31 / 133
31 マッチョさん、プロテインを飲む
しおりを挟む
「父上、こちらにいましたか!」
初めて見る少年だ。私を見て顔色が変わった。
「誰だお前は!ここは王族以外は許可なく入ることができぬ場所だぞ!」
身長140cm、体重40kg、体脂肪率がどうこうというよりも、少年すぎて筋肉が無さすぎる。
「止めぬか。国賓にたいして無礼であろう、アルク。」
・・・国賓って私のことなのだろうか?
「父上がここに連れて来られたのですか?」
「そうだ。王家の宝具の謎を彼が解いてくれたぞ。マッチョ、この子はアルク。私の息子で、この国を継ぐことになる。この部屋もな。」
「マッチョさん失礼しました。アルクと言います。初めまして。」
「アルク君初めまして。マッチョです。」
「アルク様、こちらでしたか。」
また誰かやって来た。王族には見えないな。
「ソフィー、私はそんなマズいものは飲まないぞ!」
「ソフィーまで来たのか。」
「はい。サバスを持ってきました。」
サバス?悪魔でも召喚するのだろうか。
「うむ。きちんと肉体を鍛えたあとには、これを飲まなくてはな。」
サバス。もしかしてプロテインか?人間王が容器を受け取り、液状のものを飲んでいる。
「しっかりと鍛えたあとにこれを飲むことで、王のように立派な肉体になるのですよ。」
「イヤだ!マズいんだものそれ!父上からもソフィーになにか言ってください!」
こんな小さい頃からプロテインを飲むのか。
「アルク君はいくつですか?」
「10才になります。」
まだ小学生じゃないか。
「王様、アルク君にはサバスはまだ早いと思われます。きちんと骨ができてからでないと、あまり効果がありません。」
「ふーむ、そうなのか。ではムリに飲ませることは無いな。」
「やったぁ!」
「王よ、この方は?」
「マッチョだ。城内では国賓に準ずる扱いにしている。」
やっぱり国賓って私のことだったのか。どおりで王城内の道具を簡単に融通してくれるはずだ。
「マッチョ、彼は王宮薬師のソフィー。私の栄養管理や新しい薬の開発をやってくれている。サバスについて説明の必要は無いようだな。」
「初めましてソフィーさん。アルク君の代わりに、私がサバスを飲んでもいいでしょうか?どんな味なのかとても興味があります。」異世界のプロテインだ。こういう状況じゃなければ、まず飲む機会など無い。
「サバスは王室の秘儀です。国賓の方とはいえ王の許しが無ければ私からは出せません。」
「構わんよ。彼はサバスの中身も、我々の秘儀も知っている。私よりも大きなその肉体が示しているだろう。」
大きいと言われて悪い気はしない。
「先ほどはソフィーさんのお仕事に口を出してすみませんでした。ですが、アルク君の肉体ではまだ効果が無いと思います。豆か肉か魚をしっかりと摂取していれば、十分だと思います。」タンパク質の過剰摂取がわずかながら病気になる可能性については黙っておいた。
「そう、なのですか。」
まだ半信半疑のようだ。というか誰だコイツという顔をしている。
「ソフィー、マッチョは異世界人なのだよ。おそらく初代の人間王と似たような世界から来た。宝具の使い方も教えてくれたぞ。」
「世界を変える知恵と能力を持つもの、ですか。本当にそんな人間がいたのですね。」
なんだか過大評価されている。
「私が異世界人だと聞いても信じるのですね。」
「初代の王宮薬師も、初代人間王の時代に王から多くのことを学んだとされています。私は初代人間王が異世界人であったという説を信じます。薬学についても異常に多くの業績を残された方ですからね。マッチョ様が異世界人であるならば、薬や栄養に関するお話を伺いたく存じます。」
「マッチョと呼んでください、ソフィーさん。」
「それではマッチョさんと呼ばせていただきます。」
「私もソフィーさんから、この世界の薬や栄養について教えていただけたら嬉しいです。」
この世界最高の栄養学の権威とお近づきになることが出来た。トレーニングが捗るな。
「マッチョさん。本当に飲むのですか?サバスを。」
わざわざ何度も聞くほどマズいのだろうか?ますます興味が湧いてきた。
「ええ、是非飲ませてください。」
「ではどうぞ。」
手渡された器の中がちらりと見えたが、粉末がダマになっている。飲み口からは薬のような香りがする。がしかし、ここで飲んでおかないと、二度と出会えないだろう。
・・・これはマズい。
本当にマズい。この世界に来てからもっともマズい飲み物だ。
トレーニーの先輩たちから、かつてのプロテインはアホみたいにマズかったと聞いてはいたが、これほどマズいプロテインは飲んだことが無かった。うーん、これ本当に効果があるのだろうか?あまりに味が良くないと効能まで疑ってしまう。
「サバスの味や吸収率については、あとで話し合う必要がありますね。少し改良するだけでも、より効果的になると思いますよ。」
プロテインによる補給が楽しいもので無い、という点がよろしくない。
たとえ至高であるストロベリー味が無いにしても、味と吸収率は他にやりようがあるはずだ。
トレーニングはプロテインも含めて楽しいものでなくてはいけない、と私は思う。
いやしかし、本当にマズいなこれ。
子どもがイヤがるワケだ。
初めて見る少年だ。私を見て顔色が変わった。
「誰だお前は!ここは王族以外は許可なく入ることができぬ場所だぞ!」
身長140cm、体重40kg、体脂肪率がどうこうというよりも、少年すぎて筋肉が無さすぎる。
「止めぬか。国賓にたいして無礼であろう、アルク。」
・・・国賓って私のことなのだろうか?
