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14話 デートしないか?

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 救は白瀬にこっぴどく怒られていた。その様子を横目に、御堂は呆れながらクェーサーを見上げた。

「この天才の私がくみ上げた制御プログラムを凌駕するなんて……こんな所で働いてないでオリンピック目指した方がいいんじゃないかな」
「普通に人間辞めてるよね。でも恰好良かったね救君。本当にロボットアニメの主人公みたいだったよ」

「……否定は、しないよ? でも頭がすっからかんなのが問題だ、彼には理知的な誰かが常に管理すべきだとは思わないかな? そう、例えばこの天才的な頭脳を持った御堂ひかるなんかが最適だとは思わないかね?」
「救君が好きならさっさと告白すればいいのに」
「好きじゃない。あんな可愛い位に馬鹿で、ずっと眺めていたいくらい逞しい肉体の、純粋なくらい実直な男のどこを好きになればいいと言うんだ」

「全方位に渡って好きになってるよね」
「あー時に優よ、君は先ほど先輩と密室空間で二人きりになったわけだが、まさか彼に好意なんて抱いたりしていないだろうね」
「ないから、僕恋愛対象女性だし」

 御堂と麻山の会話を聞きつつ、クェーサーは救の身体能力を調べてみた。
 これまでの映像記録から算出してみたが、彼の肉体は人類の基準を大きく超えている。しかし世界には、救と同程度の力を持った人間が幾人か居るようだ。

 救ばかりに目が行くも、御堂も人類を逸脱した頭脳の持ち主だ。肉体と頭脳のギフテッド、本当に、人間だけで得られる能力なのだろうか。
 と、サヨリヒメが頬杖を突き、クェーサーに話しかけた。

「どうしたのじゃクェーサー、呆けているようじゃが」
「御堂と救が人間なのか調べていました。世界には二人のような人間が存在しているので、生物学上間違ってはいないようです」
「まぁの、確かに二人は人間じゃ。半分はな」

 サヨリヒメの言い方にクェーサーは疑問符を浮かべた。

「ともあれクェーサーよ、今週末わらわと共に街へ行かぬか? おぬしに新たな世界を見せてやるぞ」
「なぜ今なのですか」
「あやかしは心なき者には見えんのじゃ。まずは人間を学んで、情緒が出来てからでないと、視認すらできん」
「私は情緒が、心が出来ているのでしょうか」
「勿論。今のおぬしにならば、あやかしを見る事が出来るじゃろう。という事で、わらわとデートじゃ!」
「デートとは。恋仲にある男女が同伴して出かける行為では」

「ええい、いい加減ぐだぐだ堅苦しい事を言うでない、犬養にも柔らかく考えろと言われたじゃろうが。ともかくそうと決まれば……御堂さん、今度の週末にクェーサーをお借りしてもよろしいですか?」
「姫野さんが?」
「はいっ、御堂さんの造られたAI、大変素晴らしいです。こんなにも人間と同じ思考が出来るAIは見た事がありません、私感動してしまいまして、もっと間近で御堂さんの頭脳がどれだけ素晴らしいのかを感じたいのです」
「そうかそうか! 流石姫野さん、物が分かる人だよ! 私もクェーサーに他の人の行動様式を見てもらいたい所だったんだ。私からもお願いしたいくらいだよ」

「ありがとうございます! あ、もしよろしければ、次の日曜日ご一緒しませんか? 救さんも含めて。大勢で行けばよりクェーサーに良い刺激になると思うんです」
「先輩と……? ……二人きりじゃなければ確かに誘いやすい……先輩とデートできるチャンス……この機、逃すわけにはいかないか……仕方ないなぁー私は脳筋先輩を誘うなんて不本意だけど姫野さんが言うんならしょうがないよなぁー」

 救が絡むと御堂は途端にアホになる。なぜだろうかと疑問に思うクェーサーだった。
 ともあれ無事に、サヨリヒメとの外出が決定した。
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