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1章 冒険が始まってしまった
3話 エクエス国
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「…ん?何?えく…?え、てか国って?差別って?」
『ホントに馬鹿だな…お前もしかして異国民か?そういえば、格好も変だしな』
「いいからなんなのか教えろ」
やれやれと言ったふうに首を振る妖精に、俺は詰め寄る。しばらく敬語で話してないけど、命令してきた本人が何も言ってこないので、これから先は注意されるまでタメ口で突き通すことにした。
『…このエクエス国はフェアリス大陸の中で1番大きい。人口は…10億くらいだな』
「じゅっ…!?…普通にやべぇじゃん…」
『ふん。他の大陸も含めば、全然少ないほう。…でもまぁ、騎士の多さは全大陸で1位。この国では、男達は15を過ぎたら騎士にならなければいけないという法律があるからな』
その言葉を聞いて、俺は途端に「え」と声を上げた。
そうだ。それなら、街中で子供に「騎士」と言われたことも納得できる…。
…待て。ということは、これはもしかしなくても──。
『見たところ、お前は15を越してると見た。これからは騎士として生きていくってことでいいよな?』
「はっ!?いや、ちょっ…」
『取り敢えず名前を教えてくれ。騎士ライセンス発行するから』
なんで騎士にライセンスなんか必要なんだよ!とかいうツッコミはぐっと喉の奥に押し込んで、口を開く。
「俺は異国民だ。ここで産まれたわけでもねぇし、騎士になるつもりもない。ってか、早くこの変なとこから出たくて──」
『お前がもし異国民なら、今から処罰するけど』
言葉を遮られ、妖精の声が脳内に響いた。
俺はその言葉を飲み込めず、パチパチと瞬きを繰り返す。
「え…?い、今なんて?処罰って…」
『ここ、エクエス国の神殿に異国民が入ると、その時点で処罰の対象にされるようになっている』
「えっ、ちょっ、待て!違う!やっぱ違う!俺ここで産まれたわ!うん、ごめん!」
『…怪しいな』
手を振って必死に今まで言ったことを否定すると、途端にキッと睨みつけられ、思わず息を飲んだ。
罰ってなんだ…?…もしかして、昔ながらの拷問とかやられるんだろうか?
そんなことを思っていたら、妖精は険しくしていた表情をふっと緩めた。
『ま、安心しろよ。異国民なら神殿に入った時点で警報がなって八つ裂きにされるから、少なくともお前は異国民じゃない』
「そ、そっか…」
俺…異国民なのに、なんで警報がならなかったんだろう。
不思議に思ったが、色々聞いた今、そんなことを言える気にはならなかった。
『ってことで、お前。ちょっとこっちに来い』
妖精はふわふわと羽で飛びながら先導をきる。こうなれば仕方ない。俺は渋々その後をついていくと、やがてホテルの受付のようなカウンターが見えた。
『今からライセンスを発行するから、あたしの言う事に答えてくれ』
そう言って妖精が空中に右手を出すと、いきなり透明なモニターのようなものが現れる。平然とやってのけたその状況に、俺は目の前で起こったことが一瞬理解できずにいた。
「…え…え?」
『じゃあ名前から』
「ちょっ…待て!なんだよこれ!」
びし、と透明なモニターを指さすと、妖精は訝しげに俺を見てくる。まるで、「お前、こんなのも知らねぇクズなの?」などと言いたげな目だ。
『これは、自分のプロフィールなどの個人情報から、通話、メール、サーチなんてものができる便利な機能を持ち合わせてる。トランスっていう透明な玉を買えば、誰だって使えるぞ。あぁ、でも、ここのトランスは特別だからな。ライセンスを作成したり、この国の騎士であるやつの全員の個人情報なんかを取り入れることができる。これを扱っていいのはあたしだけなんだ。どうだ。尊敬しただろ?』
ここ、と言って妖精が指さしたのは、自分の胸元。誇らしげに鼻を高くする相手に、俺は悪いと思いながらも、言ってしまった。
「トランス、隠す谷間ねぇじゃん…」
暫くの沈黙が流れ、やがて妖精はじわじわと頬を赤く染めていく。
『はぁ!?ばっ…違う!!リボンの真ん中にあるやつだよ!』
よく見ると、小指の爪サイズほどの透明な玉がリボンの中心に付いていた。
「え?あ、これか」
『~~ッ!顔を寄せるな!気持ち悪い!変態!あたしからトランス盗むつもりか!そんなことしたら、ライセンス作ってやんないからな!』
暴言を並べながら羽をはためかせ、必死に俺から距離を置くと、『話が進まない…』などとぶつくさ言いながら、再びモニターを開く。
なんだか理不尽だ。そう言いたくなる気持ちを抑え、俺はため息をついた。
『ホントに馬鹿だな…お前もしかして異国民か?そういえば、格好も変だしな』
「いいからなんなのか教えろ」
やれやれと言ったふうに首を振る妖精に、俺は詰め寄る。しばらく敬語で話してないけど、命令してきた本人が何も言ってこないので、これから先は注意されるまでタメ口で突き通すことにした。
『…このエクエス国はフェアリス大陸の中で1番大きい。人口は…10億くらいだな』
「じゅっ…!?…普通にやべぇじゃん…」
『ふん。他の大陸も含めば、全然少ないほう。…でもまぁ、騎士の多さは全大陸で1位。この国では、男達は15を過ぎたら騎士にならなければいけないという法律があるからな』
その言葉を聞いて、俺は途端に「え」と声を上げた。
そうだ。それなら、街中で子供に「騎士」と言われたことも納得できる…。
…待て。ということは、これはもしかしなくても──。
『見たところ、お前は15を越してると見た。これからは騎士として生きていくってことでいいよな?』
「はっ!?いや、ちょっ…」
『取り敢えず名前を教えてくれ。騎士ライセンス発行するから』
なんで騎士にライセンスなんか必要なんだよ!とかいうツッコミはぐっと喉の奥に押し込んで、口を開く。
「俺は異国民だ。ここで産まれたわけでもねぇし、騎士になるつもりもない。ってか、早くこの変なとこから出たくて──」
『お前がもし異国民なら、今から処罰するけど』
言葉を遮られ、妖精の声が脳内に響いた。
俺はその言葉を飲み込めず、パチパチと瞬きを繰り返す。
「え…?い、今なんて?処罰って…」
『ここ、エクエス国の神殿に異国民が入ると、その時点で処罰の対象にされるようになっている』
「えっ、ちょっ、待て!違う!やっぱ違う!俺ここで産まれたわ!うん、ごめん!」
『…怪しいな』
手を振って必死に今まで言ったことを否定すると、途端にキッと睨みつけられ、思わず息を飲んだ。
罰ってなんだ…?…もしかして、昔ながらの拷問とかやられるんだろうか?
そんなことを思っていたら、妖精は険しくしていた表情をふっと緩めた。
『ま、安心しろよ。異国民なら神殿に入った時点で警報がなって八つ裂きにされるから、少なくともお前は異国民じゃない』
「そ、そっか…」
俺…異国民なのに、なんで警報がならなかったんだろう。
不思議に思ったが、色々聞いた今、そんなことを言える気にはならなかった。
『ってことで、お前。ちょっとこっちに来い』
妖精はふわふわと羽で飛びながら先導をきる。こうなれば仕方ない。俺は渋々その後をついていくと、やがてホテルの受付のようなカウンターが見えた。
『今からライセンスを発行するから、あたしの言う事に答えてくれ』
そう言って妖精が空中に右手を出すと、いきなり透明なモニターのようなものが現れる。平然とやってのけたその状況に、俺は目の前で起こったことが一瞬理解できずにいた。
「…え…え?」
『じゃあ名前から』
「ちょっ…待て!なんだよこれ!」
びし、と透明なモニターを指さすと、妖精は訝しげに俺を見てくる。まるで、「お前、こんなのも知らねぇクズなの?」などと言いたげな目だ。
『これは、自分のプロフィールなどの個人情報から、通話、メール、サーチなんてものができる便利な機能を持ち合わせてる。トランスっていう透明な玉を買えば、誰だって使えるぞ。あぁ、でも、ここのトランスは特別だからな。ライセンスを作成したり、この国の騎士であるやつの全員の個人情報なんかを取り入れることができる。これを扱っていいのはあたしだけなんだ。どうだ。尊敬しただろ?』
ここ、と言って妖精が指さしたのは、自分の胸元。誇らしげに鼻を高くする相手に、俺は悪いと思いながらも、言ってしまった。
「トランス、隠す谷間ねぇじゃん…」
暫くの沈黙が流れ、やがて妖精はじわじわと頬を赤く染めていく。
『はぁ!?ばっ…違う!!リボンの真ん中にあるやつだよ!』
よく見ると、小指の爪サイズほどの透明な玉がリボンの中心に付いていた。
「え?あ、これか」
『~~ッ!顔を寄せるな!気持ち悪い!変態!あたしからトランス盗むつもりか!そんなことしたら、ライセンス作ってやんないからな!』
暴言を並べながら羽をはためかせ、必死に俺から距離を置くと、『話が進まない…』などとぶつくさ言いながら、再びモニターを開く。
なんだか理不尽だ。そう言いたくなる気持ちを抑え、俺はため息をついた。
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