「くっ、殺せ!」と屈服した女騎士を拾ったので虐待することにした。

歩く、歩く。

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52話 奴隷達が秘密の会合を開いていた。

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 仕事終わりの夜、セレヴィはマステマを部屋に招いていた。

「おんやぁー、随分機嫌いいっすねー? いい事でもあったんすかー?」
「最近ありすぎて困るくらいだ」

 マステマからニマニマしながら小突かれ、セレヴィは照れ笑いを見せた。
 ガレオンの秘密を知ってから、セレヴィはスイーツに合う紅茶を用意するようになった。ガレオンはとっくに気づいているだろうが、意固地になって気づかないふりをしている。それがまた可愛いのだ。
 この所、ガレオンの色んな一面が見れてセレヴィはほくほくだ。距離も縮まっているようで、多分今が人生で一番楽しいかもしれない。

『ごめんくださーい、セレヴィ様いらっしゃいますかーっ?』

 ノックと共にノアの声が。扉を開けると、更なる客人も居た。

「やぁセレヴィ嬢、今日は誘ってくれて感謝するよ」
「出張中無理を言ってしまったからな、その礼がしたかったんだ」

 ルシファーがガレオン城へ帰ってきたのだ。加えて、明日は四人の休日が被る奇跡。これはいい機会だと、セレヴィはマステマらを部屋に誘っていた。各々、酒やつまみを持ち寄っての会合だ。
 楽しい時間が過ぎていくが、ある一言から話題の矛先がセレヴィに向かった。

「時にセレヴィ嬢、君は主様の妃になる気はあるのかい?」
「え?」
「最近のあーたと主様の空気がただならぬもんを感じてるんすよぉ。主様もまんざらじゃなさそうっすから、脈あるっすよー」
「いや、いや……」
「うわぉっ、魔王の妃って凄い出世ですよセレヴィ様っ!」
「ちょっと待て! お前達酔ってるだろ、話が飛躍しすぎている!」
「でもホントの所どーなんすかー? あーたもまんざらじゃねーっすよねー?」
「……うん」

 セレヴィも酔ってるせいでいつもより素直だ。今この場の女性達はアルコールによりノーガード状態にあった。

「私は小さい頃から決められた相手が居て、恋愛なんて出来ないと思っていてな……こう、好きになった男を想うのがこんなにも幸せな気分になるとは」
「許嫁居たんすか。まさしくザ・貴族な風習っすねぇ」

「でもいけ好かない男だったんですよぉ。セレヴィ様とは一回りも離れてた上に女遊びも激しかったから、嫁いでいたら絶対冷え切った結婚生活になってたと思いますっ。第一セレヴィ様は小さい頃から恋愛小説みたいなイチゴ味の初恋がしたいと仰っていましたから、むしろ許嫁が消えて好都合ですよっ」
「ノアー! 私の恥ずかしい過去をばらすなー!」
「ほーん、恋愛小説みたいなイチゴ味の初恋がしたいんすかー。主様なら超濃厚な恋が出来るんじゃねーっすかー? しすぎていきなり授かっちゃったりするんじゃねっすかー?」

「お前この機に乗じて私を辱めるつもりだろ!」
「何を今さら、いつでもあーたを辱める気でいじってるっすよ!」
「余計に性質が悪い! こっちは許嫁の存在が窮屈で、子供の頃は白馬の王子様が迎えに来ないか本気で願ったんだぞ! そのくらい夢見てもいいじゃないか!」

 酔っているせいで本音が出てしまうセレヴィであった。

「ならば私が君の白馬になろうか?」
「しれっとポニープレイの約束取り付けようとするな!」

 口説き文句として最悪である。

「なんで話が私の婚活談義になってるんだ。別にいいだろ私の好きにしたって。まずガレオンに告白すらしてないし、そんな関係にすらなってないんだし……」
「しかし君は主様との関係を望んでいるのだろう? それならば今の内から覚悟するべき事が沢山あるよ」
「そーっすねぇ、主様好きになんのはいいっすけど、先々を考えるとあーたに務まるかどーか不安っす」

「……何をそんなに不安がってるんだ」
「だって魔王の妃になるなら、セレヴィ様はお世継ぎをお産みになる使命がありますよね。ガレオン様とのお子を孕む覚悟はあるんですかっ?」

