「くっ、殺せ!」と屈服した女騎士を拾ったので虐待することにした。

歩く、歩く。

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67話 女騎士との関係が変わってしまった

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 ヒガナの一件は翌日には沈静化していた。
 マステマ達の働きと、ヒガナの行動が大きくなる前に事態を収束させたのが大きかったようだ。ガレオン領は今日も変わりなく、人々が平和に暮らしている。
 イナンナの夢を守る、小さくとも大きな戦いを終えた後、セレヴィは泥のように眠っていた。短時間で色んな事が起きすぎて疲れ切ったようだ。

 目を覚ました後も夢見心地で、ふわふわした感じがした。昨日の事件は夢だったんじゃないか? その疑問に対して机に置いたエメラルドのペンダントが、セレヴィに現実だと伝えている。
 ガレオンと正式に交際するなんて、今でも信じられないな。

「大事にしよ……」

 身に着けるだけでガレオンに触れているような気がする。凄く幸せな気分になり、思わず笑みがこぼれた。
 何より、昨日の唇の感触がまだ残っている。彼とは二度目のキスだが、最初の時よりもずっと濃厚で、頬が熱くなった。
 またしてくれないだろうか。いやいや、そんな何度も強請ってははしたない女だと思われてしまう。それにするなら……今度は夜がいいな。

  ◇◇◇

「うぃーっすおはよーっす。んでどうっすか、昨日はお楽しみだったっすかー?」
「あれ、そんなペンダント持っていましたっけ? あ、もしかして……」

 マステマとノアに会うなり、にやにやしながら聞かれた。
 知ってるくせに、セレヴィに言わせるなんていじわるな奴らだ。というかノアがマステマに調教されてセレヴィを辱めるのになんの躊躇いも持たなくなっていた。
 答えようとすると口元が緩んでしまう。分かりやすすぎる反応に、二人から両脇を小突かれた。

「そんじゃあ後は体捧げるだけっすねー、ご希望とあらば媚薬でも提供するっすよ。それとも感度をもっと倍にするよう調教した方がいいっすかー? もしくはあーしに抱かれて寝取られプレイでもしてみるっすかーんー?」
「調子に乗るのもいい加減にしろよー?」

 笑顔でマステマにヘッドロックを仕掛けるセレヴィ。この二人の関係は今後も変わらないだろう。

「あーでもいいですよねー、ピンチを助けてもらってからの告白なんてロマンスですっ。私もガレオン様のような方とお近づきになりたいですっ」
「やらんぞ? いかにノアと言えど渡さないからな」
「やきもち妬くなんざ可愛い所あるじゃねっすか。つーかあーた意外と重そうっすよね」
「ガレオンなら持ち上げてくれるさ」
「おうおう早速惚気っすか、見せつけるっすねぇ。果たして本人を前に平常心で居られるっすかねぇー初心なねんねのくせにぃー♪」
「どやかましい」

 ぽかぽかと殴りあいに発展する二人。ノアが間に入って仲裁した。

「そろそろ出勤しないとダメなんじゃないですかっ? 今日もお仕事なんて大変ですっ」
「仕方ないさ、魔王ともあればやるべき事も多くなる。私はただ支えるだけさ」
「妃としてっすかぁ?」
「だから茶化すな。それじゃ、また後でな」

 セレヴィは小走りに去っていく。ハートマークを振りまくセレヴィを見送り、マステマとノアは目を細めた。

「スキップしてましたね、セレヴィ様」
「超浮かれてるっすねぇ。愛い奴っす」
 
  ◇◇◇

 執務室への道が輝いて見える。昨日まで普通に歩いていたはずなのに、まるで違う世界に来たかのようだ。
 期待しながら扉をくぐれば、当然のようにガレオンが居た。

「来たか。それと、ちゃんと身に着けているようで感心だな」

 セレヴィの首元で揺れるペンダントを見やり、ガレオンはほっとしていた。セレヴィが気に入ってくれるかどうか、内心不安だったのだ。
 一方のセレヴィはと言うと、しどろもどろになっていた。恋仲になったためかガレオンの顔を見るのが気恥ずかしく、直視できないでいた。

 これ、ちゃんと仕事出来るのかな。一緒の空間に居るだけで幸せ過ぎて呼吸が止まってしまいそうだ。
 目を回しているセレヴィの頬を、ガレオンは撫でた。途端にセレヴィは頭から湯気を吹き出し、くわんくわんとめまいに襲われた。
 遠慮のないタッチは恋愛経験ゼロの乙女には刺激が強すぎる。気絶寸前のセレヴィに苦笑し、ガレオンは髪に触れた。

「いつもの頼む。それで落ち着くだろう」
「へぁ、ああ、任せてくれ……!」

 紅茶淹れはセレヴィにとって大事な儀式である。準備をしていく内に、段々平常心に戻っていった。

「いつも通りでいい。その方が俺も身構えなくて済む」

 そう言われ、セレヴィは安心すると同時にほっとしていた。
 ガレオンも同じ気持ちだ。セレヴィを意識し、随分と心が揺れていたのだ。

「今日もよろしく頼むぞ、セレヴィ」
「かしこまりました。……愛しの魔王様」

 最高の一品を出し、セレヴィははにかんだ。
 今日もきっといい日になる。そんな確信を持ちながら。
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