45 / 116
45話 プラネタリウムさ
しおりを挟む
セピアは見回りも兼ねてラドラを歩き、ハワードを思い浮かべた。
彼が右腕を失ったと聞いた時、セピアは心臓が止まるかと思った。隻腕のハワードを目にした時なんかは、あまりの痛々しさに丸一日泣きはらしてしまったものだ。
「難儀な物だ……好いた男に何もしてやれないのが、これほどまでに辛いとは」
セピアはハワードに好意を抱いている。普段のハワードはスケベでどうしようもないロクデナシだけど、彼は幾度も窮地に駆けつけてきた。自分が傷つくのもいとわずに。そして笑って、軽々と救ってくれたのだ。
『勇者は来ずとも、セピアを守る賢者なら居るぜ。ここに一人な!』
助けに来るたび、ハワードが叫んだ台詞だ。この声を聴くたびに、胸が甘く軋んだものだ。
圧倒的な強さと確固たる心を幾度も見ていくうちに、いつしか彼から目を離せなくなっていた。けど傍に居ると素直になれなくて、つい攻撃的な態度を取ってしまう。そんな自分が、もどかしい。
「は……だが私には、ハワードの傍に居る資格などないか……」
セピアは自信を失っている。近衛兵団のトップを保っているのも、先の戦いで役に立てなかった分働けと言う、懲罰的な意味合いが強い。
それに、市民からの批判も強かった。
『どうして何度も負けたんだ!』
『勇者さえいればお前なんかいらない!』
『この役立たず!』
目を閉じれば、ざわざわと幻聴が聞こえる。幾度も敗北を重ねた彼女へ、市民は心無い声をあびせ続けた。
それでもセピアは耐え続けた。団長として相応しいよう、凛々しい仮面をかぶって。だけどそのせいで、彼女の心は限界まで追い詰められていた。
「全く……落ち込んでいる暇がないのは、難儀な物だな」
セピアはつぶやくなり、剣を抜いた。
同時にメイスが横殴りに叩きつけられる。剣で受け止めた彼女は、片腕で軽々と押しのけた。
重い金属音を奏で、巨体が退いた。セピアは剣を振るい、襲ってきた敵をにらんだ。
目元を隠すヘルムを被り、全身を純白の鎧で覆った、屈強な男だ。手には身の丈を超える長柄のメイスを握りしめている。
「なるほど。名前の通り、大層な恰好をした奴だ」
「……セピア・L・ソムニウム。間違いないか」
無機質な声だった。セピアは剣を構え、目を細めた。
「その通り、アザレア王国近衛兵団長、セピアだ。貴様はザナドゥ幹部、キングで違いないな」
「左様」
男は頷いた。奴こそが最後の幹部、キングである。
キングの出現に市民が悲鳴を上げ、一目散に逃げていく。セピアは手を振るい、虹色の結界を展開した。
セピアとキングを囲う結界だ。これでラドラに被害が出る事はない。
さらには、近衛兵達が一斉に現れた。キングは完全に包囲された形になる。
「大人しく隠れていればよかった物を。姿を見せた以上、ここで討伐させてもらうぞ」
「簡単にやられぬ。我はキング、ザナドゥ三羽烏最強の男なり。我が目的は一つ、貴様の持つその石だ。そのために、貴様をここへ誘い込んだのだ」
キングの視線がセピアの胸元へ向かう。彼女の持つ、黒い石のペンダントに。
「……これが狙いか。誘い込んだという事は、先の事件は私を呼び込むための撒き餌か」
「左様。このキングが出れば、貴様が討伐に向かわざるを得まい。貴様は罠にかかったのだ」
「だがそう易々と渡しはせん」
「ならば力づくでもらい受ける」
キングはメイスを振り上げ、突進してくる。セピアは右に避け、刺突を繰り出そうとした。
だが、彼女よりも速くキングは軌道を変え、メイスを振り回してきた。
「むっ」
ひらりと宙返りし、キングの背後へ回る。キングは素早く振り返り、大振りの殴打を叩き込んできた。
それを左拳で迎え撃つ。ぶつかり合った拳が、激しい衝突音を轟かせた。
機敏な動きだ。まるでセピアの動きを予知しているかのようでもある。