 セクシャルな話ではあるが、笑い話ではない。魔王も王族、妃になるという事は必ず致す必要があるわけで。

「いや世継ぎは別にどーでもいーんすけど」
「最悪養子を取ればいいしな」
「え、そうなんですか?」

「その辺は価値観の違いだな。しかしノア君、決して的外れではないよ。何しろ結婚生活で大事と言えば」
「夜の生活に決まってるじゃねっすか。子供はあくまで結果っす、その手前が一番重要っす」
「世継ぎよりも重要な問題かそれ?」

「当たり前じゃねーっすか。例えばルシファーが結婚するとして相手がドエムだったらどーっすか?」
「話は合うかもしれないが絆イベントでぎくしゃくするだろう。そこで上手くいかなければ最悪離婚に発展するぞ。意外とそれが原因で別れる夫婦は多いんだよ」

「話が生々しいな……」
「でも確かにお世継ぎより大事かもしれないです、どちらも気持ちよく過ごせないと、お互い引け目を感じて距離をとってしまうでしょうし。それがきっかけになって他にも相手の嫌な所とか見えてきて、小さな問題が一気に大きくなってしまう事もありますし……夫婦と言えど時間で解決できない事は山とありますしね」
「ノア、お前いくつだ」

「参考までに聞くが、セレヴィ嬢は受けと攻めどっちだ? もし受けならば私が色々アドバイスしてあげよう」
「私をアブノーマルの世界に引きずり込もうとするな」
「一度はまれば意外といい物さ」

「サムズアップしながら深淵への手招きをするな!」
「あーこの子かなりのド受けっすよ」
「なんで人のポジション記憶してるんだお前は」

「主様はド攻めっすから、あとは互いの性癖次第っすかねぇ」
「ガレオン様って特殊性癖持ってるんですか?」
「知らねっす」

 この場に本人が居ないから言いたい放題だ。マステマは酒をあおると、セレヴィの肩に手を置いた。

「ま、役割分担は出来ているから大丈夫っすよ多分。それに……ふーっ」
「ひあっ!? いきなり耳に息をかけるな! あっあっ、み、耳いじっちゃ……」
「ほれほれー、ここがいーんすよねー?」
「あう、ほっぺむにむにしないで……やんっ、おなかもっ……どうして、体が熱い……?」

 マステマに体を撫でられる度セレヴィの体がビクビク跳ねる。あまりの色っぽさにノアとルシファーも息を呑んだ。

「あーたと一緒に寝てる時、こっそり開発したっす。感度は初期の十倍っすよ」
「何しくさってんだ貴様ぁ!?」
「セレヴィ様、えっちでした……」

「ああ……これなら主様もお楽しみいただけるだろう」
「言うなぁっ! おのれマステマ、よくも私をはしたない体にしてくれたな!」
「あーしに歯向かっていいんすかー? ほれぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた」

「あっあっあっ! そんな触っちゃらめぇ~っ!」
「ノア、ルシファー! この子を思い切りぺたぺたするっすよ!」

『了解』
「さ、三対一なんて卑怯な……くっころ~~~っ!!!」
 その夜、セレヴィ達は眠れぬ夜を過ごした。

  ◇◇◇

「ねーねーねー、昨日は悪かったっすよ~、謝るから許してくれっすよ~……」
「…………(怒)」

 翌日、マステマは不機嫌なセレヴィを必死になだめていた。セレヴィはむくれたまま返事もしない。
 ノアとルシファーは二日酔いでくたばっているが、セレヴィとマステマはワイン二本を空けていると言うのにピンピンしていた。

「しぇ、しぇれびいしゃま……たしゅけて……」
「頭が割れそうだ……うぷっ……吐き気が……」
「知るか、勝手に伸びてろ」

 完全に怒ってらっしゃる。流石のマステマも今回ばかりは煽れなかった。

「調子に乗ってたあーしが悪かったっすから、そんな拗ねないでくれっすよぉ」
「……アイス奢れ」
「ういっす……」

 結局、セレヴィの機嫌を直すのに四個のアイスが必要になったとさ。
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