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82話 遊びのクライマックスと言えば決まっている
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戻る頃には夕暮れになっていた。セレヴィはふらついていて、ガレオンにしがみつかないと思うように歩けずにいる。
ガレオンが本気を出したら、全く歯が立たなかった。赤面ものの展開が多すぎて、セレヴィは思い出し照れを繰り返して幾度も爆発している。あんなの人に絶対言えない……。
「やれやれ、ちょっと全力を出しただけでこれか。まだまだ甘いな」
「……甘すぎて砂糖吐きそうでした……」
目にハートマークが出る程度にはボロボロである。魔王の掌で踊らされる快楽、依存症になる程過激だった。
「今後の仕事に影響出たらどうするつもりだ……」
「その辺はきちんと加減している。秘書は生かさず殺さず甘やかす」
「既に甘え殺されているわっ! と言うか凄い疲れたんだが……」
「早朝から連れまわしたからな、宿に行くか」
「宿……うん」
なぜかセレヴィは緊張していた。当然と言うか、ガレオンが取っていたのは一部屋、ダブルルームだ。
その意味を悟ると口数が減り、頭の中で心音が聞こえてくる。ここには、誰の邪魔も入ったりしないんだ。……朝まで、誰も。
「飯まで少し時間があるし、風呂に行ってくる。セレヴィはどうするんだ?」
「へぁ!? いやぁうん、そうだな! 私も行こうかなぁ!?」
「何をてんぱってるんだお前は」
「い、いつもこんな感じだが? わつぁしはそうそうこんな感じ!」
「呂律が回ってないぞ。一旦落ち着け、深呼吸」
「ひっひっふー、ひっひっふー!」
「誰がラマーズ式呼吸をしろと言った」
昂りすぎてセレヴィはアホになっていた。つーかこの元騎士、むっつりスケベである。
私はこんなに意識してるのに、どうしてこいつはこんな冷静なんだよっ!
妙な怒りを覚える程度には重症だ。怒りのおかげでどうにか治まってきたけど。
「ここの露天はいいぞ、景色がとにかく絶景だ。楽しんでこい」
「そ、そうか。それは楽しみだな、うん」
「だろう。……なんで男湯に付いて来ようとしてるんだお前は」
セレヴィははっとした。逃げるように女湯へ駆け込み、ぽかぽかと頭を叩いた。
ああもう、しっかりしろセレヴィ! お前はそんなはしたない女じゃないだろう!
そうだ、いつもガレオンと執務室で二人きりになっているではないか。何を今さら意識する必要がある? そうさ、いつも通りでいいんだ。普通にしていれば何も起きは……。
「……ん?」
ふと、持ってきた着替えに違和感が。いつもの下着となんか違う。確かめてみれば、
「……こ、これは……!」
前にマステマと買った勝負下着ではないか。しかも奴のメモ書きが挟まっている。
『避妊はちゃんとしとけっす』
ご丁寧に、「お守り」まで付いていた。
「…………………~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?」
余計なお節介にセレヴィは沸騰し、声にならない大声を上げてしまった。
◇◇◇
Q:なんで「お守り」を入れたのですか?
