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23 マッチョさん、王都へ着く
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王都では門番に足止めされることなく入れた。大斧を使う少し変わった格好の冒険者が来るということで、連絡がついていたらしい。ルリさんの仕事だとしたら感謝しないといけない。噂話として広まっているとしたら、ちょっと恥ずかしい。
建物が高い。
ソロウにも二階建てや三階建ての建物はあったが、ここは摩天楼じゃないか。七階建てくらいの建物があるが、どうやって建てたのだろう。うーむ、ローマの闘技場なんかもけっこうな高さだったから、頑張ればなんとか建てられる・・・のか?
通りも広い。
大門から一直線に王城へと向かえる作りになっている。あんまりヨーロッパでは見かけないタイプの区割りのような気がする。どちらかと言えばアジアの街の作り方だ。広さがあるので、通りの中央は車道として用いられ馬車や馬が往来している。
そして人が多い。
完全に都市だ。こちらの世界に来てから人の群れなど見ていなかったので、見ているだけで酔いそうになった。これだけの人たちが集まる場所であるならば、なにか筋肉にとって有益なものが見つかるかもしれない。
そしてとにかく広い。さすが人間の王が住む都市だ。道に迷いそうだから、一人では出歩かないようにしよう。
しかしこの建築様式、ずいぶんと変わっているな。写真でしか見たことが無いが、イスラム教のモスクに近い。いや、これはトルコやロシアの様式に近いのではないか?
「相変わらず人ばっかりで落ち着かない場所だな。宿で一息ついたら、すぐギルド本部へ行くぞ。できるだけ早い報告が欲しいっていう話だったからな。」
「そういえばグランドマスターって、どんな方なんですか?」
「俺の師匠で、超絶おっかねぇジイさんだ。しばらく顔を出してなかったんで、できれば会いたくない・・・」
ついに本音が出てしまった。
ギルド本部。
ソロウのギルドもなかなかに格式があったけれども、さらなる格式を感じる。立派そうな絵が飾ってあったり、ロビーがあったり。本部ともなると、なかなかいい筋肉の人間も見られる。体脂肪率15%を切っていそうな冒険者もいた。相当の強者なのだろう。
なにやらヒソヒソと噂されている気もするが、やはり私の恰好がこの場にそぐわないのだろうか?フェイスさんが受付に案内を頼んでいる間にギルド内を見渡してみると、きちんとした身なりをしているか、防具をつけていたりする。私のようにリラックスした格好の人間は当然ながら一人もいない。というよりも、この世界でタンクトップに短パンという身なりの人はまだ見たことが無い。
どんな依頼が来るのか受付あたりでちょっと聞いてみようと思ったら、フェイスさんが戻ってきた。
「すぐに会えるそうだ。行くぞ。」
「はい。」
すごく視線を感じる。やはりこの恰好がダメなのだろう。どこまで宗教上の正装で押し通せるのだろうか。
「あー、なんか噂になってるみたいだな、こないだの防衛戦。お前ひとりで300匹のオークを倒したことになってた。」
また増えている。そっちが噂になっているのか。
異世界で過大評価されるなど、ロクでもない仕事を押し付けられそうなので勘弁してほしい。私は普通に仕事をして、普通に筋トレがしたいのだ。
コンコン。
「失礼します。」
「うむ。久しぶりだな、フェイス。」
「師匠もお元気そうで。」
「ロクに顔も見せない弟子がなにを言っている。」
「いえ、その、ギルドが忙しくて・・・」
「ソロウ程度の規模のギルドで、お前がなぜ忙しくなる。ルリもいるだろうに。」
「ちょっと前まで人手不足で大変だったんですって。本当に。」
うん。フェイスさんの言い分も間違いではないが、ギルド本部にできれば来たくなかった感が顔に出てしまっている。
グランドマスターの身体は、身長155cm、体重55kg、体脂肪率15%というところか。どうもこの世界では、体脂肪率15%程度の人が強い気がする。スタミナが必要になる生き方をしていると、この程度の脂肪が必要になるのかもしれない。やはり一考しなければならないか。もしくはこの世界に馴染んでいくうちに、私の体脂肪率もその辺に落ち着くのかもしれない。冒険者でも戦闘の内容によっては、数日間も戦闘中などということもあるだろう。ましてや軍隊では長期戦など普通のことだと思う。
「キミがマッチョ君だな。フェイスが世話になっている。グランドマスターのドロスだ。」
「マッチョです。フェイスさんには色々教えていただいています。」
小柄な体躯であるのに、眼前に立たれると圧が凄い。単純な力比べで負ける気はしないが、格闘あるいは剣術となると勝てる気がしない。それほどの差があるし、その差が私にも分かるようになってきた。
「さて。挨拶がわりに練習場に行こうか。オークを500匹倒した人間が、どの程度の腕なのか見てみたい。」
「えーと。その話はかなり盛られています。実際のところ100匹前後くらいだと思います。」
「ではオーク100匹を倒した腕を見よう。」
面白がられて噂ばかりが大きくなっている。
ん?
フェイスさんが脂汗をダラダラ流している。
「だから装備を整えておけって言ったんだよ・・・マッチョ、死ぬなよ・・・」
さすがに初対面で会ったばかりの人を殺さないとは思うけれども、あんまり脅さないで欲しい。
建物が高い。
ソロウにも二階建てや三階建ての建物はあったが、ここは摩天楼じゃないか。七階建てくらいの建物があるが、どうやって建てたのだろう。うーむ、ローマの闘技場なんかもけっこうな高さだったから、頑張ればなんとか建てられる・・・のか?
通りも広い。
大門から一直線に王城へと向かえる作りになっている。あんまりヨーロッパでは見かけないタイプの区割りのような気がする。どちらかと言えばアジアの街の作り方だ。広さがあるので、通りの中央は車道として用いられ馬車や馬が往来している。
そして人が多い。
完全に都市だ。こちらの世界に来てから人の群れなど見ていなかったので、見ているだけで酔いそうになった。これだけの人たちが集まる場所であるならば、なにか筋肉にとって有益なものが見つかるかもしれない。
そしてとにかく広い。さすが人間の王が住む都市だ。道に迷いそうだから、一人では出歩かないようにしよう。
しかしこの建築様式、ずいぶんと変わっているな。写真でしか見たことが無いが、イスラム教のモスクに近い。いや、これはトルコやロシアの様式に近いのではないか?
「相変わらず人ばっかりで落ち着かない場所だな。宿で一息ついたら、すぐギルド本部へ行くぞ。できるだけ早い報告が欲しいっていう話だったからな。」
「そういえばグランドマスターって、どんな方なんですか?」
「俺の師匠で、超絶おっかねぇジイさんだ。しばらく顔を出してなかったんで、できれば会いたくない・・・」
ついに本音が出てしまった。
ギルド本部。
ソロウのギルドもなかなかに格式があったけれども、さらなる格式を感じる。立派そうな絵が飾ってあったり、ロビーがあったり。本部ともなると、なかなかいい筋肉の人間も見られる。体脂肪率15%を切っていそうな冒険者もいた。相当の強者なのだろう。
なにやらヒソヒソと噂されている気もするが、やはり私の恰好がこの場にそぐわないのだろうか?フェイスさんが受付に案内を頼んでいる間にギルド内を見渡してみると、きちんとした身なりをしているか、防具をつけていたりする。私のようにリラックスした格好の人間は当然ながら一人もいない。というよりも、この世界でタンクトップに短パンという身なりの人はまだ見たことが無い。
どんな依頼が来るのか受付あたりでちょっと聞いてみようと思ったら、フェイスさんが戻ってきた。
「すぐに会えるそうだ。行くぞ。」
「はい。」
すごく視線を感じる。やはりこの恰好がダメなのだろう。どこまで宗教上の正装で押し通せるのだろうか。
「あー、なんか噂になってるみたいだな、こないだの防衛戦。お前ひとりで300匹のオークを倒したことになってた。」
また増えている。そっちが噂になっているのか。
異世界で過大評価されるなど、ロクでもない仕事を押し付けられそうなので勘弁してほしい。私は普通に仕事をして、普通に筋トレがしたいのだ。
コンコン。
「失礼します。」
「うむ。久しぶりだな、フェイス。」
「師匠もお元気そうで。」
「ロクに顔も見せない弟子がなにを言っている。」
「いえ、その、ギルドが忙しくて・・・」
「ソロウ程度の規模のギルドで、お前がなぜ忙しくなる。ルリもいるだろうに。」
「ちょっと前まで人手不足で大変だったんですって。本当に。」
うん。フェイスさんの言い分も間違いではないが、ギルド本部にできれば来たくなかった感が顔に出てしまっている。
グランドマスターの身体は、身長155cm、体重55kg、体脂肪率15%というところか。どうもこの世界では、体脂肪率15%程度の人が強い気がする。スタミナが必要になる生き方をしていると、この程度の脂肪が必要になるのかもしれない。やはり一考しなければならないか。もしくはこの世界に馴染んでいくうちに、私の体脂肪率もその辺に落ち着くのかもしれない。冒険者でも戦闘の内容によっては、数日間も戦闘中などということもあるだろう。ましてや軍隊では長期戦など普通のことだと思う。
「キミがマッチョ君だな。フェイスが世話になっている。グランドマスターのドロスだ。」
「マッチョです。フェイスさんには色々教えていただいています。」
小柄な体躯であるのに、眼前に立たれると圧が凄い。単純な力比べで負ける気はしないが、格闘あるいは剣術となると勝てる気がしない。それほどの差があるし、その差が私にも分かるようになってきた。
「さて。挨拶がわりに練習場に行こうか。オークを500匹倒した人間が、どの程度の腕なのか見てみたい。」
「えーと。その話はかなり盛られています。実際のところ100匹前後くらいだと思います。」
「ではオーク100匹を倒した腕を見よう。」
面白がられて噂ばかりが大きくなっている。
ん?
フェイスさんが脂汗をダラダラ流している。
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