「父上がここに連れて来られたのですか?」
「そうだ。王家の宝具の謎を彼が解いてくれたぞ。マッチョ、この子はアルク。私の息子で、この国を継ぐことになる。この部屋もな。」
「マッチョさん失礼しました。アルクと言います。初めまして。」
「アルク君初めまして。マッチョです。」
「アルク様、こちらでしたか。」
また誰かやって来た。王族には見えないな。
「ソフィー、私はそんなマズいものは飲まないぞ!」
「ソフィーまで来たのか。」
「はい。サバスを持ってきました。」
サバス?悪魔でも召喚するのだろうか。
「うむ。きちんと肉体を鍛えたあとには、これを飲まなくてはな。」
サバス。もしかしてプロテインか?人間王が容器を受け取り、液状のものを飲んでいる。
「しっかりと鍛えたあとにこれを飲むことで、王のように立派な肉体になるのですよ。」
「イヤだ!マズいんだものそれ!父上からもソフィーになにか言ってください!」
こんな小さい頃からプロテインを飲むのか。
「アルク君はいくつですか?」
「10才になります。」
まだ小学生じゃないか。
「王様、アルク君にはサバスはまだ早いと思われます。きちんと骨ができてからでないと、あまり効果がありません。」
「ふーむ、そうなのか。ではムリに飲ませることは無いな。」
「やったぁ!」
「王よ、この方は?」
「マッチョだ。城内では国賓に準ずる扱いにしている。」
やっぱり国賓って私のことだったのか。どおりで王城内の道具を簡単に融通してくれるはずだ。
「マッチョ、彼は王宮薬師のソフィー。私の栄養管理や新しい薬の開発をやってくれている。サバスについて説明の必要は無いようだな。」
「初めましてソフィーさん。アルク君の代わりに、私がサバスを飲んでもいいでしょうか?どんな味なのかとても興味があります。」異世界のプロテインだ。こういう状況じゃなければ、まず飲む機会など無い。
「サバスは王室の秘儀です。国賓の方とはいえ王の許しが無ければ私からは出せません。」
「構わんよ。彼はサバスの中身も、我々の秘儀も知っている。私よりも大きなその肉体が示しているだろう。」
大きいと言われて悪い気はしない。
「先ほどはソフィーさんのお仕事に口を出してすみませんでした。ですが、アルク君の肉体ではまだ効果が無いと思います。豆か肉か魚をしっかりと摂取していれば、十分だと思います。」タンパク質の過剰摂取がわずかながら病気になる可能性については黙っておいた。
「そう、なのですか。」
まだ半信半疑のようだ。というか誰だコイツという顔をしている。
「ソフィー、マッチョは異世界人なのだよ。おそらく初代の人間王と似たような世界から来た。宝具の使い方も教えてくれたぞ。」
「世界を変える知恵と能力を持つもの、ですか。本当にそんな人間がいたのですね。」
なんだか過大評価されている。
「私が異世界人だと聞いても信じるのですね。」
「初代の王宮薬師も、初代人間王の時代に王から多くのことを学んだとされています。私は初代人間王が異世界人であったという説を信じます。薬学についても異常に多くの業績を残された方ですからね。マッチョ様が異世界人であるならば、薬や栄養に関するお話を伺いたく存じます。」
「マッチョと呼んでください、ソフィーさん。」
「それではマッチョさんと呼ばせていただきます。」
「私もソフィーさんから、この世界の薬や栄養について教えていただけたら嬉しいです。」
この世界最高の栄養学の権威とお近づきになることが出来た。トレーニングが捗るな。
「マッチョさん。本当に飲むのですか?サバスを。」
わざわざ何度も聞くほどマズいのだろうか?ますます興味が湧いてきた。
「ええ、是非飲ませてください。」
「ではどうぞ。」
手渡された器の中がちらりと見えたが、粉末がダマになっている。飲み口からは薬のような香りがする。がしかし、ここで飲んでおかないと、二度と出会えないだろう。
・・・これはマズい。
本当にマズい。この世界に来てからもっともマズい飲み物だ。
トレーニーの先輩たちから、かつてのプロテインはアホみたいにマズかったと聞いてはいたが、これほどマズいプロテインは飲んだことが無かった。うーん、これ本当に効果があるのだろうか?あまりに味が良くないと効能まで疑ってしまう。
「サバスの味や吸収率については、あとで話し合う必要がありますね。少し改良するだけでも、より効果的になると思いますよ。」
プロテインによる補給が楽しいもので無い、という点がよろしくない。
たとえ至高であるストロベリー味が無いにしても、味と吸収率は他にやりようがあるはずだ。
トレーニングはプロテインも含めて楽しいものでなくてはいけない、と私は思う。
いやしかし、本当にマズいなこれ。
子どもがイヤがるワケだ。
0
あなたにおすすめの小説
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる