90 / 93
90話 セレヴィが魔王への反逆を考えている。
しおりを挟む
翌朝、駐屯地にて、セレヴィはガレオンの無事を祈っていた。
昨日から、彼女はずっと眠っていない。ガレオンの無事を見るまで、心が休まらないからだ。
お願いだから、早く帰ってきてくれ。こうして待っているだけで、気が気ではない。隣にマステマが居てくれるから、辛うじて耐えられた。
「んっ? 影が見えてきたっすよ。多分あれグングニルっす」
「本当か!?」
セレヴィは飛び上がり、グングニルの影を見て喜んだ。
グングニルには損傷が見られない、それに船首にガレオンの姿も見えたのだ。
彼は無事だ、と言うのになんだか、様子がおかしい。戦勝しての凱旋ではないようだ。
「なんかトラブったんすかねぇ」
「分からない、彼から聞いてみない事には……とにかく出迎えの準備だ」
「うぃーっす」
マステマの手を借り、ガレオンの出迎えに走った。
戻ってきたガレオンは浮かない表情で、セレヴィの肩を抱いた。それだけで、セレヴィは彼の言わんとする事が分かってしまった。
「ナラクが蘇った。すぐに対策会議を開く」
「やはりか……けどよく、無事に戻ってきてくれた」
「奴が連合どもの領地へ向かったからな、戦闘を避けられたのが大きい。理由は調査中だがな」
ガレオンは更に詳しい状況を話してくれた。古代兵器を捕らえた箱を見せてもらうと、封印越しにも凄まじい力を感じられた。
こんなのを相手にして、よく帰ってこれたものだ。
会議室へ着くなり、ルシファーが報告書を持って走ってきた。
「斥候からの報告が上がりました。ナラクは連合各地に存在している、古代兵器の格納庫を襲撃しているようです」
「奴らめ、性懲りもなくまだ古代兵器を隠し持ってやがったのか。だが古代兵器を最優先で攻撃しているようだな」
「元々、その目的のために製造された兵器だからじゃないか?」
「思考回路の基本ルーティンとなっていてもおかしくないな、となれば、作戦も立てやすくなる。早急に人を集めろ! ナラク討伐作戦を決行する!」
あまりにも早すぎる行動にセレヴィは驚いた。しかしガレオンの行動も致し方ない。
ナラクは危険だ、放置すればどれほどの被害が広がる事になるか。何しろ相手は、一度文明を崩壊させた超兵器なのだから。
でもまた、ガレオンは危険な場所へ向かおうとしているんだな……。
「……マステマ、ちょっといいか?」
「あん? 何か企んでるみたいっすけど」
「……二度も、留守番を命じられたんだ。もう我慢の限界だよ」
これは私なりの、魔王への反逆だ。
◇◇◇
会議室にて、ガレオンは斥候が入手したナラクの情報を解析していた。
命がけで持ってきた、記録石に映し出される光景は、凄まじいものだった。
連合は隠していた古代兵器を起動させ、必死になってナラクにぶつけ抵抗していた。しかしナラクには全く通用しない、体に刻み込まれた、数々の武装により、まるで紙屑のように蹴散らされていく……。
「この後が問題なのです」
ルシファーは神妙な顔で、ナラク最大の武器の映像を見せた。
ナラクは翼を起点にオーロラのような光を放出した。するとその光を浴びた古代兵器は勿論、連合兵達がまるでねじ切れるように殺されていく。
建物も何もかもが融解していき、瞬く間に地獄絵図が広がった。流石のガレオンですら、顔をしかめる凄惨な光景だった。
「ナラクから高出力のマナが放出されているんです。このマナの奔流を浴びたら最後、生物だろうが何だろうが圧倒的な攻撃濃度で潰されてしまいます」
「成程な、かつて世界から文明を消し去った、ナラク最大の武装か」
この攻撃には莫大なエネルギーを使用するのか、ナラクは地上に降り、休眠状態に入った。この間も体からビットを生み出し、周囲の警戒に当たらせている。
まるで隙が見当たらず、参加者全員が絶句してしまう。その中でガレオンは……笑っていた。
久しぶりの、最高の喧嘩相手じゃないか。
最強の古代兵器ナラク、相手にとって不足はない。
「捕らえた古代兵器が利用できそうだ。ナラクが古代兵器に引かれる性質を利用し、人気のない海上へおびき出す。そこから先は、俺が対処する」
「主様……お言葉ですが、主様でもナラクの相手は、辛いのでは?」
「かもな、多少は苦戦するかもしれん。だが、俺しかやれる奴が居ないのならば行くしかない。辛いとか辛くないとかではない、俺がやらねばならない仕事だ。俺以外にナラクの相手が出来る奴は、居ないんだからな」
それにナラクを倒せば、魔界統一も非常に楽になる。生き残った魔王達も、ナラクを倒すような化け物に歯向かう勇気はあるまい。
圧倒的な力は壮絶な抑止力となる、ガレオンの力を完全な形で救い、魔界の救世主となれば、魔界の全てはガレオンの物となるだろう。
イナンナと始め、セレヴィと目指す夢の結実が間近に迫っていた。
「時間は残されていない、早急に行動を始めろ。お前達の命、この俺が守ってやる」
部下を鼓舞し、ガレオンは拳を握った。
自分が背負うべき、数多の責務。そいつを全て乗っけて、ナラクを討伐してやる。
昨日から、彼女はずっと眠っていない。ガレオンの無事を見るまで、心が休まらないからだ。
お願いだから、早く帰ってきてくれ。こうして待っているだけで、気が気ではない。隣にマステマが居てくれるから、辛うじて耐えられた。
「んっ? 影が見えてきたっすよ。多分あれグングニルっす」
「本当か!?」
セレヴィは飛び上がり、グングニルの影を見て喜んだ。
グングニルには損傷が見られない、それに船首にガレオンの姿も見えたのだ。
彼は無事だ、と言うのになんだか、様子がおかしい。戦勝しての凱旋ではないようだ。
「なんかトラブったんすかねぇ」
「分からない、彼から聞いてみない事には……とにかく出迎えの準備だ」
「うぃーっす」
マステマの手を借り、ガレオンの出迎えに走った。
戻ってきたガレオンは浮かない表情で、セレヴィの肩を抱いた。それだけで、セレヴィは彼の言わんとする事が分かってしまった。
「ナラクが蘇った。すぐに対策会議を開く」
「やはりか……けどよく、無事に戻ってきてくれた」
「奴が連合どもの領地へ向かったからな、戦闘を避けられたのが大きい。理由は調査中だがな」
ガレオンは更に詳しい状況を話してくれた。古代兵器を捕らえた箱を見せてもらうと、封印越しにも凄まじい力を感じられた。
こんなのを相手にして、よく帰ってこれたものだ。
会議室へ着くなり、ルシファーが報告書を持って走ってきた。
「斥候からの報告が上がりました。ナラクは連合各地に存在している、古代兵器の格納庫を襲撃しているようです」
「奴らめ、性懲りもなくまだ古代兵器を隠し持ってやがったのか。だが古代兵器を最優先で攻撃しているようだな」
「元々、その目的のために製造された兵器だからじゃないか?」
「思考回路の基本ルーティンとなっていてもおかしくないな、となれば、作戦も立てやすくなる。早急に人を集めろ! ナラク討伐作戦を決行する!」
あまりにも早すぎる行動にセレヴィは驚いた。しかしガレオンの行動も致し方ない。
ナラクは危険だ、放置すればどれほどの被害が広がる事になるか。何しろ相手は、一度文明を崩壊させた超兵器なのだから。
でもまた、ガレオンは危険な場所へ向かおうとしているんだな……。
「……マステマ、ちょっといいか?」
「あん? 何か企んでるみたいっすけど」
「……二度も、留守番を命じられたんだ。もう我慢の限界だよ」
これは私なりの、魔王への反逆だ。
◇◇◇
会議室にて、ガレオンは斥候が入手したナラクの情報を解析していた。
命がけで持ってきた、記録石に映し出される光景は、凄まじいものだった。
連合は隠していた古代兵器を起動させ、必死になってナラクにぶつけ抵抗していた。しかしナラクには全く通用しない、体に刻み込まれた、数々の武装により、まるで紙屑のように蹴散らされていく……。
「この後が問題なのです」
ルシファーは神妙な顔で、ナラク最大の武器の映像を見せた。
ナラクは翼を起点にオーロラのような光を放出した。するとその光を浴びた古代兵器は勿論、連合兵達がまるでねじ切れるように殺されていく。
建物も何もかもが融解していき、瞬く間に地獄絵図が広がった。流石のガレオンですら、顔をしかめる凄惨な光景だった。
「ナラクから高出力のマナが放出されているんです。このマナの奔流を浴びたら最後、生物だろうが何だろうが圧倒的な攻撃濃度で潰されてしまいます」
「成程な、かつて世界から文明を消し去った、ナラク最大の武装か」
この攻撃には莫大なエネルギーを使用するのか、ナラクは地上に降り、休眠状態に入った。この間も体からビットを生み出し、周囲の警戒に当たらせている。
まるで隙が見当たらず、参加者全員が絶句してしまう。その中でガレオンは……笑っていた。
久しぶりの、最高の喧嘩相手じゃないか。
最強の古代兵器ナラク、相手にとって不足はない。
「捕らえた古代兵器が利用できそうだ。ナラクが古代兵器に引かれる性質を利用し、人気のない海上へおびき出す。そこから先は、俺が対処する」
「主様……お言葉ですが、主様でもナラクの相手は、辛いのでは?」
「かもな、多少は苦戦するかもしれん。だが、俺しかやれる奴が居ないのならば行くしかない。辛いとか辛くないとかではない、俺がやらねばならない仕事だ。俺以外にナラクの相手が出来る奴は、居ないんだからな」
それにナラクを倒せば、魔界統一も非常に楽になる。生き残った魔王達も、ナラクを倒すような化け物に歯向かう勇気はあるまい。
圧倒的な力は壮絶な抑止力となる、ガレオンの力を完全な形で救い、魔界の救世主となれば、魔界の全てはガレオンの物となるだろう。
イナンナと始め、セレヴィと目指す夢の結実が間近に迫っていた。
「時間は残されていない、早急に行動を始めろ。お前達の命、この俺が守ってやる」
部下を鼓舞し、ガレオンは拳を握った。
自分が背負うべき、数多の責務。そいつを全て乗っけて、ナラクを討伐してやる。
0
あなたにおすすめの小説
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる