リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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54_案内

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「今日からこのクラスでお世話にララ=アワリティアです。よろしくお願いします」

「ルクスリアよ。よろしくね」

きゃああああああ。

ここは男子校のはずなのに黄色い声が上がるのはなんでだろう。あと、2人とも俺をガン見してるのはなんでだろう。

「あー、始業式の通り、今日から7人が転校してきた。そのうち2人がこのクラスだから仲良くしろよ。案内役は…」

「あの子が良いわ!」

オネェさんはまっすぐ俺を指差す。俺は後ろを振り返る。

「あなたよあなた!名前は!?」

「…?」

俺は自分を指差して首をかしげる。オネエさんは笑顔で頷く。

「…リトセクトル」

「リトちゃんね。よろしく!」

「よろしくお願いします」

2人はまっすぐ俺を見ている。周りの視線が痛い。ヒルエへヘルプを求める。しかし、ヒルエは目も合わせてくれなかった。裏切り者!

「じゃあ、リトル。お前やれ。今から案内してやれ。一限は自習にするから」

なんて適当なんだよ先生。それでも先生か。イケメンだからって何もかもが許されるわけじゃないんだよ。

「では、行きましょうか。リトル君」

「僕達も行く!」

声を上げてくれたのはセルトだった。その声に反応してクラスのキャピキャピした奴も声を上げた。

「ごめんなさいね。こんな大勢ではいけないし、困るわ。リトちゃんとそこの可愛い子ちゃん達だけで行ってくるわね」

オネエさんはパチンっとウインクをした。発狂してるぞ。お前ら会長とかでイケメン見慣れてるだろう。バカか。

「ヒルエ、セルト、俺の側から離れないでね」

俺は2人に聞こえるようにコソッと言った。

「もちろんだよ!死んでも離れないから安心して」

「お前が泣いて跪くなら考えてやっても良い」

「ヒルエのバーカ!」

「バカにバカって言われたくない。それより面倒だからさっさと終わらせようぜ」

ヒルエは2人にそう伝える。めんどくさいだなんてよくはっきり言えるな。

「すいません。よろしくお願いします。迷惑かもしれませんが、リトセクトルさん達が案内してくれて嬉しいですよ」

うわぁ…優しさの塊かよ。やばいね。イケメンで優しいとか滅べば良いのに。

「じゃ、行きましょ!」

オネエさんは俺たちを背中を押して急かす。



-----------




俺達は学校内を一通り案内して、中庭で休憩していた。この学校は広いからとりあえず、図書室とか食堂とかだけ説明した。

「この学校は広いですね」

「無駄に」

「狭いより広い方が素敵じゃない」

ねぇ?と言いながらオネエさんは抱きついてくる。スキンシップが過激なんだよこのオネエさん。

「リトちゃんは光属性でしょ?」

「どうして知ってるんですか!?」

「感よ。かーん。そういう感じがしたのよ。純粋無垢のくせに心に毒があるの」

オネエさんは俺の心臓を指差す。息がうまくできない。この人に見透かされている。

「そこまでだ。サーチアイを使うのはやめろ」

ヒルエが俺を後ろから抱きしめながら言った。息ができるようになった。サーチアイ、相手の能力などを暴く魔法。この魔法に長けているものの中には心の中のことまでわかるらしい。

「リトルに手出ししないで欲しいな」

ギラギラとした目でセルトは2人を見る。

「あらー、私はただリトちゃんともっと仲良くなりたいだけよ。ね、リティアちゃん」

「驚かせてしまったようですいません。でも、ルクスリアに悪気はないんです。どうか許して上げてください」

「まぁ、何か害があったわけでもないし…でも、もうしないで欲しい」

誰にだって秘密にしておきたいことはある。俺だって。


-----------




ルクスリアがサーチアイを使った後、私たちは理由をつけて残り、リトセクトルさん達には帰ってもらった。

「急ぎ過ぎですよ。ルクスリア」

「まさか、あんなにリトちゃんが魔力に敏感なんて思わなかったのよ。普通ならサーチアイされてることに気づかないレベルなのよ?」

「厄介ですね。魔法による干渉が難しいなら、私たちは本当に友達にならないといけないかもしれません」

「えー、めんどくさいわ。サクサクとしたい」

「急がば回れですよ。時間はたっぷりあるはずですよ…。周りの人が邪魔しなければ」

「確かに、リトちゃんの周りは、めんどくさい子ばかりね。そこが良いのだけど」

「では、私は今日のことを報告して来ます」

「お願いね」

必ず成功してみせます。私は私の罪を償うために。
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