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最終章~告白
しおりを挟む「マーティンさん、実はとても申し難い事があります。」
少し間を置いてからエーデルワイス氏が応えた。
「それは何だね?」
「私が愛しているのは、フランソワなんです。」
マーティンさんはただ何も言わずしばらく黙り込んでいた。
「パチパチパチパチ。」
急に拍手が聞こえ振り返った。
「やっと言ったわね。全く、遅いんだから。」
そこに居たのはシャルロット嬢だった。
「お父様も随分の言い様だこと。皿洗いとモップ掛けくらいなら私だって出来るわよ。」
「ははっ。すまんな。つい演技に身が入ってしまったよ。...こういう事だ、アレックス。」
「すみません。頭の中の整理が着かないのですが。」
「あ~もう。だ、か、ら~ お父様はかなり前から私達を結婚させる気は無かったのよ。お母様も私も使い達もみんなグルだったの。あなたがフランソワの事を好きなのを知らなかったのはずっと本人位なのよ? それに私、今日エドワード・ウィルスミスと籍をいれたの。意味、分かる?」
マーティンさんが頷いて言った。
「倒れたのは、本当だがな。...アレックス、娘を迎えに行ってやってくれるかい?」
そう言ったマーティンさんの顔は、何処か嬉しい気でとてつも無く優しかった。
彼は何も言わずに部屋を飛び出した。
愛しい人の元へ。
向かう先は決まっていた。
アルプスの麓のエーデルワイスの花が靡く道を越えた先の小さなコテージ。ロージーが幼い頃から愛する場所。
「ハッ、ハッ、」
アレックスは今までした事の無いくらい本気で走った。高級ブランドのスーツがだらし無くなる位に。
「Edelweiss, Edelweiss, bless my homeland forever.」
「ロージー!! ロージー!!」
「アレックス?!」
「そのままでいい。聞いてくれ。」
「待って、さっき私お母様から聞いたの。お姉様、エドワードと結婚するんですって。」
「あぁ、僕も聞いたよ。...ロージー、結婚しよう。」
息を整えてアレックスが言いました。
「嘘?なぜ、もっと早く言ってくださらないの?」
涙ぐんだ彼女が微かな声で言い返しました。
その時、ロージーの目からの涙が流れた。そのまま、彼女は腰を抜かし、ペタンと座り込んだ。
「嘘? 夢じゃないの?」
「何度断られても言うよ、フランソワさん、僕と結婚して下さい。」
「はい。喜んで。」
2人は初めてキスを交わした。唇を離して、お互い微笑み合ってからまたキスを交わした。
青年の17年間の片思いと少女の5年間の片思いはやっと終始点を打ったのだった。
......................................................................................
その後、無事マーティンさんが復帰し、アメリカへ行く日が迫っていた。
プロポーズの後、2人はよくコテージで過ごすようになった。
「今度、2人で旅行に行こう。どこに行きたい?」
「そうね...じゃあ、ハリウッドに連れて行って。」
「分かった。約束する。」
2人の笑顔につられてか、アルプスの小鳥が美しく囀っていた。
*・゜゚・*:.。..。.:*The End*:.。. .。.:*・゜゚・*
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