A:「まー、も少し恋人気分楽しんでもらいたいっすからねー」
「何かおっしゃいましたマステマ様?」
「独り言っす」
◇◇◇
「くそぅ……マステマ、帰ったら覚えてろ……」
ボケナスダークエルフのどや顔とサムズアップが思い浮かぶ。あいつめ、余計なお世話をしおってからに。
とりあえず頭からお湯を被って冷静になる。温湯がかかると少しだけ思考が晴れた気がした。
空を見上げれば、美しい天の川が見えた。目を回していて気づかなかったが、宝石をばらまいたかのような星空が広がっている。
それに自然公園も、淡く輝いている。星の瞬きに呼応するように、精霊達が光を放っているのだ。
ガレオンの言う通り絶景だ。この景色を見ながら浸かる風呂、最高じゃないか。
……改めて、遠い世界に来たと思う。魔界で骨を埋める決意はとうに固まっている。両親から受け継いだラーゼフォン家の魂は、この世界で繋いでいくんだ。
腹をさすり、未来に思いを馳せた。ガレオンとの子供は、きっと可愛いだろうな。
でも所帯を持つのはもう少し先がいい、まだガレオンと交際を始めたばかりだし、暫くは二人でいたいから。
「楽しみは尽きないな……」
満足した所で出ると、丁度ガレオンと鉢合わせた。風呂上りの隙だらけなガレオンを見るのは初めてだ。
程よく温まり薄く赤くなった筋肉質な肉体、濡れて色気を増した髪。元々素材が良すぎるから、余計に輝いて見える。
「なんだ、見とれてるのか?」
「うん……見た事ない姿だから」
「確かに奴隷どもには見せんようにしてるからな。ま、今日は特別だ。それと、俺から離れるなよ。お前が俺に抱いているのと同じ感想を俺も抱いているからな」
セレヴィもかなり油断した姿である。彼女自身自覚はないが、容姿は相当整っている部類に含まれる。街に出れば確実に男が言い寄ってくるだろう。
顔には出さないが、ガレオンとて気が気ではない。この魔王、セレヴィが思う程冷静ではなかったようだ。
「……なんでその感情を顔に出してくれないんだ」
「長年腹芸をやっていれば自然と隠し方も身に付くもんだ」
「私も数多の貴族達とやりあってきたつもりなんだがなぁ……」
「だがその経験は無駄ではないだろう。現に秘書業で役立っているわけだからな」
「まぁ、それならいいかな。ちょっと涼んでから食事にしないか?」
「かまわん。湯疲れがあるなら、肩にもたれてもいいぞ」
「だから回りくどい言い方はやめろ。言われ無くてもそうしてやる」
という事でガレオンに寄りかかる。両親を失ってからというもの、セレヴィは甘えられる存在が居なかった。
こんなに他人に気を許したのは、親以外だとガレオンが初めてかもしれない。
……父上、母上。この人が私の……好きな人です。
魔王の妃になるなんて、天国の両親が聞いたら驚くだろう。でもきっと、祝福してくれるはずだ。
両親に負けないくらい、暖かな家庭を築ければいいな。
ガレオンが本気を出したら、全く歯が立たなかった。赤面ものの展開が多すぎて、セレヴィは思い出し照れを繰り返して幾度も爆発している。あんなの人に絶対言えない……。
「やれやれ、ちょっと全力を出しただけでこれか。まだまだ甘いな」
「……甘すぎて砂糖吐きそうでした……」
目にハートマークが出る程度にはボロボロである。魔王の掌で踊らされる快楽、依存症になる程過激だった。
「今後の仕事に影響出たらどうするつもりだ……」
「その辺はきちんと加減している。秘書は生かさず殺さず甘やかす」
「既に甘え殺されているわっ! と言うか凄い疲れたんだが……」
「早朝から連れまわしたからな、宿に行くか」
「宿……うん」
なぜかセレヴィは緊張していた。当然と言うか、ガレオンが取っていたのは一部屋、ダブルルームだ。
その意味を悟ると口数が減り、頭の中で心音が聞こえてくる。ここには、誰の邪魔も入ったりしないんだ。……朝まで、誰も。
「飯まで少し時間があるし、風呂に行ってくる。セレヴィはどうするんだ?」
「へぁ!? いやぁうん、そうだな! 私も行こうかなぁ!?」
「何をてんぱってるんだお前は」
「い、いつもこんな感じだが? わつぁしはそうそうこんな感じ!」
「呂律が回ってないぞ。一旦落ち着け、深呼吸」
「ひっひっふー、ひっひっふー!」
「誰がラマーズ式呼吸をしろと言った」
昂りすぎてセレヴィはアホになっていた。つーかこの元騎士、むっつりスケベである。
私はこんなに意識してるのに、どうしてこいつはこんな冷静なんだよっ!
