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- 其の日常が終わりを告げる時 -
乙女ゲーム【ALIS WORLD】と - 囚われ人 -
しおりを挟む「え、っと… 何かあった?」
口を開こうとしない弟に痺れを切らして、ちらちらとこちらを見てくる社員の男の人に尋ねてみた
「実はですね…!」
「おい!!」
途端に、弟の顔が諦めた表情へと変わる。端正な眉を寄せ、溜め息交じりの声が返ってくる。
……簡単に、うちの会社の説明すると、
───うちの会社が主にメインとしているのは、人工頭脳を使い、遠隔操作を取り入れた最新技術を使い、家事ロボットを世に送り出す最先端の近未来会社。少し前に医療関係の治験にも携わるようになった。その会社がさらに事業の幅を広げようと、手を出したのが今流行りの乙女ゲームというものだった。
そんな中、乙女ゲーム製作にも携わるようになり、加えて新たに着手し手掛けたのが、元々、うちの会社が特に力を入れていた【人工頭脳】とその【最先端テクノロジー技術】を使った仮想現実アトラクション体感型V Rゲームだった。
そのゲーム世界…
通称 : 【ALIS WORLD】の世界は西洋と中華を入り混ぜた世界観だ。そして、ゲームキャラクター達を操作し、コントロールを担うのが会社の中枢であり、ゲームの核とも言える人工頭脳、その名を…『アリス』
──で、弟たちが言う今の状況をまとめると、
人工頭脳を取り入れた試みは試作として、一般人の応募の中から勇者・神子・ヒロイン・聖女だけ選ばれることとなった。そう、主人公として。そして他のハズレた人たちは冒険者となることが選択肢として可能だった。
だけど、唐突に起きたウィルスによるバグによりゲームシステムの…否、この会社のあらゆるコンピューターの中枢を担う人工頭脳【アリス】は暴走し、人工頭脳アリスによってゲームシステムは全て占拠された。
「……で、合ってる?」
「ああ… それで合ってる」
眉根を下げ、困惑を浮かべる僕の確認に、現実問題どうするべきか頭を悩ませている弟は頭痛をこらえるように額に手を当てていた。
「──さらに加えるなら、コンピューターウィルスに侵された人工頭脳アリスは極めて攻撃的だ。そのうえ、最悪なことに人質まで取っていて、迂闊に手が出せない状況だ」
人質だって…?あの、アリスが… ?ずいぶんと積極的だね。横に控える執事のアイロボットをちらりと見て不思議に思う。いくら、ウィルスに侵されたとは言え、いつものアリスなら静観に徹している節があるのに…。少し、気になるな……。
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