73 / 109
侵略戦争
しおりを挟む
異世界の都市が燃えている、幾筋もの煙が立ち上がり戦争は始まっていた。
「あれはどうなっている、侵略戦争なのか」
教会の庭から見える遥か先の斑模様、地平線が黒い煙が層を作っていた。
「あれは魔族の国、貴方たち同様の異世界人が隣国の人族と共謀して魔族国を侵略しているのです」
「異世界人!?まさかあのギガントに乗っていたドイツ軍!?」
「一年以上前に転移してきた人たちです、みなさんが持っている銃や爆弾といった武器を多数使用して魔族を殲滅しています、戦局は一方的、間もなく魔族国は滅ぶでしょう」
「!」「滅亡?侵略による政権交代ではなく皆殺し?」
「人族の魔族に対する恨みは根深いものがあります、数百年ほど前まで魔族国の領土は人族のものでした、何世代にも渡り豊穣なる土地を巡りその屍を重ねる争い、今は人族の反撃の時代なのです」
「その中心となる戦力に転移者が英雄として加担しているのだな」
「あいつらには神の啓示があったのか」
「神の本命はドイツ軍で我々は付属だったわけだ」
「魔族とはどんなやつらなのだ?」
「人族とたいして変わりません、外見で言えば角が有る者がいたり、目が赤いといった程度、特別狂暴悪辣ということではなく、体力的に勝っている者が多いのは事実ですが銃で撃たれれば死にます」
「魔法が使えるとか、特殊能力があるのじゃないのか」
「ふふっ、そんな都合の良い物はありませんよ、魔族の名の由来は、人族が生命活動の根源に酸素が必要なように、彼らには酸素と同時に魔素と呼ばれる物質もエネルギーとして活用することが出来ることを指しています」
「魔素?」「そうです、この世界の空気には酸素同様に含まれるもの、人族は利用することは出来ませんが毒ではありません」
「そのためなのかは分かりませんが魔族も人族よりは長生きですね、百歳を数える方も多いようです」
「それだけ?」
「それだけです」
「なら全滅させるまで争う理由はなんだ、長い間には混血も進んで親戚関係になる家系も多いのではないか」
「人族と魔族で結婚する方は少なからずいます、でもほとんど子供は持てません、ハーフが生まれる確率はゼロに近いのです、それは我々エルフ族も同じ、姿形は似ていても根本的な何かが違うのでしょうね」
「アリア様はどちらかに与しているのですか」
「いいえ、個人的に魔王イーヴァンとは知合いですが与するのとは違います、彼女の身に起こる不幸を考えると心が痛みますが・・・・・・ですが同じように人族の中にも知り合いはいます、どちらにしても廃れ行く教会の巫女がなにか出来る事ではありません」
「皆殺しは避けられないのか」
「そうなるでしょう、高性能な銃を持った英雄が与しています、皆殺しとは言いましたが一般の魔族の中には既に国を脱出している者もいますし、魔族としての種を根絶やしにすることは不可能です、そして何十年か何百年か先に再び争いは繰り返される、それが生物としての運命なのかもしれません」
「ここ数年で毎年のように転移現象が頻発しています、終末は近いのかもしれません」
「ここは、貴方は安全なのですか?」
「皆さんにも避難して頂くことになるでしょう、魔国を追われた残党がこの山にもやって来ます、人族やエルフ族は見つかれば目の敵にされます」
「ここも人族の支配地になるなら返って安全になるのでは」
「この山は魔獣が跋扈する別世界です、豊穣な平地を手に入れれば遠くから眺めるだけの存在です、好き好んで管理する人はいません」
「ならアリア様も避難を?」
「いいえ、私は残ります、この山に居続けなければならない理由がありますから」
「どのような理由が?」
「・・・・・・」
その問いにアリアは哀しく笑って答えなかった。
魔国を侵略していく炎の煙は次第に中心に向かっている、ドーナツ形に狭まっていく煙が人族の侵攻を描いている、決着は近い。
クロワたちはエリクサーの精製方法をアリアから相伝したいと執着している、奇跡の薬、しかも若返りの特典まで付いてくる。
アリアは製法を伝授することに難色は示さない、製法事態は複雑ではない、しかし原材料の希少さによって困難だ、なによりアリアのエリクサーの精製と培養にはエルフ、始祖たるアールヴ・イブの血が必要だからだ、エリクサーはアリアあっての物なのだ。
各地に存在する相伝者は自身の血を使いエリクサーを精製する、しかしアリアのように万人に適合するエリクサーは作れない、始祖アールヴはこの大陸には極僅かしかいない、いても自分がアールヴだと認識している者が何人いるだろう。
他の者の血を使うとエリクサーとしての効果が極端に薄れる、培養に使用した人間と同タイプの者にしか効果を発揮しなくなる、いわば個人用だ、誰がどのタイプなのかは判別出来ない。
この世界ではアールヴこそが始祖であり、その他の人間や魔族は亜種なのだ。
マットたちが死神に魅入られた様に、クロワたちはエリクサーの不滅の命にみいられていた。
マットとグレイは毎日のように山を下りて転移した近代兵器を探し回った、あの時渦に呑みこまれたのは数機あった、どこかに転移されたまま放置された武器があるかもしれない、アリアがいう残党と遣り合うために拳銃一丁と残弾数発では話にならない。
思い切って魔国まで行ってドイツ軍の武器を奪う方がいいかもしれない、そう思い始めていた、風向きによってはガザル神山の中で銃声らしき音が聞こえる。
耳に馴染んだ音と空気が迫っていた。
「あれはどうなっている、侵略戦争なのか」
教会の庭から見える遥か先の斑模様、地平線が黒い煙が層を作っていた。
「あれは魔族の国、貴方たち同様の異世界人が隣国の人族と共謀して魔族国を侵略しているのです」
「異世界人!?まさかあのギガントに乗っていたドイツ軍!?」
「一年以上前に転移してきた人たちです、みなさんが持っている銃や爆弾といった武器を多数使用して魔族を殲滅しています、戦局は一方的、間もなく魔族国は滅ぶでしょう」
「!」「滅亡?侵略による政権交代ではなく皆殺し?」
「人族の魔族に対する恨みは根深いものがあります、数百年ほど前まで魔族国の領土は人族のものでした、何世代にも渡り豊穣なる土地を巡りその屍を重ねる争い、今は人族の反撃の時代なのです」
「その中心となる戦力に転移者が英雄として加担しているのだな」
「あいつらには神の啓示があったのか」
「神の本命はドイツ軍で我々は付属だったわけだ」
「魔族とはどんなやつらなのだ?」
「人族とたいして変わりません、外見で言えば角が有る者がいたり、目が赤いといった程度、特別狂暴悪辣ということではなく、体力的に勝っている者が多いのは事実ですが銃で撃たれれば死にます」
「魔法が使えるとか、特殊能力があるのじゃないのか」
「ふふっ、そんな都合の良い物はありませんよ、魔族の名の由来は、人族が生命活動の根源に酸素が必要なように、彼らには酸素と同時に魔素と呼ばれる物質もエネルギーとして活用することが出来ることを指しています」
「魔素?」「そうです、この世界の空気には酸素同様に含まれるもの、人族は利用することは出来ませんが毒ではありません」
「そのためなのかは分かりませんが魔族も人族よりは長生きですね、百歳を数える方も多いようです」
「それだけ?」
「それだけです」
「なら全滅させるまで争う理由はなんだ、長い間には混血も進んで親戚関係になる家系も多いのではないか」
「人族と魔族で結婚する方は少なからずいます、でもほとんど子供は持てません、ハーフが生まれる確率はゼロに近いのです、それは我々エルフ族も同じ、姿形は似ていても根本的な何かが違うのでしょうね」
「アリア様はどちらかに与しているのですか」
「いいえ、個人的に魔王イーヴァンとは知合いですが与するのとは違います、彼女の身に起こる不幸を考えると心が痛みますが・・・・・・ですが同じように人族の中にも知り合いはいます、どちらにしても廃れ行く教会の巫女がなにか出来る事ではありません」
「皆殺しは避けられないのか」
「そうなるでしょう、高性能な銃を持った英雄が与しています、皆殺しとは言いましたが一般の魔族の中には既に国を脱出している者もいますし、魔族としての種を根絶やしにすることは不可能です、そして何十年か何百年か先に再び争いは繰り返される、それが生物としての運命なのかもしれません」
「ここ数年で毎年のように転移現象が頻発しています、終末は近いのかもしれません」
「ここは、貴方は安全なのですか?」
「皆さんにも避難して頂くことになるでしょう、魔国を追われた残党がこの山にもやって来ます、人族やエルフ族は見つかれば目の敵にされます」
「ここも人族の支配地になるなら返って安全になるのでは」
「この山は魔獣が跋扈する別世界です、豊穣な平地を手に入れれば遠くから眺めるだけの存在です、好き好んで管理する人はいません」
「ならアリア様も避難を?」
「いいえ、私は残ります、この山に居続けなければならない理由がありますから」
「どのような理由が?」
「・・・・・・」
その問いにアリアは哀しく笑って答えなかった。
魔国を侵略していく炎の煙は次第に中心に向かっている、ドーナツ形に狭まっていく煙が人族の侵攻を描いている、決着は近い。
クロワたちはエリクサーの精製方法をアリアから相伝したいと執着している、奇跡の薬、しかも若返りの特典まで付いてくる。
アリアは製法を伝授することに難色は示さない、製法事態は複雑ではない、しかし原材料の希少さによって困難だ、なによりアリアのエリクサーの精製と培養にはエルフ、始祖たるアールヴ・イブの血が必要だからだ、エリクサーはアリアあっての物なのだ。
各地に存在する相伝者は自身の血を使いエリクサーを精製する、しかしアリアのように万人に適合するエリクサーは作れない、始祖アールヴはこの大陸には極僅かしかいない、いても自分がアールヴだと認識している者が何人いるだろう。
他の者の血を使うとエリクサーとしての効果が極端に薄れる、培養に使用した人間と同タイプの者にしか効果を発揮しなくなる、いわば個人用だ、誰がどのタイプなのかは判別出来ない。
この世界ではアールヴこそが始祖であり、その他の人間や魔族は亜種なのだ。
マットたちが死神に魅入られた様に、クロワたちはエリクサーの不滅の命にみいられていた。
マットとグレイは毎日のように山を下りて転移した近代兵器を探し回った、あの時渦に呑みこまれたのは数機あった、どこかに転移されたまま放置された武器があるかもしれない、アリアがいう残党と遣り合うために拳銃一丁と残弾数発では話にならない。
思い切って魔国まで行ってドイツ軍の武器を奪う方がいいかもしれない、そう思い始めていた、風向きによってはガザル神山の中で銃声らしき音が聞こえる。
耳に馴染んだ音と空気が迫っていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
異世界での異生活
なにがし
ファンタジー
役職定年を迎えた男が事故に巻き込まれケガをする。病院に運ばれ治療をしていたはずなのに、なぜか異世界に。しかも、女性の衣服を身に着け、宿屋の一室に。最低な異世界転移を迎えた男が、異世界で生きるために頑張る物語です。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる