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26話 ヘル襲来
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静かで暗く、生気を感じない声を聞き、浩二は身構えた。
聞いた途端、体が冷たくなった。魂が抜き取られたように意識も遠くなり、危うく失神しかけてしまった。
自分を殴り、かろうじて意識を保つ。歯を食いしばり、浩二は顔を上げた。
「この声って、まさか!」
「下がっていろ」
ばるきりーさんは槍を出した。最初から、戦う体勢に入っている。
琴音の手を取り、浩二は身をかがめた。まさか、このタイミングで来るなんて。
「ふふ……健気に警戒して、可愛いものだな。室井浩二」
姿は見えないが、声はあちこちから聞こえてくる。地獄の支配者、ヘルの声が。
こちらの様子を理解しているから、なんらかの手段で監視をしているはず。奥からざわめきが聞こえるという事は、神殿中に声が広がっているのだろう。
「ヘル、どういうつもりだ? ここはフレイの神殿だと知っての狼藉か?」
「神殿もなにも、今じゃ守銭奴が人間から金を巻き上げるために置いてあるだけの場所だろう? そんなありがたみのない場所、乗り込むのにためらいはないな」
ヘルはせせら笑った。
「しかしまぁ、すっかり教師が板についているじゃあないか。心を閉ざした少年を救うとは、ヴァルキュリア軍のエリートとは思えないな」
「悪いが、貴様との世間話に興味はない」
ばるきりーさんは髪を逆立て、目を赤く輝かせた。
「どこに居る、ヘル!」
「そう慌てるな。ようやく力が戻りつつあるんだ、少し遊ぼうではないか」
ヘルは、どこかで指を鳴らした。
するとどうだ、奥から聞こえる声に、悲鳴が混じりだした。
「人間界の言葉で言えば、ハッキングというやつかな? 腑抜けたフレイの神殿なんぞ、とうに吾の手の内だ」
浩二は背後に気配を感じ、琴音を引っ張った。
諸刃の剣が振り下ろされ、床に亀裂が入った。出入り口に居たのと同型の鎧が立ち、浩二と琴音に襲い掛かってきたのだ。
再度剣を振り上げ、鎧が迫る。だが鎧は瞬きをする一瞬で、ばるきりーさんの槍に砕かれた。
「ヘル……貴様!」
「ほら、大切な生徒が危ないぞ? 私から生徒を守れるか、一つゲームといこうじゃないか」
ヘルは挑発するようにいい、気配を消した。
ばるきりーさんは槍を握りこみ、駆け出した。浩二も後に続き、グロッティの間へと急いだ。
グロッティの間に着くなり、凄惨な光景が目に映った。先ほどの鎧が無数にうごめき、次々と生徒に襲い掛かっていたのだ。
フェニヤとメニヤが守ってくれているが、二人の体にはすでに無数の傷がついている。鎧の動きは機敏で、巨人の二人ではついていけてない。
「……随分、趣味の悪い遊具だな!」
ばるきりーさんは怒り、魔力をほとばしらせた。人間である浩二も肌に感じるほどの密度で拡散した魔力は鎧に届くなり、内側から粉砕した。
だが鎧はすぐに再生し、動けるようになる。
「早く逃げろ!」
二人の巨人に叫び、ばるきりーさんは躍り出た。瞬く間に鎧を壊し、退路を確保する。間隙を縫って二人の巨人が生徒を誘導し、出口へと逃げていった。
「琴音、俺から離れるなよ」
「うん」
浩二は琴音の手をしっかり握った。
ばるきりーさんが鎧をなぎ倒し、ホールへと牽引していく。ホールへ出るなり、浩二は目を見張った。
フレイの従者達が目を血走らせ、生徒達に襲い掛かっていたのだ。凶器を振りかざし、神話の存在が、人間に牙を向いている。フレースヴェルグの時とよく似た状態だ。
「何をしているかぁっ!」
ばるきりーさんはまた魔力を放ち、従者達にかかっていた魔法を打ち消した。従者達はその場で気絶し、倒れた。
ばるきりーさんは分身を作って飛び出し、生徒達の安否確認に急いでいた。浩二は琴音を連れ、出口に足を向けた。
「おいムロ公! 何が起こっているんだい!」
神殿の奥から、木下が多数の生徒と一緒に走ってきた。多少怪我をしており、襲われた形跡がある。
「いきなり鎧とかが襲ってきて……フレイが守ってくれたけど、まだ向こうは鎧まみれでその、フレイも全然動けなくて!」
「落ち着け、慌てんな」
浩二は木下の肩を叩いた。
「あとで説明してやるから、今はばるきりーさんの誘導に従うんだ。行くぞほら、早く! 後ろの連中も連れて来れるか?」
「お、おう! よしあんたら、行くよ!」
木下は後ろに居た生徒に声をかけ、真っ直ぐ出口へと誘導し始めた。浩二もそれに続き、ヘルの襲撃が続くホールを駆け出した。
多数のばるきりーさんが生徒を守り、洗脳された鎧と従者達をなぎ倒していく。後ろを気にしながら、浩二は懸命に出口へと向かった。
「大丈夫だ……行ける……行ける!」
浩二は琴音の手を、強く握り締めた。
絶対、この手は離さない。例え腕が折れようとも。琴音は大切な人、守らなくちゃいけない人、浩二の、一番大切な人だから。
まだ結衣の所へは行かせやしない。あいつだって、来て欲しくないと思っているはずだ。
「もうちょい……だっ!」
襲ってくる敵をかいくぐり、浩二はようやく、ゲートへと到着した。外の景色が見え、ほんのわずかに安堵した。
それがいけなかった。
「ひゃっ!?」
急に悲鳴が聞こえ、琴音の手が重くなった。浩二は振り向き、驚愕した。
琴音の足が、ない。消えている。琴音の踝には黒い靄が立ちこめ、少しずつ、体を吸い込んでいた。
「こ、こうちゃん! これ何!? なんなの!?」
琴音は恐怖を目に滲ませ、助けを求めてくる。浩二はすぐに靄を払うべく手を出すが、
「ぐ!?」
その手が、靄に飲み込まれた。
琴音もろとも浩二まで吸い込まれ、体が靄に食われていく。侵食は早くなり、琴音もろとも、どこかへ連れ去ろうとしていた。
「これ、何……くそ、このっ!」
完全にやられた、これが狙いだ! この襲撃全てが、ばるきりーさんに対する目くらましだ!
このままじゃ、連れて行かれる! 自分の力では、どうにも出来ない!
「浩二ぃっ!」
ばるきりーさんの声が聞こえた。ばるきりーさんは手を伸ばし、生徒を助けようと向かってきていた。
浩二も手を出し、先生に助けを求めた。
しかしその手は交わらず、指ひとつの差で、浩二と琴音は消えてしまった。
聞いた途端、体が冷たくなった。魂が抜き取られたように意識も遠くなり、危うく失神しかけてしまった。
自分を殴り、かろうじて意識を保つ。歯を食いしばり、浩二は顔を上げた。
「この声って、まさか!」
「下がっていろ」
ばるきりーさんは槍を出した。最初から、戦う体勢に入っている。
琴音の手を取り、浩二は身をかがめた。まさか、このタイミングで来るなんて。
「ふふ……健気に警戒して、可愛いものだな。室井浩二」
姿は見えないが、声はあちこちから聞こえてくる。地獄の支配者、ヘルの声が。
こちらの様子を理解しているから、なんらかの手段で監視をしているはず。奥からざわめきが聞こえるという事は、神殿中に声が広がっているのだろう。
「ヘル、どういうつもりだ? ここはフレイの神殿だと知っての狼藉か?」
「神殿もなにも、今じゃ守銭奴が人間から金を巻き上げるために置いてあるだけの場所だろう? そんなありがたみのない場所、乗り込むのにためらいはないな」
ヘルはせせら笑った。
「しかしまぁ、すっかり教師が板についているじゃあないか。心を閉ざした少年を救うとは、ヴァルキュリア軍のエリートとは思えないな」
「悪いが、貴様との世間話に興味はない」
ばるきりーさんは髪を逆立て、目を赤く輝かせた。
「どこに居る、ヘル!」
「そう慌てるな。ようやく力が戻りつつあるんだ、少し遊ぼうではないか」
ヘルは、どこかで指を鳴らした。
するとどうだ、奥から聞こえる声に、悲鳴が混じりだした。
「人間界の言葉で言えば、ハッキングというやつかな? 腑抜けたフレイの神殿なんぞ、とうに吾の手の内だ」
浩二は背後に気配を感じ、琴音を引っ張った。
諸刃の剣が振り下ろされ、床に亀裂が入った。出入り口に居たのと同型の鎧が立ち、浩二と琴音に襲い掛かってきたのだ。
再度剣を振り上げ、鎧が迫る。だが鎧は瞬きをする一瞬で、ばるきりーさんの槍に砕かれた。
「ヘル……貴様!」
「ほら、大切な生徒が危ないぞ? 私から生徒を守れるか、一つゲームといこうじゃないか」
ヘルは挑発するようにいい、気配を消した。
ばるきりーさんは槍を握りこみ、駆け出した。浩二も後に続き、グロッティの間へと急いだ。
グロッティの間に着くなり、凄惨な光景が目に映った。先ほどの鎧が無数にうごめき、次々と生徒に襲い掛かっていたのだ。
フェニヤとメニヤが守ってくれているが、二人の体にはすでに無数の傷がついている。鎧の動きは機敏で、巨人の二人ではついていけてない。
「……随分、趣味の悪い遊具だな!」
ばるきりーさんは怒り、魔力をほとばしらせた。人間である浩二も肌に感じるほどの密度で拡散した魔力は鎧に届くなり、内側から粉砕した。
だが鎧はすぐに再生し、動けるようになる。
「早く逃げろ!」
二人の巨人に叫び、ばるきりーさんは躍り出た。瞬く間に鎧を壊し、退路を確保する。間隙を縫って二人の巨人が生徒を誘導し、出口へと逃げていった。
「琴音、俺から離れるなよ」
「うん」
浩二は琴音の手をしっかり握った。
ばるきりーさんが鎧をなぎ倒し、ホールへと牽引していく。ホールへ出るなり、浩二は目を見張った。
フレイの従者達が目を血走らせ、生徒達に襲い掛かっていたのだ。凶器を振りかざし、神話の存在が、人間に牙を向いている。フレースヴェルグの時とよく似た状態だ。
「何をしているかぁっ!」
ばるきりーさんはまた魔力を放ち、従者達にかかっていた魔法を打ち消した。従者達はその場で気絶し、倒れた。
ばるきりーさんは分身を作って飛び出し、生徒達の安否確認に急いでいた。浩二は琴音を連れ、出口に足を向けた。
「おいムロ公! 何が起こっているんだい!」
神殿の奥から、木下が多数の生徒と一緒に走ってきた。多少怪我をしており、襲われた形跡がある。
「いきなり鎧とかが襲ってきて……フレイが守ってくれたけど、まだ向こうは鎧まみれでその、フレイも全然動けなくて!」
「落ち着け、慌てんな」
浩二は木下の肩を叩いた。
「あとで説明してやるから、今はばるきりーさんの誘導に従うんだ。行くぞほら、早く! 後ろの連中も連れて来れるか?」
「お、おう! よしあんたら、行くよ!」
木下は後ろに居た生徒に声をかけ、真っ直ぐ出口へと誘導し始めた。浩二もそれに続き、ヘルの襲撃が続くホールを駆け出した。
多数のばるきりーさんが生徒を守り、洗脳された鎧と従者達をなぎ倒していく。後ろを気にしながら、浩二は懸命に出口へと向かった。
「大丈夫だ……行ける……行ける!」
浩二は琴音の手を、強く握り締めた。
絶対、この手は離さない。例え腕が折れようとも。琴音は大切な人、守らなくちゃいけない人、浩二の、一番大切な人だから。
まだ結衣の所へは行かせやしない。あいつだって、来て欲しくないと思っているはずだ。
「もうちょい……だっ!」
襲ってくる敵をかいくぐり、浩二はようやく、ゲートへと到着した。外の景色が見え、ほんのわずかに安堵した。
それがいけなかった。
「ひゃっ!?」
急に悲鳴が聞こえ、琴音の手が重くなった。浩二は振り向き、驚愕した。
琴音の足が、ない。消えている。琴音の踝には黒い靄が立ちこめ、少しずつ、体を吸い込んでいた。
「こ、こうちゃん! これ何!? なんなの!?」
琴音は恐怖を目に滲ませ、助けを求めてくる。浩二はすぐに靄を払うべく手を出すが、
「ぐ!?」
その手が、靄に飲み込まれた。
琴音もろとも浩二まで吸い込まれ、体が靄に食われていく。侵食は早くなり、琴音もろとも、どこかへ連れ去ろうとしていた。
「これ、何……くそ、このっ!」
完全にやられた、これが狙いだ! この襲撃全てが、ばるきりーさんに対する目くらましだ!
このままじゃ、連れて行かれる! 自分の力では、どうにも出来ない!
「浩二ぃっ!」
ばるきりーさんの声が聞こえた。ばるきりーさんは手を伸ばし、生徒を助けようと向かってきていた。
浩二も手を出し、先生に助けを求めた。
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