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第13章~一時帰国
しおりを挟む次の日、起きると父親から連絡があった。マーティンさんが倒れたのだ。
その為、至急ロージーと一緒に帰国する事になった。
空港に行く為、ロージーのアパートまで迎えに行くと、くっきりとしたクマがあるいつもより青白い彼女が居た。無理も無い。留学した矢先に父親が倒れたのだから。抱き締めたい衝動に駆られたが、グッと堪えた。
それから特に口を聞くことも無く、スイスに着いた。
「お父様は?」
「部屋にいらっしゃいます。」
ロージーは家に着くなり、父親の部屋へ駆け込んだ。
「お父様、フランソワです。入っても宜しいですか?」
「あぁ。」
「ご機嫌はいかがですか?」
マーティンさんはベッドで書類に目を通していた。
「数時間前に目覚めたばかりだよ。少し頭痛があるかな。」
「お仕事のし過ぎです。これを機会にたっぷり休んで下さい。」
「私からもお願いします。」
「おぉ、アレックスか。心配かけたな。」
「いえ、気になさらないで下さい。私は仕事が残っているので、長居は出来ませんが、ここに居れる限り、マーティンさんのお手伝いをしたいと思います。」
「本当の息子以上に頼り甲斐があるな。」
そして、ロージーが何かを悟ったように言った。
「私は失礼します。」
「そうか、ありがとう。また夕食で。」
「はい。 パタン。」
「あの子は昔から優し過ぎる。これはあの子の長所であり、短所でもあるな。」
「そうですね。」
「では 本題に入ろう、アレックス。シャルロットには会ったかね?」
「いえ、まだ。」
「そうか。やはり私が甘やかし過ぎたのだろうか? お金を無駄使いする我儘に育ってしまった。...それでも、彼女と結婚する気はあるかい? それにこれは元はと言えば、我々が勝手に決めた政略結婚。君の事は息子同然に想っている。もし、君が望むのなら後継者を引き継ぐ代わりに他の人と結婚しても構わないと思うのだ。」
「えっ?」
「勿論、1番は娘を貰ってくれる事だが...それに知っているだろうが、あの通りシャルロットは遊んでばかりいるし、妻らしい事は出来ない。となると別の嫁ぎ先を探さなければならなくなるが。」
アレックスはこの時決めた。本当の事を打ち明けることを。一か八か、当たって砕ける勢いで。
「マーティンさん、実はとても申し難い事があります。」
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