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46話 レグザの石
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支部に戻った俺様達に、セピアちゃんは提げていたペンダントを見せた。
改めて見ると、不気味な力を放つ石だな。見ているだけで意識が吸い込まれそうになる。まるで、悪意を凝縮したかのような意思を感じるぜ。
「この石がレグザの石だ。ハワードは最初から気付いていたようだが」
「勿論。君の豊かな胸にどう赤い痕を付けるか考えている時、ついでに確認していたからね」
「だからどこを見ているんだ貴様はっ!」
反射的に胸を隠しちゃった。反応が乙女なのがまたグッとくるねぇ。
……口説き文句の代償にリサちゃんから足の四字固めを食らったがね。それとアマンダたん、追撃のドラゴンスリーパーはよしてくれ、俺ちゃんでも苦しいから。
「後で簀巻きにして海に放り込んでおくので、続けてください」
「念入りに頼む。希望とあれば鎖と錘も用意するぞ」
「本人の前で暗殺計画練り上げんな! クレイジーすぎて怖気立ったぜ全く」
「アホみたいな発言する方が悪い」
それもそーっすね。ったく、ホーリーシットだ。
「話を戻そう。そうだな……リサは塔の魔人については?」
「ごめん、二人と違ってさっぱり」
「ならばそこから話そう。……遥か昔、アザレア王国を滅ぼそうとした、一匹の魔物が居た。魔物は圧倒的な力を持っていた。息を吐くだけで草木は根絶やしにされ、血を垂らすだけで命あるものは異形の姿へ変わり、奴が通った跡には枯れた大地のみが残ったという」
「……実話なの、それ」
「おとぎ話なら、その石ころは存在しねぇさ。リサちゃんも感じるだろ? こいつから異様な力をな」
「魔人が暴れた爪痕は現在も各地に残っています、存在したのは間違いないかと」
「その通りだ。魔人の力は絶大で、幾万の兵を持っても、何千ものドラゴンを有しても、ことごとく壊滅させられてしまった。その力は魔王に匹敵するか、それ以上とも謳われている」
「聖書にも載ってる、有名な話だな。その魔物はレグザの塔って聖遺物をぶっ壊して現れたそうだ。そこから名前を取って、塔の魔人って呼ばれるようになったそうだぜ」
「……そんな化け物を、当時の人はどうやって倒したの?」
「当時の勇者、つまりソムニウム家の当主が対処したんだ。我が先祖は塔の魔人の力をこのレグザの石に封じ込め、地下深くに幽閉する事で、アザレア王国を滅亡から救ったのだ」
「俺達ソムニウム家は、代々レグザの石を守護する役目を持った一族なのです。万一これが悪人の手に渡っては、大変なことになります」
「王国を脅かした魔物を解き放つわけですからね、折角ハワードとカイン君が守ってくれたこの平和を、壊す事になりかねません」
「そんな物をザナドゥは奪おうとしているんだ……って、ちょっと待って。それってヤバいんじゃない?」
「そうだな。この石ころを欲しがるって事は……連中はとっくに魔人を、幽閉場所から掠め取っているとみていいはずだ。んでもって、これで連中が使っているレベルアップドラッグの正体も分かったぜ」
「本当ですか?」
「魔人の血を抜き取って固めた物だ。思い出してみ? 魔人の血には、命あるものを異形の姿に変えるってあるだろ?」
それに、随分と血の臭いが鼻に付いたからな。ほぼ間違いないだろうさ。
「魔人を復活させて、何をたくらんでいるのでしょう」
「アマンダたんにしては鈍いねぇ。大きな力を持ったらやる事なんて決まってんだろ、魔人の力を使って世界を支配しようとしてんだろうさ。魔王様に代わってよ」
その場の人間が静まり返る。俺様は伸びをしながら、にへっと笑った。
