もしも北欧神話のワルキューレが、男子高校生の担任の先生になったら。

歩く、歩く。

文字の大きさ
28 / 32

27話 立ち上がれ、教師として

しおりを挟む
 靄を潜り抜けるなり、すぐに別の空間が視界に広がった。
 やわらかいカーペットに転がり込んだ浩二は、半身を起こした。
 つれてこられたのは、随分とかび臭いにおいがする場所だった。天井まで到達するほどに積まれた本棚と、ぎっしり詰め込まれた書物が並んだ、図書館のような場所だ。宙に浮くランプが薄明るく図書を照らし、本の背表紙を映している。
 床に散らばった本を崩しながら、浩二は立ち上がった。

「琴音、居るか?」
「うん……ここだよ」

 琴音は浩二の服を摘み、身を寄せてきた。
 ここがヘルの根城らしいが、地獄の支配者にしては大人しい場所だ。浩二は空飛ぶランプをひとつ捕まえ、明り取りにした。

「ここ、どこだろう……」
「……俺が聞きたいよ」

 浩二は本棚を照らし、背表紙を見てみた。
 本は全て、古代ノルド語で書かれていた。普通なら、まず読むことすらかなわないような物のはずだが……。

「……ムスペルヘイム、の書?」

 背表紙の文字が、浩二には読めた。試しに本を取り開くと、こちらもまた、同じく読める。内容は難解すぎるが、部分部分で分かる所がある。この本はどうやら、北欧神話の地獄に引き込む呪いの書物のようだ。
 一度だけ、ばるきりーさんから同じような本を読まされた事がある。けどその時は一文字たりとも理解できなかった。
 浩二は手当たりしだいに本を読み、その全てが理解できた。なぜだ、なんで急に読めるようになったんだ?

「いきなりどうしたのこうちゃん?」
「いや、それは……」

 気味が悪かった。記憶にないのに、ここの本は全部、一度読んだ記憶があるからだ。しかしその記憶は浩二の物ではない。誰か別の、何者かの記憶が交じり合っていた。
 誰だ、俺の頭にいるのは。

「ここの本だから、読めるのさ」

 頭に直接、ヘルの声が響いてきた。浩二は本を捨て、身構えた。

「ここは、オーディンの隠し書庫という奴だ。ここにある本は全て、オーディンでなければ読み解けない代物でな」
「そんな本、なんで俺が読めるんだよ」
「特異点だから。それ以外にあるまい」
「……特異点って、なんだよ? それとこれと、何の関係があるんだ」
「それを知ってどうする?」

 ヘルははっきりと、浩二の発言を切り捨てた。
 浩二は警戒し、一歩後ずさった。その足元に、どこからともなくナイフが飛び、床に突き刺さった。
 ナイフが刺さった場所は腐食し、朽ちていく。背筋が冷え、浩二は息を呑んだ。
 いきなり、殺しにかかってきやがった。

「そうだな、では、ゲームをしてみようか」

 室内に、指を鳴らす音が響いた。直後、大量のナイフが浮かび上がり、浩二と琴音を取り囲んだ。

「このナイフは、しめて千本はあるかな? 一本ずつ撃ちだすから、避け続けてみろ。生きてここまで来れたら、褒美に教えてやろう」
「悪趣味……何様のつもりだお前」
「口の利き方には気をつけるといい」

 いきなり後ろのナイフが飛んできた。ギリギリで回避した浩二は、琴音を抱き寄せた。

「本当なら、この場に来た瞬間殺してもよかったのだよ。だがそれでは興ざめでつまらんからな、少し、遊んでやろうと思ったまでだ。忘れるな、貴様らの命は、吾の内にある事を」
「っぐそ!」

 どのみち逃げ場はない……前に行く以外に、浩二に選択肢はなかった。
 浩二は琴音を抱え、ナイフの雨に身をねじ込んだ。
 掠りでもすれば肉体が腐り落ちる刃を避け続け、浩二はヘルの居場所へと走った。限界以上に神経を尖らせ、ナイフ一本一本の動きを先読みし、着実に距離を詰めていく。
 しかし浩二はよくても、琴音は避けきれず、一本が彼女のブレザーの裾を掠めた。すぐさま服が腐食し、皮膚にまで浸透しようとした。

「くそっ!」

 浩二は琴音からブレザーを剥ぎ取った。その隙に浩二の背後から、三本のナイフが飛んでくる!

「なめんなっ!」

 ナイフを蹴り飛ばした浩二だが、靴が腐り始めた。すぐに靴を脱ぎ捨てるも、今度は浩二のブレザーにナイフが掠り、腐食していく。
 少しずつ、こちらの身につけている物がそぎ落とされていく。自分のブレザーを捨て、浩二は唇を噛んだ。
 どうすればいい。浩二は辺りを見て、ふとナイフが刺さった本を見つけた。本は腐っておらず、そのままの状態を保っている。ここの本はどうやら魔法によるプロテクトがかかっているらしい。
 ……賭けるしかない。
 浩二は、走りながら近くの本を拾い上げた。

「うっおおおおおおおおおおおおおおおらぁあああああああ!」

 そして琴音を抱え上げ、本でナイフを叩き落としながら一気呵成に走り出した!
 飛んでくるナイフを本で片っ端から叩き落とし、ヘルの下へと突き進む。決死の覚悟で走っていくと、開けた場所が見えてきた。
 あそこだ、あそこがゴールだ!
 後ろで最後のナイフが飛んでくる。浩二は振り向きざまに本を投げつけ、最後のナイフを打ち落とした。

「ま、前!」

 琴音の警告に振り向き、浩二は目を見開いた。追加でナイフが一本、浩二に飛んできたのだ。もうナイフを弾ける物がない……避けられない!

「……諦め、るかぁっ!」

 浩二は最後の力で、無理な姿勢のまま前へと飛んだ。ナイフの軌道から寸での所で逃れ、無様だが、広場へと転がり込む。
 琴音が腕から落ち、床に倒れた。服は多少乱れているが、ナイフは一本も掠っていない。どうにか守りぬけた。
 安心する浩二だが、すぐに考えを改めた。状況は、悪くなる一方だから。

「ヘルに、近づいちまったな……」

 どのみち、ヘルならどこにいようが察知してくるだろうが。
 重い体に鞭を打ち、浩二は立ち上がった。

「人間にしてはしぶといな、浩二。伊達にラーズグリーズの師事を受けているわけではないか」

 ヘルは感心したように言った。

「何もかも、思い通りにさせてたまるかよ。それより、ゲームは俺の勝ちだ。ザマミロ」
「ゲームは確かに貴様の勝ちだな。ほめてやろう」

 浩二のせめてもの抵抗は、ヘルには効果がなかった。

「なら、約束は守ろう。その程度の礼節は果たしてやろうぞ。こちらへ来い」

 室内を飛んでいたランプが整列し、道を作った。ランプが作る道の先はぼんやりと光り、広いスペースがあるのが伺えた。
 分かる。あそこに、ヘルが居る。俺を待っている。浩二は意を決し、琴音の手を取った。

「行けるか?」
「うん、大丈夫」

 琴音は気丈に頷いた。浩二は息を整え、歩を進めた。
 程なく、円形の広場に到着した。広場には婉曲したテーブルと椅子が並べられ、中央に巨大な台座が安置されており、そこにヘルが座っていた。

 ヘルは冷徹な印象を受ける女だった。上半身だけを覆う鎧に漆黒のマントを羽織っており、足は死体のように腐っている。微笑を称え浩二を伺う目は、獲物を狙う猛禽類のようでもある。
 ただ、浩二はヘルよりも、後ろに刺さっている槍に目を奪われていた。

 浩二の二倍はあるであろう、非常に長い槍だった。エメラルドのような深緑の柄は光を吸い込んで艶かしく輝き、気品に溢れている。穂先は透き通った水色をしており、クリスタルを連想させる形状になっていた。宝石で造られたような美しい槍。見た事はなくても、槍の銘が、浩二の頭に浮かんできた。

「……グングニル」
「左様。これがオーディンの槍、グングニルだ」

 ヘルは底冷えするような声で、浩二を歓迎した。細い指でグングニルを撫で、慈しむように眺めた。

「どうだ、美しい物だろう。吾は様々な武具を見てきたが、これほどまでに美しい武器は他とないぞ」
「……もう、手に入れていたのか」
「そうだ。まぁ、手に入れたといっても、吾ではこれを使う事ができぬ。貴様がいなければ、この槍は本来の機能が戻らないのだ。
 さて、与太話はこれくらいにしよう。死ぬ前の土産として先ほどのゲームの褒美をくれてやる、貴様の質問に、いくつか答えてやるぞ。さぁ、なんでも尋ねるといい」

 妖しく笑うヘルに、浩二は尋ねた。
 ヘルは獲物を弄び、楽しんでいる。自分の力に絶対の自信を持っているから、浩二をすぐに殺さず、転がして遊んでいた。
 浩二が出来る唯一の抵抗は、少しでも時間を稼ぐしかない。

「お前、それを使ってどうするつもりだ、何を目的として、オーディンを襲ったんだ」
「目的など単純だ、元々は、ユグドラシルを手に入れるためにこの槍を欲したのだ」

 ユグドラシル、北欧神話の世界の舞台である、超巨大な世界樹の事である。

「吾はニブルヘイムを統括していた者だが、どうにも吾には手狭でな。吾にふさわしきは広大なる世界、あんな薄暗い最下層の世界ではないのだ。だからより広い世界、つまりはユグドラシルを手にいれ、支配したかった。そのためには、強大な力が必要となる。だからオーディンの持つグングニルを欲したわけさ。
 だが今は、さまざまな世界が交じり合った統合世界が目の前に広がっている。こいつを手に入れれば、ユグドラシル以上の世界が手に入る。この世界を思うままに動かせると思うと、興奮してこないか? 吾はこの世界を吾が物としたいのだ。だからこの槍が欲しい。簡単な事だ」

「……ようは、世界征服かよ。神様の癖に、俗っぽい欲求だな」

「何を言う、神とて欲はあるものだぞ? ギリシャのゼウスを見てみろ、奴は己の性欲にかまけて幾人もの人間をたぶらかしただろう。インドのシヴァを見てみろ、奴は妻との結婚を反対された時、八つ当たりで世界を焼いたのだぞ。各々の世界の最高神ですら、このような俗欲に塗れているのだ。ならば吾が世界を求めて力を得ようとするのも、至極自然だと思わないか?」

 ヘルは当然のように言い放った。あまりに身勝手な欲求に、浩二は苛立った。

「……それと俺に、どんな関係があるんだよ」

 浩二は言葉の中に、静かに怒りを込めた。

「それを使うのに、俺が必要なんだろ? 特異点とかいう、俺が。なんで俺を狙い続ける、特異点って何だ。約束は守るんだろ、答えろ、ヘル」
「そう焦るな。教えてやるから、大人しくしていろ」

 ヘルはゆっくりと首をもたげた。

「この世界の成り立ちについては、ラーズグリーズから聞いただろう? だが奴の話では、奴自身も知りえない裏話がある。
 多数の世界が結合する瞬間、全ての世界は一度、グングニルに集まり、切っ先に触れた。その接地面自体は針先程度だが、そこに偶然、一人だけ、かぶさった幼児がいたのさ。
 グングニルに触れた人間には、ほんの僅かだが、力が流れ込んだ。記憶にはないか? たとえば……本来使えないはずの物が使えたり、相容れない存在に指示を下せたり。まぁ一番わかりやすいのは、読めないはずの本が読めたりとかかな? オーディンの、隠し書庫の本がな」
「…………」

 浩二の脳裏に、いくつかの記憶が浮かんだ。
 浩二はヴァルハラにおいて、オーディンにしか使えない武器を使う事ができた。リンドブルム騒動では、明らかに浩二の呼びかけに、ワルキューレ達が応じていた。ここの本も、オーディンの手がかかった物だから、浩二は読む事ができた。
 何よりも、ばるきりーさんの行動。あの人は浩二が命令した事に対し、逆らう事無く素直に応じ続けていた。

「あるようだな、思い当たる節が。限りなく弱いが、貴様の中には、グングニルを介してオーディンの力が流れ込んでいる。だが重要なのはそこじゃない。世界が交わる瞬間、グングニルは大量の力を放出した。本来なら放出した力はグングニルが回収するのだが、その際に、人間のような不純物に混ざってしまったせいで、本来戻るはずだった力が人間の中に留まってしまったのさ。これが何を意味するかわかるか、室井浩二。
 オーディンの力として、貴様にグングニルの力が宿った。それが真相だよ。ほんの僅かでも力が戻らなければ、グングニルは機能しない。いわば貴様は、グングニルの一部とも言うべき存在なのだ。この世界を作った槍の一部が、貴様なんだよ」

「…………」

「貴様を殺せば、貴様の中の力がグングニルに戻るのだ。故に私は貴様を狙っていたというわけだな。グングニルが戻った暁には、生身の体を取り戻し、世界を我が物にする。そのために貴様が必要なのさ」

 自分がグングニルの一部。世界が統合した瞬間、槍に触れた者。それが、特異点の真相。己の手を見て、浩二は握りしめた。
 多少なりとも、衝撃はある。しかし、思うほどの物ではなかった。

「……だとしても、俺は俺だ」

 結衣の言葉が、力になる。結衣は言った、俺らしく生きろと。どんな力があろうとも、他の人と違おうとも、俺は俺なんだ。
 結衣のおかげで、自身を素直に受け入れられる。

「特異点だろうが、俺である事に変わりはない。そう、言ってくれた奴が居るんでな」

 浩二は静かに言い、ヘルを睨んだ。
 ヘルは、僅かに苛立ちを見せた。見下していた人間に言い返された事で、奴のプライドが、刺激されたらしい。

「気に食わぬ目だ。人間ごときが克己し、憎しみを乗り越えおって……気に入らん、気に入らん……気に入らん! 吾が長い時をかけて円熟させた憎しみ、なぜ消し去った!」
「どういう事だよ、それ」
「しれた事、グングニルを復活させるためだ。グングニルを復活させるには儀式が必要でな、贄を長い時間、強い感情に狂わせた上で殺し、その心臓を捧げねばならんのだ。
 そのために私は、貴様に強い憎しみの感情を与え続けたのさ。
 貴様がグングニルの贄にふさわしくなるよう、一体どれほどの年月をかけたと思っている。貴様が憎しみを抱き、力を蓄えられるよう整えるのに、どれだけの苦労を重ねたと思っているのだ! なけなしの魔力を使い、人間どもを操るのに、どれほどの血を吐いてきたか、貴様に分かるのか!」
「……人間を、操る……俺の、憎しみ……!」

 浩二の頭に、一瞬にして血が上った。

「まさか……まさか! 天木を追い詰めた連中を扇動したのは……!」
「そうだよ! 吾だ! 貴様が憎しみを抱いてくれるよう、念入りに根回しを重ねたのだよ!」
「……お前が、天木を、殺したのか……ヘルゥゥゥゥッ!」

 ヘルはその手に、炎の剣を生み出した。

「貴様のせいで、吾はグングニルを使えずにいる。失った血肉を、未だに取り戻せずに居るのだぞ! 目の前に血肉を取り戻す力があるのに、こんな血肉の通わぬ傀儡の、仮初の体に甘んじているのだ! この屈辱が分かるか? 肉体を持たぬ存在などゴミも同然なのだ! 吾はヘル、極寒地獄の支配者! 頂点に立つ者だ! それがこんな虫けらのような体に甘んじるなど、あってはならんのだ!
 そのために一体、どれだけの苦労を重ねたと思っている……貴様の心を憎しみに染めるために、何年もの歳月を重ねたと思っている!」

 ヘルは執念に満ちた目を向け、浩二に剣を向けた。

「我が悲願の為、その身をよこせ特異点! 吾が受けた屈辱を、倍にして返してくれるわ!」
「……そんな自分勝手な理由のために、お前は何をしやがった!」

 浩二は怒りのまま、ヘルに叫んだ。
 こいつのせいで、結衣は殺された……身勝手な理由のせいであいつは死んだ! 浩二が許せるはずがない。
 こいつは、結衣の仇そのものだ!

「憎しみが沸騰したな」

 ヘルの顔が、急に笑みで満ちた。
 刹那、ヘルの姿が消える。炎の残渣が軌跡を作り、ヘルが動いたのを物語る。
 浩二の首元に、炎の刃があてがわれた。ようやく気付く頃には遅く、熱を持った切っ先が、喉笛を切り裂こうとしていた。

 ヘルの狂喜に満ちた顔が、視野いっぱいに映る。浩二の頭に、明確な死が浮かび上がった。
 次の瞬間、空間が破れ、高速で槍が飛んできた。槍はヘルと浩二の間に割って入り、床を打ち砕く。
 そして間髪入れず、銀の影が現れて、

「ぬぅおぉあぁっ!」

 ヘルの横っ面に、渾身の拳を叩き込んだ。

「助けに来たぞ……我が生徒よ!」

 生徒の危機を救うべく、最高の教師……ばるきりーさんが、ここに降臨した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件

沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」 高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。 そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。 見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。 意外な共通点から意気投合する二人。 だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは―― > 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」 一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。 ……翌日、学校で再会するまでは。 実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!? オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...