「兵の情報通りだな、こちらの全ての行動が読まれている。どんなスキルを持っている?」
「教えるはずがないだろう」
「そうだな、だが教える必要はない。お前はここで潰えるからだ!」
左拳から炎が上がり、キングに灼熱が吹き荒れた。それをきっかけに、セピアが次々と魔法を撃ち出した。
全身を氷結させ、地面から岩の槍を突き刺し、頭上から水を叩きつけ、全身を風で切り刻み、雷で骨まで刺し貫く。さらには闇魔法で全能力を下げ、光魔法で目を眩ませた。
セピアは魔法スキルの扱いに長けており、全八種の魔法を使いこなす騎士なのだ。
魔法による連続攻撃にキングがたたらを踏む。加えてハワードに負けこそしたが、セピアは剣術の達人でもある。
「トドメだ!」
キングを鎧ごと斬り、見事に勝利を収めた。これが、アザレア王国軍最強の女の力である。
結界を解除し、セピアは息を吐くと、近衛兵達に命じた。
「キングを確保しろ。ザナドゥが何をたくらんでいるのか、情報を引き出せ」
「はっ!」
キングが拘束されたところで、セピアは剣を収めた。どうやら、キングの件はこれで片付きそうである。
しかし、ザナドゥがこれを狙うとはな。
ペンダントを握りしめ、セピアはため息を吐く。この石は、ソムニウム家が代々守り続けている魔石。それを欲しがるという事は……ザナドゥの狙いが見えてきた。
「何としても守らねばならんな」
セピアは頬を叩き、気合を入れた。
時だった。
「ぐあっ!?」
突如、近衛兵が何者かに殴り飛ばされた。
キングはまだ倒れている、ザナドゥの増援だろうか。
それにしては強すぎる、近衛兵達はレベル70越えの精鋭ばかり、それを一撃で倒せる相手だと?
「しかも一人ではない、少なくとも四人いる!」
気配を頼りにセピアは剣を振るった。しかし手応えは無く、逆に大質量の物体で横殴りにされた。
民家に叩きつけられ、肺から全ての空気を吐き出した。むせこんでいる間に、何者かが目の前に立つ。
「所詮貴様はこの程度だ。愛する者も守れず、己が使命を果たせぬ無力な女。この様ではまた、ハワードが苦しむ事になるのではないか?」
「キング……! くそ、どこだ!」
しかしやはり、姿が見えない。セピアは唇を噛み、目を閉じた。
「随分埃臭い奴だ、香水でもつけておけよ。オーデコロンで良ければ貸すぜ」
そんな軽口と共に、男が舞い降りた。
目を開くと同時に男の右腕が高くつきあげられ、激しい打撃音が聞こえた。男はセピアを見やり、口角を持ち上げた。
「悪いね、デートに遅れちまった。後でストロベリーサンデーでも奢るよ」
「は、ハワード・ロック……!」
どうしてこいつは、いつもいつもピンチになると、こうして助けに来てくれるんだ。
思わず顔を赤らめてしまう。ハワードは首を鳴らし、
「かくれんぼが好きなのかい、それとも夏の夜空を這う蠍に怯えているのかな?」
「貴公には、何が見えている?」
「プラネタリウムさ」
ハワードはウインクすると、セピアに視界共有の魔法をかけた。
そしたら、赤く蠢く影が浮かび上がってきた。それだけでなく、部下や市民の姿にも、赤い影が浮かび上がってくる。
「デススネークのスキル、【ピット】だ。熱を発する存在を感知するスキルでね、これなら姿が見えずとも、心で見る事が出来るってわけよ」
「一体いつの間にそんなスキルを……だが、これでキングのスキルも分かったぞ、【透明化】と【分身】か!」
「……気づかれては仕方あるまい」
キングがつぶやくと、【透明化】を解除した。
すると民家の屋根や物陰に、合計六名のキングが居た。先に倒したのは分身。行動を読まれていたのは、全方位からセピアの行動を見ていたからだ。恐らく、視界を共有しているのだろう。
「やはり来たな、賢者ハワード」
「ハーレムを知らん王様に、セピアの桃尻かじられるのが我慢ならないもんでね」
軽口を交えつつ、ハワードはキングに指を突きつけた。
「不細工なマトリョーシカだ、とっとと一つに戻ったらどうだ? まとめてどてっぱらに風穴開けてやるよ。それとも、一匹ずつ脳天にピアス穴付けるのがお望みかい? 今ならミスリル製のピアスでもサービスしてやるぜ」
「挑発には乗らん、ここは一度下がらせてもらおう。近衛兵団長セピア、必ずや貴様からレグザの石を奪い取る。そして必ずや、党首の悲願たる塔の魔人復活を果たしてやる。その時が賢者ハワードの最期だ、無力なる者は指を咥え、賢者の死にざまを眺めるがいい」
「……くっ……!」
キングの挑発にセピアは胸を締め付けられた。
キングは奥歯を噛み締めた。途端にレベルが上がり、ハワードはすぐさま【シードライフル】で狙撃した。
だけどもメイスで弾き飛ばし、一瞬で撤退する。ジャック、クィーンに続いて、キングもレベルアップドラッグを服用したようだ。
「自分の命削ってまでザナドゥに従うか、そんなもんより万馬券に賭けた方が夢があるぜ」
「馬券外しておいて言うセリフではありませんね」
アマンダが追い付き、呆れたようにため息を吐く。リサとクロノアは息を切らしながら、ハワードの素早さに驚嘆していた。
「いつも思うけど、あんた速すぎでしょ。一体何キロで走れんのさ」
「こいつは自慢だが、十キロを十秒ジャストで走った事ならあるぜ」
「次元が違いすぎる……流石はハワード・ロックです!」
ちなみに時速換算だと約マッハ3である。
「さてと、ピロートークはここまでにしよう。セピアちゃん、キングが去り際に言っていたレグザの石と塔の魔人ってのは?」
「ああ……賢者である貴公と、元シスターのアマンダならば知っているのでは?」
「勿論。レグザの石がソムニウム家にある事も存じ上げておりますよ、賢者ですから」
「私も同じく、聖書にて熟読しました。ですが、改めて事情を伺いたいと思いまして」
「そうだな……貴公らには、話しておこう。このペンダントについて」
セピアはペンダントを握りつつ、先程の戦いを振り返った。
まんまとキングの策略にはまり、危うく死にかけた。ハワードが来なければ、今頃頭を潰されて死んでいただろう。
……やはり私は、弱いな。
彼が右腕を失ったと聞いた時、セピアは心臓が止まるかと思った。隻腕のハワードを目にした時なんかは、あまりの痛々しさに丸一日泣きはらしてしまったものだ。
「難儀な物だ……好いた男に何もしてやれないのが、これほどまでに辛いとは」
セピアはハワードに好意を抱いている。普段のハワードはスケベでどうしようもないロクデナシだけど、彼は幾度も窮地に駆けつけてきた。自分が傷つくのもいとわずに。そして笑って、軽々と救ってくれたのだ。
『勇者は来ずとも、セピアを守る賢者なら居るぜ。ここに一人な!』
助けに来るたび、ハワードが叫んだ台詞だ。この声を聴くたびに、胸が甘く軋んだものだ。
圧倒的な強さと確固たる心を幾度も見ていくうちに、いつしか彼から目を離せなくなっていた。けど傍に居ると素直になれなくて、つい攻撃的な態度を取ってしまう。そんな自分が、もどかしい。
「は……だが私には、ハワードの傍に居る資格などないか……」
セピアは自信を失っている。近衛兵団のトップを保っているのも、先の戦いで役に立てなかった分働けと言う、懲罰的な意味合いが強い。
それに、市民からの批判も強かった。
『どうして何度も負けたんだ!』
『勇者さえいればお前なんかいらない!』
『この役立たず!』
目を閉じれば、ざわざわと幻聴が聞こえる。幾度も敗北を重ねた彼女へ、市民は心無い声をあびせ続けた。
それでもセピアは耐え続けた。団長として相応しいよう、凛々しい仮面をかぶって。だけどそのせいで、彼女の心は限界まで追い詰められていた。
