断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

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- 乙女ゲームの世界観と宿命 -

『バクは中身もイケメン』

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「そのうち、僕の私物も… 消えていくようになりました。彼は人気者だから、きっと彼に好意を寄せられていることに対しての… 報復だと、彼のファン達からの嫌がらせだと思っていました。

  だけど、違ったんです。

消えた私物…。犯人は彼でした。ある日、放課後の教室にその日、使用した水着のことを思い出して取りに戻ったときでした。彼が僕の席のところから… 僕の水着を手に取って、匂いを嗅いでいたんです」

今でも… 思い出します。あのとき、咄嗟に… 隣の席から拝借したパイプ椅子を掴んで袋叩きに…


『え゙?』

「?…どうかしましたか??あ、すみません!いつの間にか、思い耽りすぎて話が途切れてしまいましたね。えーっと…。どこまで話しました?」

へらっと取り繕うように笑う。

そう、確かあのとき… 飛び散った血痕がそのパイプ椅子に付着して大騒ぎになりましたっけ?今振り返ればそれも懐かしい思い出ですね。


・・・しかし、気のせいでしょうか?

バクの表情が些か引き攣っているように見えますが。



「それで… そのときに理解したんです。

ずっと、いじめに遭っていると…。嫌がらせを受けていると思っていたのが、まさかのクラス一番の人気者、妹の告白をフッて僕を好きだと言った彼の… ストーキング行為によるものだったと。

……今さら驚くほどでもありませんでしたが、気持ち悪すぎて、一瞬、思考が停止したくらいです」


くすっと微笑んだ僕にバクの表情が変わったような気がした。


「そのまま、先生に突き出しても周りに訴えても誰も信じてくれませんでした。
   それはそうですよね、僕は地味で目立たない一クラスメイト。相手は変態でも超絶イケメンのクラスの人気者。明るくて、気さくで勉強が出来てスポーツもできる…。先生からの信頼も厚くて、どんな人間に対しても分け隔てなく接してくれる… 男女関係なくモテる彼が変態だと、僕の物を盗んだって言って… 誰が信じる?

 ――‥ 誰も信じてくれませんでした。

友達も… 親友も」

みんな… ッ誰も僕の言うことなんて、信じてくれなかった…ッ と声が震える。地獄だった。友達も親友も皆いなくなって、毎日が辛くて悲しかった。

そのうち、疑心暗鬼になって誰も信じられなくなった。それから家に引き篭もるようになった。妹は相変わらず暴力を振るうけど、あんな学園にいてるよりもずっとマシだった。
何よりも堪えたのは… 友達と親友に信じてもらえなかったことでした。あんな変態よりも… 親友たちに ”ウソつき” 呼ばわりされたのが… 何よりも辛かった。

   だから、妹に罵られようと、

それでも家に引き篭もれるなら… 元友達と元親友に会うくらいなら… また傷つくくらいなら…ッ

『もういい』

え…?


一瞬、何が起こったのか分かりませんでした。

『もういいよ。すごく… 辛かったんだね』


ふわりと風を感じて、顔を上げるとバクが僕を抱きしめていた。

「バ、ク…?」

人型のバクに抱きしめられたまま、その腕の中でバクを見上げる。すると、バクは困ったように僕に笑った。

『あーぁ。泣かせちゃったね、ごめんね…』

バクの言葉に、そこで初めて泣いていたことに気づいた。

『僕はこの世界のことなら分かるけど、キミが元いた世界のことは知らなかったんだ。…ただ、キミの僕を見る目が気になって。

キミを泣かせるつもりはなかったんだ。本当にごめん』


「ちが…っ!バクは悪くなんか…」

本当に一瞬だった。

「ンな…っ/// Σちょ、バ、バク…!?」


バクが… 涙で濡れた僕の目尻に、そっとキスを落としたのは――。
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