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侵略戦争
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異世界の都市が燃えている、幾筋もの煙が立ち上がり戦争は始まっていた。
「あれはどうなっている、侵略戦争なのか」
教会の庭から見える遥か先の斑模様、地平線が黒い煙が層を作っていた。
「あれは魔族の国、貴方たち同様の異世界人が隣国の人族と共謀して魔族国を侵略しているのです」
「異世界人!?まさかあのギガントに乗っていたドイツ軍!?」
「一年以上前に転移してきた人たちです、みなさんが持っている銃や爆弾といった武器を多数使用して魔族を殲滅しています、戦局は一方的、間もなく魔族国は滅ぶでしょう」
「!」「滅亡?侵略による政権交代ではなく皆殺し?」
「人族の魔族に対する恨みは根深いものがあります、数百年ほど前まで魔族国の領土は人族のものでした、何世代にも渡り豊穣なる土地を巡りその屍を重ねる争い、今は人族の反撃の時代なのです」
「その中心となる戦力に転移者が英雄として加担しているのだな」
「あいつらには神の啓示があったのか」
「神の本命はドイツ軍で我々は付属だったわけだ」
「魔族とはどんなやつらなのだ?」
「人族とたいして変わりません、外見で言えば角が有る者がいたり、目が赤いといった程度、特別狂暴悪辣ということではなく、体力的に勝っている者が多いのは事実ですが銃で撃たれれば死にます」
「魔法が使えるとか、特殊能力があるのじゃないのか」
「ふふっ、そんな都合の良い物はありませんよ、魔族の名の由来は、人族が生命活動の根源に酸素が必要なように、彼らには酸素と同時に魔素と呼ばれる物質もエネルギーとして活用することが出来ることを指しています」
「魔素?」「そうです、この世界の空気には酸素同様に含まれるもの、人族は利用することは出来ませんが毒ではありません」
「そのためなのかは分かりませんが魔族も人族よりは長生きですね、百歳を数える方も多いようです」
「それだけ?」
「それだけです」
「なら全滅させるまで争う理由はなんだ、長い間には混血も進んで親戚関係になる家系も多いのではないか」
「人族と魔族で結婚する方は少なからずいます、でもほとんど子供は持てません、ハーフが生まれる確率はゼロに近いのです、それは我々エルフ族も同じ、姿形は似ていても根本的な何かが違うのでしょうね」
「アリア様はどちらかに与しているのですか」
「いいえ、個人的に魔王イーヴァンとは知合いですが与するのとは違います、彼女の身に起こる不幸を考えると心が痛みますが・・・・・・ですが同じように人族の中にも知り合いはいます、どちらにしても廃れ行く教会の巫女がなにか出来る事ではありません」
「皆殺しは避けられないのか」
「そうなるでしょう、高性能な銃を持った英雄が与しています、皆殺しとは言いましたが一般の魔族の中には既に国を脱出している者もいますし、魔族としての種を根絶やしにすることは不可能です、そして何十年か何百年か先に再び争いは繰り返される、それが生物としての運命なのかもしれません」
「ここ数年で毎年のように転移現象が頻発しています、終末は近いのかもしれません」
「ここは、貴方は安全なのですか?」
「皆さんにも避難して頂くことになるでしょう、魔国を追われた残党がこの山にもやって来ます、人族やエルフ族は見つかれば目の敵にされます」
「ここも人族の支配地になるなら返って安全になるのでは」
「この山は魔獣が跋扈する別世界です、豊穣な平地を手に入れれば遠くから眺めるだけの存在です、好き好んで管理する人はいません」
「ならアリア様も避難を?」
「いいえ、私は残ります、この山に居続けなければならない理由がありますから」
「どのような理由が?」
「・・・・・・」
その問いにアリアは哀しく笑って答えなかった。
魔国を侵略していく炎の煙は次第に中心に向かっている、ドーナツ形に狭まっていく煙が人族の侵攻を描いている、決着は近い。
クロワたちはエリクサーの精製方法をアリアから相伝したいと執着している、奇跡の薬、しかも若返りの特典まで付いてくる。
アリアは製法を伝授することに難色は示さない、製法事態は複雑ではない、しかし原材料の希少さによって困難だ、なによりアリアのエリクサーの精製と培養にはエルフ、始祖たるアールヴ・イブの血が必要だからだ、エリクサーはアリアあっての物なのだ。
各地に存在する相伝者は自身の血を使いエリクサーを精製する、しかしアリアのように万人に適合するエリクサーは作れない、始祖アールヴはこの大陸には極僅かしかいない、いても自分がアールヴだと認識している者が何人いるだろう。
他の者の血を使うとエリクサーとしての効果が極端に薄れる、培養に使用した人間と同タイプの者にしか効果を発揮しなくなる、いわば個人用だ、誰がどのタイプなのかは判別出来ない。
この世界ではアールヴこそが始祖であり、その他の人間や魔族は亜種なのだ。
マットたちが死神に魅入られた様に、クロワたちはエリクサーの不滅の命にみいられていた。
マットとグレイは毎日のように山を下りて転移した近代兵器を探し回った、あの時渦に呑みこまれたのは数機あった、どこかに転移されたまま放置された武器があるかもしれない、アリアがいう残党と遣り合うために拳銃一丁と残弾数発では話にならない。
思い切って魔国まで行ってドイツ軍の武器を奪う方がいいかもしれない、そう思い始めていた、風向きによってはガザル神山の中で銃声らしき音が聞こえる。
耳に馴染んだ音と空気が迫っていた。
「あれはどうなっている、侵略戦争なのか」
教会の庭から見える遥か先の斑模様、地平線が黒い煙が層を作っていた。
「あれは魔族の国、貴方たち同様の異世界人が隣国の人族と共謀して魔族国を侵略しているのです」
「異世界人!?まさかあのギガントに乗っていたドイツ軍!?」
「一年以上前に転移してきた人たちです、みなさんが持っている銃や爆弾といった武器を多数使用して魔族を殲滅しています、戦局は一方的、間もなく魔族国は滅ぶでしょう」
「!」「滅亡?侵略による政権交代ではなく皆殺し?」
「人族の魔族に対する恨みは根深いものがあります、数百年ほど前まで魔族国の領土は人族のものでした、何世代にも渡り豊穣なる土地を巡りその屍を重ねる争い、今は人族の反撃の時代なのです」
「その中心となる戦力に転移者が英雄として加担しているのだな」
「あいつらには神の啓示があったのか」
「神の本命はドイツ軍で我々は付属だったわけだ」
「魔族とはどんなやつらなのだ?」
「人族とたいして変わりません、外見で言えば角が有る者がいたり、目が赤いといった程度、特別狂暴悪辣ということではなく、体力的に勝っている者が多いのは事実ですが銃で撃たれれば死にます」
「魔法が使えるとか、特殊能力があるのじゃないのか」
「ふふっ、そんな都合の良い物はありませんよ、魔族の名の由来は、人族が生命活動の根源に酸素が必要なように、彼らには酸素と同時に魔素と呼ばれる物質もエネルギーとして活用することが出来ることを指しています」
「魔素?」「そうです、この世界の空気には酸素同様に含まれるもの、人族は利用することは出来ませんが毒ではありません」
「そのためなのかは分かりませんが魔族も人族よりは長生きですね、百歳を数える方も多いようです」
「それだけ?」
「それだけです」
「なら全滅させるまで争う理由はなんだ、長い間には混血も進んで親戚関係になる家系も多いのではないか」
「人族と魔族で結婚する方は少なからずいます、でもほとんど子供は持てません、ハーフが生まれる確率はゼロに近いのです、それは我々エルフ族も同じ、姿形は似ていても根本的な何かが違うのでしょうね」
「アリア様はどちらかに与しているのですか」
「いいえ、個人的に魔王イーヴァンとは知合いですが与するのとは違います、彼女の身に起こる不幸を考えると心が痛みますが・・・・・・ですが同じように人族の中にも知り合いはいます、どちらにしても廃れ行く教会の巫女がなにか出来る事ではありません」
「皆殺しは避けられないのか」
「そうなるでしょう、高性能な銃を持った英雄が与しています、皆殺しとは言いましたが一般の魔族の中には既に国を脱出している者もいますし、魔族としての種を根絶やしにすることは不可能です、そして何十年か何百年か先に再び争いは繰り返される、それが生物としての運命なのかもしれません」
「ここ数年で毎年のように転移現象が頻発しています、終末は近いのかもしれません」
「ここは、貴方は安全なのですか?」
「皆さんにも避難して頂くことになるでしょう、魔国を追われた残党がこの山にもやって来ます、人族やエルフ族は見つかれば目の敵にされます」
「ここも人族の支配地になるなら返って安全になるのでは」
「この山は魔獣が跋扈する別世界です、豊穣な平地を手に入れれば遠くから眺めるだけの存在です、好き好んで管理する人はいません」
「ならアリア様も避難を?」
「いいえ、私は残ります、この山に居続けなければならない理由がありますから」
「どのような理由が?」
「・・・・・・」
その問いにアリアは哀しく笑って答えなかった。
魔国を侵略していく炎の煙は次第に中心に向かっている、ドーナツ形に狭まっていく煙が人族の侵攻を描いている、決着は近い。
クロワたちはエリクサーの精製方法をアリアから相伝したいと執着している、奇跡の薬、しかも若返りの特典まで付いてくる。
アリアは製法を伝授することに難色は示さない、製法事態は複雑ではない、しかし原材料の希少さによって困難だ、なによりアリアのエリクサーの精製と培養にはエルフ、始祖たるアールヴ・イブの血が必要だからだ、エリクサーはアリアあっての物なのだ。
各地に存在する相伝者は自身の血を使いエリクサーを精製する、しかしアリアのように万人に適合するエリクサーは作れない、始祖アールヴはこの大陸には極僅かしかいない、いても自分がアールヴだと認識している者が何人いるだろう。
他の者の血を使うとエリクサーとしての効果が極端に薄れる、培養に使用した人間と同タイプの者にしか効果を発揮しなくなる、いわば個人用だ、誰がどのタイプなのかは判別出来ない。
この世界ではアールヴこそが始祖であり、その他の人間や魔族は亜種なのだ。
マットたちが死神に魅入られた様に、クロワたちはエリクサーの不滅の命にみいられていた。
マットとグレイは毎日のように山を下りて転移した近代兵器を探し回った、あの時渦に呑みこまれたのは数機あった、どこかに転移されたまま放置された武器があるかもしれない、アリアがいう残党と遣り合うために拳銃一丁と残弾数発では話にならない。
思い切って魔国まで行ってドイツ軍の武器を奪う方がいいかもしれない、そう思い始めていた、風向きによってはガザル神山の中で銃声らしき音が聞こえる。
耳に馴染んだ音と空気が迫っていた。
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