リトル君の魔法学園生活

52_始業式

始業式。

会長の挨拶で始まっためんどくさい式だ。ちなみに1ヶ月ぶりに見た会長は髪を切っていた。オシャレか。

「では、理事長、挨拶をお願いします」

「あい」

理事長は優雅に教壇の前に上がる。今日も相変わらず、派手だ。

「皆さん、お久しゅうありんす。いかが過ごしたかえ？楽しゅうありんしたなら幸いでありんす。さて、今日から新しい魔法使いの卵が加わるでありんす。どうぞ、こちらに」

7人の転校生が舞台の上へ上がる。それは昨日俺とぶつかってしまった人たちだった。転校生だったのか。

「紹介に預かりました。今日から魔法をみなさんと一緒に学ばせていただきます。私はララ＝アワリティアです。どうぞ、よろしくお願いします」

王子様系のイケメンの名前はララ＝アワリティア。アワリティアさんは隣にマイクを回す。

「ララ＝アケディア」

脱力系イケメンの名前はアケディア。それだけ言ってマイクを回す。短いよ。もっと言おうぜ。

「ララ＝インウィディアです。皆さんと仲良くなりたいと思います。よろしくお願いします」

お兄さん系イケメンはインウィディア言いづらいな…。

「ララ＝イラだ」

強面系イケメンはイラ。らが多いよな。らが。

「ララ＝グラです。よろしくお願いします。」


ショタ系イケメン天使だ。天使！ニコって可愛いぞ。

「私はララ＝ルクスリアよ。よろしくね❤︎」

オネェ系イケメンが投げキッスをする。オネェでもイケメンだと良いんだろ？滅びろ。

「ララ＝スペルビアだ。お前たちなどと仲良くする気はない」

自信家なイケメンはスペルビア。なんて自己紹介だ。勇者か。

ん？そういえば全員苗字が一緒だな。兄弟には見えないし…

「7つの大罪…」

ヒルエがボソッと呟いた。その表情はいつにも増して険しい。

「ヒルエ…？」

俺が心配そうにヒルエの名前を呼ぶと、ヒルエは俺の頭を優しく撫でてデコピンをした。

「いて…」

俺が痛がっているのをニヤリと見てヒルエは前を向いた。その表情はいつものヒルエだった。

7つの大罪…
なんのことなんだろうか。

「この者たちの学年は1年でありんす。困ったことがありんしたら、助けておくんなまし」

理事長がそう言うと転校生は礼をして舞台を降りた。

「では、皆の衆、二学期も学園生活を存分に楽しんでおくんなまし」

理事長は優雅に礼をして、舞台から降りる。ふと視線を感じて、目を向けると、アワリティアさんがこちらを見ていた。目が合うとニコッと微笑む。俺は慌てて目をそらした。ごめん、ヒルエ。少女漫画みたいなことを早速してしまった。けれど大丈夫。俺は改めて心に誓う。イケメンには関わらない。イケメン滅びろ。