「ザナドゥの奴は、どうも物語はバッドエンド派みたいだな、ハッピーエンド派の俺様とはとことん趣味が合わないようだ」
「あんたね、事の重大さが分かってんの? そんな、国一つを壊滅させるような化け物を復活させたらどうなるのか」
「化け物ならここにも一匹いるだろ。ハワード・ロックって怪物がな」
またしても場の人間が静まり返った。普段の態度で忘れられがちだが、俺様が本気を出せばアザレア王国どころか、一晩で大陸全土を更地に出来るんだぜ。
「そうですね、ハワードが居れば不安なんてありません。そう思うと、塔の魔人も怖くありませんね」
「分かっているじゃないか。俺様がここに居る以上、バッドエンドなんてありえないぜ」
「ですが、復活させないに越した事はありません」
「ああ。いかに貴公が強くとも、相手の力が未知数である以上、無用な騒ぎは避けるべきだ」
まぁ、当然と言えば当然だな。本音を言えば、噂に名高い塔の魔人とやらと一戦交えてみたかったもんだが。
「団長、今後の方向性はどうされますか?」
「キング、ひいてはザナドゥの目的がレグザの石であるならば、むしろ好都合だ。私を囮にし、キングを誘い出す。そしてザナドゥの当主の居場所を聞き出し、塔の魔人を復活前に対処する。各員に伝達しておいてくれ」
「はっ!」
クロノアが慌ただしく出て行く。セピアちゃんを囮にした作戦か、それもザナドゥにしてみりゃ、願ったりかなったりじゃないか。
キングが罠にかかったとか抜かしていたからな。俺様が来ているのも分かっていたわけだし、何かしら策があって彼女を誘い込んだのは確実だ。
「ハワード氏……」
「お任せあれ、後で親御さんに言い訳よろしくっ」
弟君も心配しているわけだし、ここは俺ちゃんの出番だな。
「セピアちゃーん、それなら俺様と共同戦線と行こうじゃなぁい? 囮捜査なら、一人より二人の方が便利じゃないかなぁ?」
「貴公が居ると逆に相手が近寄らなくなるだろう。虫をおびき寄せたいのに虫よけを用意してどうするんだ」
「だぁいじょうぶだって、俺様に秘策あるから」
君確実に君の傍に居る事が出来て、なおかつ怪しまれなくなるスキルがあるのさ。クィーンがプレゼントしてくれた素敵なスキルがね。
改めて見ると、不気味な力を放つ石だな。見ているだけで意識が吸い込まれそうになる。まるで、悪意を凝縮したかのような意思を感じるぜ。
「この石がレグザの石だ。ハワードは最初から気付いていたようだが」
「勿論。君の豊かな胸にどう赤い痕を付けるか考えている時、ついでに確認していたからね」
「だからどこを見ているんだ貴様はっ!」
反射的に胸を隠しちゃった。反応が乙女なのがまたグッとくるねぇ。
……口説き文句の代償にリサちゃんから足の四字固めを食らったがね。それとアマンダたん、追撃のドラゴンスリーパーはよしてくれ、俺ちゃんでも苦しいから。
「後で簀巻きにして海に放り込んでおくので、続けてください」
「念入りに頼む。希望とあれば鎖と錘も用意するぞ」
「本人の前で暗殺計画練り上げんな! クレイジーすぎて怖気立ったぜ全く」
「アホみたいな発言する方が悪い」
それもそーっすね。ったく、ホーリーシットだ。
「話を戻そう。そうだな……リサは塔の魔人については?」
「ごめん、二人と違ってさっぱり」
「ならばそこから話そう。……遥か昔、アザレア王国を滅ぼそうとした、一匹の魔物が居た。魔物は圧倒的な力を持っていた。息を吐くだけで草木は根絶やしにされ、血を垂らすだけで命あるものは異形の姿へ変わり、奴が通った跡には枯れた大地のみが残ったという」
「……実話なの、それ」
「おとぎ話なら、その石ころは存在しねぇさ。リサちゃんも感じるだろ? こいつから異様な力をな」
「魔人が暴れた爪痕は現在も各地に残っています、存在したのは間違いないかと」
「その通りだ。魔人の力は絶大で、幾万の兵を持っても、何千ものドラゴンを有しても、ことごとく壊滅させられてしまった。その力は魔王に匹敵するか、それ以上とも謳われている」
「聖書にも載ってる、有名な話だな。その魔物はレグザの塔って聖遺物をぶっ壊して現れたそうだ。そこから名前を取って、塔の魔人って呼ばれるようになったそうだぜ」
「……そんな化け物を、当時の人はどうやって倒したの?」
「当時の勇者、つまりソムニウム家の当主が対処したんだ。我が先祖は塔の魔人の力をこのレグザの石に封じ込め、地下深くに幽閉する事で、アザレア王国を滅亡から救ったのだ」
「俺達ソムニウム家は、代々レグザの石を守護する役目を持った一族なのです。万一これが悪人の手に渡っては、大変なことになります」
「王国を脅かした魔物を解き放つわけですからね、折角ハワードとカイン君が守ってくれたこの平和を、壊す事になりかねません」
「そんな物をザナドゥは奪おうとしているんだ……って、ちょっと待って。それってヤバいんじゃない?」
「そうだな。この石ころを欲しがるって事は……連中はとっくに魔人を、幽閉場所から掠め取っているとみていいはずだ。んでもって、これで連中が使っているレベルアップドラッグの正体も分かったぜ」
「本当ですか?」
「魔人の血を抜き取って固めた物だ。思い出してみ? 魔人の血には、命あるものを異形の姿に変えるってあるだろ?」
それに、随分と血の臭いが鼻に付いたからな。ほぼ間違いないだろうさ。
「魔人を復活させて、何をたくらんでいるのでしょう」
「アマンダたんにしては鈍いねぇ。大きな力を持ったらやる事なんて決まってんだろ、魔人の力を使って世界を支配しようとしてんだろうさ。魔王様に代わってよ」
その場の人間が静まり返る。俺様は伸びをしながら、にへっと笑った。
「ザナドゥの奴は、どうも物語はバッドエンド派みたいだな、ハッピーエンド派の俺様とはとことん趣味が合わないようだ」
「あんたね、事の重大さが分かってんの? そんな、国一つを壊滅させるような化け物を復活させたらどうなるのか」
「化け物ならここにも一匹いるだろ。ハワード・ロックって怪物がな」
またしても場の人間が静まり返った。普段の態度で忘れられがちだが、俺様が本気を出せばアザレア王国どころか、一晩で大陸全土を更地に出来るんだぜ。
「そうですね、ハワードが居れば不安なんてありません。そう思うと、塔の魔人も怖くありませんね」
「分かっているじゃないか。俺様がここに居る以上、バッドエンドなんてありえないぜ」
「ですが、復活させないに越した事はありません」
「ああ。いかに貴公が強くとも、相手の力が未知数である以上、無用な騒ぎは避けるべきだ」
まぁ、当然と言えば当然だな。本音を言えば、噂に名高い塔の魔人とやらと一戦交えてみたかったもんだが。
「団長、今後の方向性はどうされますか?」
「キング、ひいてはザナドゥの目的がレグザの石であるならば、むしろ好都合だ。私を囮にし、キングを誘い出す。そしてザナドゥの当主の居場所を聞き出し、塔の魔人を復活前に対処する。各員に伝達しておいてくれ」
「はっ!」
クロノアが慌ただしく出て行く。セピアちゃんを囮にした作戦か、それもザナドゥにしてみりゃ、願ったりかなったりじゃないか。
キングが罠にかかったとか抜かしていたからな。俺様が来ているのも分かっていたわけだし、何かしら策があって彼女を誘い込んだのは確実だ。
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弟君も心配しているわけだし、ここは俺ちゃんの出番だな。
「セピアちゃーん、それなら俺様と共同戦線と行こうじゃなぁい? 囮捜査なら、一人より二人の方が便利じゃないかなぁ?」
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