれませんでした。
友達も… 親友も」
みんな… ッ誰も僕の言うことなんて、信じてくれなかった…ッ と声が震える。地獄だった。友達も親友も皆いなくなって、毎日が辛くて悲しかった。
そのうち、疑心暗鬼になって誰も信じられなくなった。それから家に引き篭もるようになった。妹は相変わらず暴力を振るうけど、あんな学園にいてるよりもずっとマシだった。
何よりも堪えたのは… 友達と親友に信じてもらえなかったことでした。あんな変態よりも… 親友たちに ”ウソつき” 呼ばわりされたのが… 何よりも辛かった。
だから、妹に罵られようと、
それでも家に引き篭もれるなら… 元友達と元親友に会うくらいなら… また傷つくくらいなら…ッ
『もういい』
え…?
一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。
『もういいよ。すごく… 辛かったんだね』
ふわりと風を感じて、顔を上げるとバクが僕を抱きしめていた。
「バ、ク…?」
人型のバクに抱きしめられたまま、その腕の中でバクを見上げる。すると、バクは困ったように僕に笑った。
『あーぁ。泣かせちゃったね、ごめんね…』
バクの言葉に、そこで初めて泣いていたことに気づいた。
『僕はこの世界のことなら分かるけど、キミが元いた世界のことは知らなかったんだ。…ただ、キミの僕を見る目が気になって。
キミを泣かせるつもりはなかったんだ。本当にごめん』
「ちが…っ!バクは悪くなんか…」
本当に一瞬だった。
「ンな…っ/// Σちょ、バ、バク…!?」
バクが… 涙で濡れた僕の目尻に、そっとキスを落としたのは――。
43
あなたにおすすめの小説
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
BLゲームの脇役に転生したはずなのに
れい
BL
腐男子である牧野ひろは、ある日コンビニ帰りの事故で命を落としてしまう。
しかし次に目を覚ますと――そこは、生前夢中になっていた学園BLゲームの世界。
転生した先は、主人公の“最初の友達”として登場する脇役キャラ・アリエス。
恋愛の当事者ではなく安全圏のはず……だったのに、なぜか攻略対象たちの視線は主人公ではなく自分に向かっていて――。
脇役であるはずの彼が、気づけば物語の中心に巻き込まれていく。
これは、予定外の転生から始まる波乱万丈な学園生活の物語。
⸻
脇役くん総受け作品。
地雷の方はご注意ください。
随時更新中。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる