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第四話 義務を果たしてないのに?
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「もらってあげる?」
どういうことだ? といぶかし気な表情になるのを隠しきれない。
そんな自分を見て、ローデリアは悪戯をしている子供のような表情をした。
「伯爵家の財産を横領するとでもいうのか?」
「横領? そんな必要ございませんわ」
そういうと、ローデリアはまるで夢見る乙女のように両手の指先を合わせて、うふふ、と笑う。
「だってもうすべてが私のものになってますから。この屋敷も、領地も、事業も、財産含めて、全て」
「なんだと?!」
「嫌ですわ、お忘れですの? 私が旦那様のお仕事をお手伝いできるように、旦那様が権利を委譲してくださったではないですか。その上で、家紋の入った印璽までお与えくださったので、それらを使って正式に私に譲渡させていただきましたの」
「そんな権限を渡したわけではない!」
「でも、印璽を受け取るということはそういうことですわよね? 私の一存で全てを行ってもいいという意思表示ではないですか」
困ったような顔で、旦那様のためなのに、というローデリア。
「これは詐欺だ! 泥棒だ! 犯罪だと訴えてやる!」
「そんな犯罪だなんて…………ひどいですわ。それに夫婦の間でそんなことする人なんていませんよ? 旦那様だって、私を裏切ったりとかそういうこと、考えたことないでしょう? それと一緒です」
ぷう、と膨れて、腕組みをして、ふいっと横を向く妻に、内心ぎくりとして、あぁ、そうだなと頷く。
「旦那様はお仕事をまるっきりしてなかったではないですか。このおうちが嫌いなのでしょう? だから私がもらってあげようと思ったのです。旦那様には大好きで大切な爵位があるではないですか。世の中で一番大事なのは、貴族としてのメンツであり、プライドだとおっしゃってましたよね。そのために生きてらっしゃるのでしょう? なら、それ以外の煩わしいことからは離れて生きればいいのに、なんで怒ってらっしゃるんですの?」
貴方の言っていることがまるでわからない、とでもいうかのように、ローデリアの琥珀色の瞳にじっと見つめられる。
こんな風に言われると、まるで自分が間違っているかのように感じさせられるが、明らかにローデリアの言い分の方がおかしいに決まっているのだが。
「ちがう、違う」
爵位が輝くのは、それに付随する権力があるからだ。その権力は富でもって支えられるものなのだから、富を得られる手段を切り離されては、なんの意味もない。
それに金も、金を得る手段も奪われてはいくら伯爵でも何もできないではないか!
「義務を果たしていない貴族は貴族と認められないんだ!」
だから、単なる貴族として威張りくさっていても意味がない。そう彼女に言ったら、何を言っているのだろうというような顔をされた。
「それなら貴族としての義務ってなんでしょうか? 具体的にはどうすればいいのですか?」
「それは……領民の声を聴き、良く領地を治め、人の規範となる振舞いをし、何かがあった時に真っ先に自ら死地に赴く気概を持つことだ」
「それなら旦那様は、貴族の義務を果たしてないので貴族ってことになりませんよね」
一番痛いところを突かれた。
どういうことでしょう、とローデリアは皮肉気でも、嫌味を言っている風でもなく、ただただよくわからない、とその首を傾げている。
どういうことだ? といぶかし気な表情になるのを隠しきれない。
そんな自分を見て、ローデリアは悪戯をしている子供のような表情をした。
「伯爵家の財産を横領するとでもいうのか?」
「横領? そんな必要ございませんわ」
そういうと、ローデリアはまるで夢見る乙女のように両手の指先を合わせて、うふふ、と笑う。
「だってもうすべてが私のものになってますから。この屋敷も、領地も、事業も、財産含めて、全て」
「なんだと?!」
「嫌ですわ、お忘れですの? 私が旦那様のお仕事をお手伝いできるように、旦那様が権利を委譲してくださったではないですか。その上で、家紋の入った印璽までお与えくださったので、それらを使って正式に私に譲渡させていただきましたの」
「そんな権限を渡したわけではない!」
「でも、印璽を受け取るということはそういうことですわよね? 私の一存で全てを行ってもいいという意思表示ではないですか」
困ったような顔で、旦那様のためなのに、というローデリア。
「これは詐欺だ! 泥棒だ! 犯罪だと訴えてやる!」
「そんな犯罪だなんて…………ひどいですわ。それに夫婦の間でそんなことする人なんていませんよ? 旦那様だって、私を裏切ったりとかそういうこと、考えたことないでしょう? それと一緒です」
ぷう、と膨れて、腕組みをして、ふいっと横を向く妻に、内心ぎくりとして、あぁ、そうだなと頷く。
「旦那様はお仕事をまるっきりしてなかったではないですか。このおうちが嫌いなのでしょう? だから私がもらってあげようと思ったのです。旦那様には大好きで大切な爵位があるではないですか。世の中で一番大事なのは、貴族としてのメンツであり、プライドだとおっしゃってましたよね。そのために生きてらっしゃるのでしょう? なら、それ以外の煩わしいことからは離れて生きればいいのに、なんで怒ってらっしゃるんですの?」
貴方の言っていることがまるでわからない、とでもいうかのように、ローデリアの琥珀色の瞳にじっと見つめられる。
こんな風に言われると、まるで自分が間違っているかのように感じさせられるが、明らかにローデリアの言い分の方がおかしいに決まっているのだが。
「ちがう、違う」
爵位が輝くのは、それに付随する権力があるからだ。その権力は富でもって支えられるものなのだから、富を得られる手段を切り離されては、なんの意味もない。
それに金も、金を得る手段も奪われてはいくら伯爵でも何もできないではないか!
「義務を果たしていない貴族は貴族と認められないんだ!」
だから、単なる貴族として威張りくさっていても意味がない。そう彼女に言ったら、何を言っているのだろうというような顔をされた。
「それなら貴族としての義務ってなんでしょうか? 具体的にはどうすればいいのですか?」
「それは……領民の声を聴き、良く領地を治め、人の規範となる振舞いをし、何かがあった時に真っ先に自ら死地に赴く気概を持つことだ」
「それなら旦那様は、貴族の義務を果たしてないので貴族ってことになりませんよね」
一番痛いところを突かれた。
どういうことでしょう、とローデリアは皮肉気でも、嫌味を言っている風でもなく、ただただよくわからない、とその首を傾げている。
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