「全く……落ち込んでいる暇がないのは、難儀な物だな」
セピアはつぶやくなり、剣を抜いた。
同時にメイスが横殴りに叩きつけられる。剣で受け止めた彼女は、片腕で軽々と押しのけた。
重い金属音を奏で、巨体が退いた。セピアは剣を振るい、襲ってきた敵をにらんだ。
目元を隠すヘルムを被り、全身を純白の鎧で覆った、屈強な男だ。手には身の丈を超える長柄のメイスを握りしめている。
「なるほど。名前の通り、大層な恰好をした奴だ」
「……セピア・L・ソムニウム。間違いないか」
無機質な声だった。セピアは剣を構え、目を細めた。
「その通り、アザレア王国近衛兵団長、セピアだ。貴様はザナドゥ幹部、キングで違いないな」
「左様」
男は頷いた。奴こそが最後の幹部、キングである。
キングの出現に市民が悲鳴を上げ、一目散に逃げていく。セピアは手を振るい、虹色の結界を展開した。
セピアとキングを囲う結界だ。これでラドラに被害が出る事はない。
さらには、近衛兵達が一斉に現れた。キングは完全に包囲された形になる。
「大人しく隠れていればよかった物を。姿を見せた以上、ここで討伐させてもらうぞ」
「簡単にやられぬ。我はキング、ザナドゥ三羽烏最強の男なり。我が目的は一つ、貴様の持つその石だ。そのために、貴様をここへ誘い込んだのだ」
キングの視線がセピアの胸元へ向かう。彼女の持つ、黒い石のペンダントに。
「……これが狙いか。誘い込んだという事は、先の事件は私を呼び込むための撒き餌か」
「左様。このキングが出れば、貴様が討伐に向かわざるを得まい。貴様は罠にかかったのだ」
「だがそう易々と渡しはせん」
「ならば力づくでもらい受ける」
キングはメイスを振り上げ、突進してくる。セピアは右に避け、刺突を繰り出そうとした。
だが、彼女よりも速くキングは軌道を変え、メイスを振り回してきた。
「むっ」
ひらりと宙返りし、キングの背後へ回る。キングは素早く振り返り、大振りの殴打を叩き込んできた。
それを左拳で迎え撃つ。ぶつかり合った拳が、激しい衝突音を轟かせた。
機敏な動きだ。まるでセピアの動きを予知しているかのようでもある。
「兵の情報通りだな、こちらの全ての行動が読まれている。どんなスキルを持っている?」
「教えるはずがないだろう」
「そうだな、だが教える必要はない。お前はここで潰えるからだ!」
左拳から炎が上がり、キングに灼熱が吹き荒れた。それをきっかけに、セピアが次々と魔法を撃ち出した。
全身を氷結させ、地面から岩の槍を突き刺し、頭上から水を叩きつけ、全身を風で切り刻み、雷で骨まで刺し貫く。さらには闇魔法で全能力を下げ、光魔法で目を眩ませた。
セピアは魔法スキルの扱いに長けており、全八種の魔法を使いこなす騎士なのだ。
魔法による連続攻撃にキングがたたらを踏む。加えてハワードに負けこそしたが、セピアは剣術の達人でもある。
「トドメだ!」
キングを鎧ごと斬り、見事に勝利を収めた。これが、アザレア王国軍最強の女の力である。
結界を解除し、セピアは息を吐くと、近衛兵達に命じた。
「キングを確保しろ。ザナドゥが何をたくらんでいるのか、情報を引き出せ」
「はっ!」
キングが拘束されたところで、セピアは剣を収めた。どうやら、キングの件はこれで片付きそうである。
しかし、ザナドゥがこれを狙うとはな。
ペンダントを握りしめ、セピアはため息を吐く。この石は、ソムニウム家が代々守り続けている魔石。それを欲しがるという事は……ザナドゥの狙いが見えてきた。
「何としても守らねばならんな」
セピアは頬を叩き、気合を入れた。
時だった。
「ぐあっ!?」
突如、近衛兵が何者かに殴り飛ばされた。
キングはまだ倒れている、ザナドゥの増援だろうか。
それにしては強すぎる、近衛兵達はレベル70越えの精鋭ばかり、それを一撃で倒せる相手だと?