妙な怒りを覚える程度には重症だ。怒りのおかげでどうにか治まってきたけど。
「ここの露天はいいぞ、景色がとにかく絶景だ。楽しんでこい」
「そ、そうか。それは楽しみだな、うん」
「だろう。……なんで男湯に付いて来ようとしてるんだお前は」
セレヴィははっとした。逃げるように女湯へ駆け込み、ぽかぽかと頭を叩いた。
ああもう、しっかりしろセレヴィ! お前はそんなはしたない女じゃないだろう!
そうだ、いつもガレオンと執務室で二人きりになっているではないか。何を今さら意識する必要がある? そうさ、いつも通りでいいんだ。普通にしていれば何も起きは……。
「……ん?」
ふと、持ってきた着替えに違和感が。いつもの下着となんか違う。確かめてみれば、
「……こ、これは……!」
前にマステマと買った勝負下着ではないか。しかも奴のメモ書きが挟まっている。
『避妊はちゃんとしとけっす』
ご丁寧に、「お守り」まで付いていた。
「…………………~~~~~~~~~~~!?!?!?!?!?」
余計なお節介にセレヴィは沸騰し、声にならない大声を上げてしまった。
◇◇◇
Q:なんで「お守り」を入れたのですか?
A:「まー、も少し恋人気分楽しんでもらいたいっすからねー」
「何かおっしゃいましたマステマ様?」
「独り言っす」
◇◇◇
「くそぅ……マステマ、帰ったら覚えてろ……」
ボケナスダークエルフのどや顔とサムズアップが思い浮かぶ。あいつめ、余計なお世話をしおってからに。
とりあえず頭からお湯を被って冷静になる。温湯がかかると少しだけ思考が晴れた気がした。
空を見上げれば、美しい天の川が見えた。目を回していて気づかなかったが、宝石をばらまいたかのような星空が広がっている。
それに自然公園も、淡く輝いている。星の瞬きに呼応するように、精霊達が光を放っているのだ。
ガレオンの言う通り絶景だ。この景色を見ながら浸かる風呂、最高じゃないか。
……改めて、遠い世界に来たと思う。魔界で骨を埋める決意はとうに固まっている。両親から受け継いだラーゼフォン家の魂は、この世界で繋いでいくんだ。
腹をさすり、未来に思いを馳せた。ガレオンとの子供は、きっと可愛いだろうな。
でも所帯を持つのはもう少し先がいい、まだガレオンと交際を始めたばかりだし、暫くは二人でいたいから。
「楽しみは尽きないな……」
満足した所で出ると、丁度ガレオンと鉢合わせた。風呂上りの隙だらけなガレオンを見るのは初めてだ。
程よく温まり薄く赤くなった筋肉質な肉体、濡れて色気を増した髪。元々素材が良すぎるから、余計に輝いて見える。
「なんだ、見とれてるのか?」
「うん……見た事ない姿だから」
「確かに奴隷どもには見せんようにしてるからな。ま、今日は特別だ。それと、俺から離れるなよ。お前が俺に抱いているのと同じ感想を俺も抱いているからな」
セレヴィもかなり油断した姿である。彼女自身自覚はないが、容姿は相当整っている部類に含まれる。街に出れば確実に男が言い寄ってくるだろう。
顔には出さないが、ガレオンとて気が気ではない。この魔王、セレヴィが思う程冷静ではなかったようだ。
「……なんでその感情を顔に出してくれないんだ」
「長年腹芸をやっていれば自然と隠し方も身に付くもんだ」
「私も数多の貴族達とやりあってきたつもりなんだがなぁ……」
「だがその経験は無駄ではないだろう。現に秘書業で役立っているわけだからな」
「まぁ、それならいいかな。ちょっと涼んでから食事にしないか?」
「かまわん。湯疲れがあるなら、肩にもたれてもいいぞ」
「だから回りくどい言い方はやめろ。言われ無くてもそうしてやる」
という事でガレオンに寄りかかる。両親を失ってからというもの、セレヴィは甘えられる存在が居なかった。
こんなに他人に気を許したのは、親以外だとガレオンが初めてかもしれない。
……父上、母上。この人が私の……好きな人です。
魔王の妃になるなんて、天国の両親が聞いたら驚くだろう。でもきっと、祝福してくれるはずだ。
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