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神獣の依頼
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神獣ムトゥス、人語を操る鳥、人知を超えた存在。
滅多に人前に姿を現す事がない神獣が目の前に降り立っている、同じく人外の存在である魔女でさえその美しい姿に言葉を失った。
「コンニチハ、ゴキゲンイカガ?」
まるで井戸端会議に参加するおばちゃんのような声だった。
「へっ!?」
鳥類は声帯を持たない、舌を振動させることで調音を可能にしているため様々な音と声を模倣出来るのだ。
そしてムトゥスの声は時として広範囲を支配することを可能にする音響武器、唄笛となる、その昔、一攫千金を狙い神獣に挑んだ愚か者は漏れなく唄笛で精神を病んで死に至る、その音は耳を塞ごうと防ぐことは出来ない、まずは聞こえもしない、人間の聴覚能力を超えた音域で放たれる致死の矢だ。
さらに直接音で攻撃するだけではなく他の生物を操ることも可能だという。
その姿は意外なほどに小さい、トンビほどの大きさしかない。
「ノッテモイイカナ?スコシオハナシガシタイノネ」
小首を傾げる姿はマルコスとは違う可愛さがある。
「あ、あの、神獣様ですよね!?」
「コチラノヒトハソウヨブネ、デモボクハカミナンテシラナイ、アッタコトナイネ」
「凄い、私、神獣様と話してる!どっ、どうぞ、お上がりください」
扉をあけるとピョンと飛び乗り私の膝の上に乗ってくれた!!
愛らしくて可愛くて美しい、思わず抱きしめて頬刷りしたいのを堪える、魔女と小動物の組み合わせは定番だ。
「アラタメテドウモ、ワタシノナハ”ムトゥス”、キョウハオネガイガアッテキマシタ」
「お願い!?神獣様が我々にか?」
「ソウデス、アナタハ”ローペン”サンデスネ、ナニカチカイモノヲカンジマス」
「!!」
「俺達を知っているのか?」
「モチロン、マルコス・レイン、ツウショウ、シルバーバック、モンテ・ファミリーノワカガシラ」
「驚いたな……」
「ソシテ、キリア・マキエ、キリノマジョ、アナタタチニオネガイガアルネ」
「神獣様の千里眼とは本物なのだな、ひょっとして膝を折った方が良いのかな」
「ソンナノイラナイネ、ボクハカミジャナイ、ダイタイボクノチチトハハ、ソダテノオヤダケドニンゲンダヨ、トクニチチハフタリトモキリア・マキエトドウキョウ」
「ええっ、私の御先祖様!?」
「シンイカドウカハシラナイ、コチラノセカイノハナシデモナイシ」
「それで頼みとは何でしょうか?お聞きしたい」
「ローペンサンハセッカチネ、ダイジョウブ、コノヘンハマダアンゼン、ノーベルノキョウカイカラサキハアブナイ、イマチカヨッテイケナイ」
「聖教会か、何故危険なのだ?」
「イルヨ、モリヲコワスモノガ、ジュウヲモッテボクヲコロソウトテイルネ」
「銃!?マスケット・ライフルの事だな、しかしあんなもので空中を飛ぶ神獣様に弾が当たるとは思えないが」
「ソウダネ、イマハネ、デモ、ソコマデキテイル、アタラシイブキ、ミニエージュウトイウヤツダネ」
「ミニエー銃?」
聞いたことがない名前だ。
「知っている、新型のライフル銃だろう、弾を前からでなく後ろから装填するものだ、弾丸が大きく真っ直ぐ飛ぶらしい、射程距離が長いと聞く、それなら神獣様まで届くのか」
「タメシテハイナイケドネ」
「その銃が何処から来ると?それに森を壊すとはどういう意味ですか?」
「ソレハイマ、キミタチガオッテイルコタエ、ソレヲヤメサセテホシイ」
「俺達は奇跡の粉の偽薬を追ってきた、キリアの濡れ衣を晴らすためだ、偽薬と関連があるのだな」
「アルケドモットネブカイ、ナカマハツドウ、チカラヲアワセテ、ドウカ、アノモリヲマモッテホシイ、ボクダケデハムリダ」
「あの森?どこの森だ」
神獣の嘴が指示したのはアコンガ山の裾野に広がる黒い森、奥には渓谷が幾つも流れ、切り立った岩に挟まれたゴルジュ帯、人を拒む難所の一つ。
「アノタニデハボクノコエハトオラナイ、キミタチノタスケガヒツヨウダ」
「なぜ俺達なのだ?」
「ボクジャナイ、キミタチガエランダ」
「?俺達が」「選んだ?」
「サア、モウボクハイクネ、タノミハシタケド、ドウスルカハジユウダヨ、ココデヒキカエシテモカマワナイ」
「結果は知っているのですか?」
「ドリョクデミライハカワル、ソレハシッテイルネ」
ピョンと膝から跳ねると再び地に降り立つと、その青い翼を大きく広げた。
「ジャア、マタネ」
バヒュッ 言い残すと神獣はその羽根のひと掻きでロケットの如く空へと飛び出していく、どれ程の推力なのか、まさに神速の速さで虚空へと消えていった。
呆気にとられて見送る私達をよそに馬車の運転手と護衛たちは神獣が落としていった宝石と同等以上の価値を持つ羽根を拾い集めていた。
滅多に人前に姿を現す事がない神獣が目の前に降り立っている、同じく人外の存在である魔女でさえその美しい姿に言葉を失った。
「コンニチハ、ゴキゲンイカガ?」
まるで井戸端会議に参加するおばちゃんのような声だった。
「へっ!?」
鳥類は声帯を持たない、舌を振動させることで調音を可能にしているため様々な音と声を模倣出来るのだ。
そしてムトゥスの声は時として広範囲を支配することを可能にする音響武器、唄笛となる、その昔、一攫千金を狙い神獣に挑んだ愚か者は漏れなく唄笛で精神を病んで死に至る、その音は耳を塞ごうと防ぐことは出来ない、まずは聞こえもしない、人間の聴覚能力を超えた音域で放たれる致死の矢だ。
さらに直接音で攻撃するだけではなく他の生物を操ることも可能だという。
その姿は意外なほどに小さい、トンビほどの大きさしかない。
「ノッテモイイカナ?スコシオハナシガシタイノネ」
小首を傾げる姿はマルコスとは違う可愛さがある。
「あ、あの、神獣様ですよね!?」
「コチラノヒトハソウヨブネ、デモボクハカミナンテシラナイ、アッタコトナイネ」
「凄い、私、神獣様と話してる!どっ、どうぞ、お上がりください」
扉をあけるとピョンと飛び乗り私の膝の上に乗ってくれた!!
愛らしくて可愛くて美しい、思わず抱きしめて頬刷りしたいのを堪える、魔女と小動物の組み合わせは定番だ。
「アラタメテドウモ、ワタシノナハ”ムトゥス”、キョウハオネガイガアッテキマシタ」
「お願い!?神獣様が我々にか?」
「ソウデス、アナタハ”ローペン”サンデスネ、ナニカチカイモノヲカンジマス」
「!!」
「俺達を知っているのか?」
「モチロン、マルコス・レイン、ツウショウ、シルバーバック、モンテ・ファミリーノワカガシラ」
「驚いたな……」
「ソシテ、キリア・マキエ、キリノマジョ、アナタタチニオネガイガアルネ」
「神獣様の千里眼とは本物なのだな、ひょっとして膝を折った方が良いのかな」
「ソンナノイラナイネ、ボクハカミジャナイ、ダイタイボクノチチトハハ、ソダテノオヤダケドニンゲンダヨ、トクニチチハフタリトモキリア・マキエトドウキョウ」
「ええっ、私の御先祖様!?」
「シンイカドウカハシラナイ、コチラノセカイノハナシデモナイシ」
「それで頼みとは何でしょうか?お聞きしたい」
「ローペンサンハセッカチネ、ダイジョウブ、コノヘンハマダアンゼン、ノーベルノキョウカイカラサキハアブナイ、イマチカヨッテイケナイ」
「聖教会か、何故危険なのだ?」
「イルヨ、モリヲコワスモノガ、ジュウヲモッテボクヲコロソウトテイルネ」
「銃!?マスケット・ライフルの事だな、しかしあんなもので空中を飛ぶ神獣様に弾が当たるとは思えないが」
「ソウダネ、イマハネ、デモ、ソコマデキテイル、アタラシイブキ、ミニエージュウトイウヤツダネ」
「ミニエー銃?」
聞いたことがない名前だ。
「知っている、新型のライフル銃だろう、弾を前からでなく後ろから装填するものだ、弾丸が大きく真っ直ぐ飛ぶらしい、射程距離が長いと聞く、それなら神獣様まで届くのか」
「タメシテハイナイケドネ」
「その銃が何処から来ると?それに森を壊すとはどういう意味ですか?」
「ソレハイマ、キミタチガオッテイルコタエ、ソレヲヤメサセテホシイ」
「俺達は奇跡の粉の偽薬を追ってきた、キリアの濡れ衣を晴らすためだ、偽薬と関連があるのだな」
「アルケドモットネブカイ、ナカマハツドウ、チカラヲアワセテ、ドウカ、アノモリヲマモッテホシイ、ボクダケデハムリダ」
「あの森?どこの森だ」
神獣の嘴が指示したのはアコンガ山の裾野に広がる黒い森、奥には渓谷が幾つも流れ、切り立った岩に挟まれたゴルジュ帯、人を拒む難所の一つ。
「アノタニデハボクノコエハトオラナイ、キミタチノタスケガヒツヨウダ」
「なぜ俺達なのだ?」
「ボクジャナイ、キミタチガエランダ」
「?俺達が」「選んだ?」
「サア、モウボクハイクネ、タノミハシタケド、ドウスルカハジユウダヨ、ココデヒキカエシテモカマワナイ」
「結果は知っているのですか?」
「ドリョクデミライハカワル、ソレハシッテイルネ」
ピョンと膝から跳ねると再び地に降り立つと、その青い翼を大きく広げた。
「ジャア、マタネ」
バヒュッ 言い残すと神獣はその羽根のひと掻きでロケットの如く空へと飛び出していく、どれ程の推力なのか、まさに神速の速さで虚空へと消えていった。
呆気にとられて見送る私達をよそに馬車の運転手と護衛たちは神獣が落としていった宝石と同等以上の価値を持つ羽根を拾い集めていた。
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