「しかも一人ではない、少なくとも四人いる!」
気配を頼りにセピアは剣を振るった。しかし手応えは無く、逆に大質量の物体で横殴りにされた。
民家に叩きつけられ、肺から全ての空気を吐き出した。むせこんでいる間に、何者かが目の前に立つ。
「所詮貴様はこの程度だ。愛する者も守れず、己が使命を果たせぬ無力な女。この様ではまた、ハワードが苦しむ事になるのではないか?」
「キング……! くそ、どこだ!」
しかしやはり、姿が見えない。セピアは唇を噛み、目を閉じた。
「随分埃臭い奴だ、香水でもつけておけよ。オーデコロンで良ければ貸すぜ」
そんな軽口と共に、男が舞い降りた。
目を開くと同時に男の右腕が高くつきあげられ、激しい打撃音が聞こえた。男はセピアを見やり、口角を持ち上げた。
「悪いね、デートに遅れちまった。後でストロベリーサンデーでも奢るよ」
「は、ハワード・ロック……!」
どうしてこいつは、いつもいつもピンチになると、こうして助けに来てくれるんだ。
思わず顔を赤らめてしまう。ハワードは首を鳴らし、
「かくれんぼが好きなのかい、それとも夏の夜空を這う蠍に怯えているのかな?」
「貴公には、何が見えている?」
「プラネタリウムさ」
ハワードはウインクすると、セピアに視界共有の魔法をかけた。
そしたら、赤く蠢く影が浮かび上がってきた。それだけでなく、部下や市民の姿にも、赤い影が浮かび上がってくる。
「デススネークのスキル、【ピット】だ。熱を発する存在を感知するスキルでね、これなら姿が見えずとも、心で見る事が出来るってわけよ」
「一体いつの間にそんなスキルを……だが、これでキングのスキルも分かったぞ、【透明化】と【分身】か!」
「……気づかれては仕方あるまい」
キングがつぶやくと、【透明化】を解除した。
すると民家の屋根や物陰に、合計六名のキングが居た。先に倒したのは分身。行動を読まれていたのは、全方位からセピアの行動を見ていたからだ。恐らく、視界を共有しているのだろう。
「やはり来たな、賢者ハワード」
「ハーレムを知らん王様に、セピアの桃尻かじられるのが我慢ならないもんでね」
軽口を交えつつ、ハワードはキングに指を突きつけた。
「不細工なマトリョーシカだ、とっとと一つに戻ったらどうだ? まとめてどてっぱらに風穴開けてやるよ。それとも、一匹ずつ脳天にピアス穴付けるのがお望みかい? 今ならミスリル製のピアスでもサービスしてやるぜ」
「挑発には乗らん、ここは一度下がらせてもらおう。近衛兵団長セピア、必ずや貴様からレグザの石を奪い取る。そして必ずや、党首の悲願たる塔の魔人復活を果たしてやる。その時が賢者ハワードの最期だ、無力なる者は指を咥え、賢者の死にざまを眺めるがいい」
「……くっ……!」
キングの挑発にセピアは胸を締め付けられた。
キングは奥歯を噛み締めた。途端にレベルが上がり、ハワードはすぐさま【シードライフル】で狙撃した。
だけどもメイスで弾き飛ばし、一瞬で撤退する。ジャック、クィーンに続いて、キングもレベルアップドラッグを服用したようだ。
「自分の命削ってまでザナドゥに従うか、そんなもんより万馬券に賭けた方が夢があるぜ」
「馬券外しておいて言うセリフではありませんね」
アマンダが追い付き、呆れたようにため息を吐く。リサとクロノアは息を切らしながら、ハワードの素早さに驚嘆していた。
「いつも思うけど、あんた速すぎでしょ。一体何キロで走れんのさ」
「こいつは自慢だが、十キロを十秒ジャストで走った事ならあるぜ」
「次元が違いすぎる……流石はハワード・ロックです!」
ちなみに時速換算だと約マッハ3である。
「さてと、ピロートークはここまでにしよう。セピアちゃん、キングが去り際に言っていたレグザの石と塔の魔人ってのは?」
「ああ……賢者である貴公と、元シスターのアマンダならば知っているのでは?」
「勿論。レグザの石がソムニウム家にある事も存じ上げておりますよ、賢者ですから」
「私も同じく、聖書にて熟読しました。ですが、改めて事情を伺いたいと思いまして」
「そうだな……貴公らには、話しておこう。このペンダントについて」
セピアはペンダントを握りつつ、先程の戦いを振り返った。
まんまとキングの策略にはまり、危うく死にかけた。ハワードが来なければ、今頃頭を潰されて死んでいただろう。
……やはり私は、弱いな。
0
あなたにおすすめの小説
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
辺境薬術師のポーションは至高 騎士団を追放されても、魔法薬がすべてを解決する
鶴井こう
ファンタジー
【書籍化しました】
余分にポーションを作らせ、横流しして金を稼いでいた王国騎士団第15番隊は、俺を追放した。
いきなり仕事を首にされ、隊を後にする俺。ひょんなことから、辺境伯の娘の怪我を助けたことから、辺境の村に招待されることに。
一方、モンスターたちのスタンピードを抑え込もうとしていた第15番隊。
しかしポーションの数が圧倒的に足りず、品質が低いポーションで回復もままならず、第15番隊の守備していた拠点から陥落し、王都は徐々にモンスターに侵略されていく。
俺はもふもふを拾ったり農地改革したり辺境の村でのんびりと過ごしていたが、徐々にその腕を買われて頼りにされることに。功績もステータスに表示されてしまい隠せないので、褒賞は甘んじて受けることにしようと思う。
『捨てられシスターと傷ついた獣の修繕日誌』~「修理が遅い」と追放されたけど、DIY知識チートで壊れた家も心も直して、幸せな家庭を築きます
エリモコピコット
ファンタジー
【12/6 日間ランキング17位!】
「魔法で直せば一瞬だ。お前の手作業は時間の無駄なんだよ」
そう言われて勇者パーティを追放されたシスター、エリス。
彼女の魔法は弱く、派手な活躍はできない。 けれど彼女には、物の声を聞く『構造把握』の力と、前世から受け継いだ『DIY(日曜大工)』の知識があった。
傷心のまま辺境の村「ココン」に流れ着いた彼女は、一軒のボロ家と出会う。 隙間風だらけの壁、腐りかけた床。けれど、エリスは目を輝かせた。
「直せる。ここを、世界で一番温かい『帰る場所』にしよう!」
釘を使わない頑丈な家具、水汲み不要の自動ポンプ、冬でもポカポカの床暖房。
魔法文明が見落としていた「手間暇かけた技術」は、不便な辺境生活を快適な楽園へと変えていく。
やがてその温かい家には、 傷ついた銀髪の狼少女や、 素直になれないツンデレ黒猫、 人見知りな犬耳の鍛冶師が集まってきて――。
「エリス姉、あったか~い……」「……悔しいけど、この家から出られないわね」
これは、不器用なシスターが、壊れた家と、傷ついた心を修繕していく物語。 優しくて温かい、手作りのスローライフ・ファンタジー!
(※一方その頃、メンテナンス係を失った勇者パーティの装備はボロボロになり、冷たい野営で後悔の日々を送るのですが……それはまた別のお話)
荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。
しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。
しかし――
彼が切り捨てた仲間こそが、
実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。
事実に気づいた時にはもう遅い。
道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。
“荷物持ちがいなくなった瞬間”から、
アレクスの日常は静かに崩壊していく。
短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。
そんな彼と再び肩を並べることになったのは――
美しいのに中二が暴走する魔法使い
ノー天気で鈍感な僧侶
そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー
かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。
自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。
これは、
“間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる”
再生の物語である。
《小説家になろうにも投稿しています》
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる