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- 其の日常が終わりを告げる時 -
弟秘書の提案
しおりを挟む「…ん?ちょっと待って。確かにここ最近は、うちの会社でも乙女ゲームを製作するようになったけど、アリスの人工頭脳とそのハイテク技術を使った仮想現実アトラクション体感型V Rゲーム。
ゲーム世界、通称 : ALIS WORLDは─…あれはまだ開発途中で試作の段階じゃ、」
「いや、会社としては試作段階で、まだ完全じゃなかった。とてもじゃないが、一般募集をかけるのはまだずっと先のはずだったんだが…」
ふぅ、と疲れた表情で溜め息つく弟に代わり、社員の男の人が続きを答えてくれた。
「どうやら、コンピューターウィルスに侵された人工頭脳アリスが電磁波を使い、ランダムに攻撃したようなんです」
「……え?どういうこと?」
「前に臨床試験のために治験者を一般募集かけたことがあっただろ?……ネットから」
・・・あ。
まさか、と僕が顔をしかめると、弟がそういうことだと安易に告げる。
「どうやら、前回ネットで募集かけたときの回線ルートを使い、個々の住所を特定しただけでなく、人工衛生を乗っ取り、衛生電波を使い、前回募集した治験者の彼らの脳に…
電磁波、マイクロ波攻撃したらしいんだ」
「なんだって…!?」
アリスが? 僕に付き添ってくれた彼を困惑げに見つめると、弟が手をひらひらさせる。
「そいつは大丈夫だ。アリスの遠隔操作で動いてはいるが、思考の方は既にオートモードに切り替えてある」
「そう…」
「とはいえ、うちの会社で一番総力を上げて作り上げたのが人工頭脳アリスだ。今はこれ以上の被害を抑えれど、どこでどうなるか… 正直、俺にもわからない。一番確実に言えることは、一刻も早い対応が先決なんだが。人工頭脳アリスは世界屈指の技術者と最先端の設備に技術を集めて開発された代物だ。そう簡単には…」
顎先に手を添えて考え込む弟に、
「ウィルスに侵され攻撃的になった人工頭脳アリスがバグをそう安易と我々に開示させてくれるとは到底思えませんし。……ただ可能性ならば、今回の被害者となった者たちと同じように誰かが、アリスが統括し管理する仮想現実世界、
アトラクション体感型V Rゲームに入り、直接バグを見つけ処理する、というのが… まだ現実的なことではないかと」
弟秘書の佐伯さんが一つ提案する。
「──…ちょっと待て。それはつまり…」
それにハッと顔を上げた弟が待った、をかけた。
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