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第86話 最後の砦だ
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1イニングで3つのアウトを取ると守備が終わる。
そして祐輝は三振だけでアウトを3つ取ると平然とベンチへ戻ってきた。
だが相変わらずナインズ打線は貧相であっさりと3アウトを取られて最後の守備をするために7回表のマウンドへ向かった。
7回の裏がナインズに残された最後の攻撃となる。
そこで1点を取れなければ試合は終わる。
祐輝の野球人生は実質終わるのだ。
しかしここに来て球場がどよめき始めた。
先頭打者を三振に取ると祐輝の球速は徐々に上がっていたのだ。
そして2番打者まで三振に取った。
145キロなんて快速ではない。
せいぜい130キロ出ているかどうかという速度だがこれが肩を怪我した男が投げる球なのかというほど力強かった。
これにはさすがに中学1年生では手も足も出なかった。
2アウトまで取ると3人目の打者すらあっという間に2ストライクに追い込むと3球目はこの試合で一番怪我をする前の祐輝のフォームに近く、速度も130キロを超えたであろう完璧なストレートが低めに決まった。
「バッターアウトッ!!」の判定を聞くやいなや祐輝は腹の底から雄叫びを上げてベンチに向かって叫んだ。
「まだ終わってねえぞ!!!!!!!!」
野球というスポーツには神がいるとされている。
奇跡の様な展開で勝利する事もあればあと1球で勝利する状況でサヨナラ負けをする事もある最後の瞬間まで何が起きるのかわからないスポーツだ。
7回の最後の攻撃では健太、エルド、祐輝と打順が続いた。
しかし健太は三振でエルドは外野フライであっという間に2アウトだ。
最後の打者に立ったのは祐輝だった。
これも野球の神がいるとされるが所以だ。
不思議なまでにラストバッターがエースやキャプテンなどチームを引っ張ってきた存在になるのだ。
打席に入った祐輝は呼吸を整えた。
薬が切れたのか激痛が肩に走っていた。
「バッティングはずっと温存してわざとアウトになってきた。 俺が打たなくても味方が打ってくれると信じてたからね。 佐藤コーチの教えは守った・・・でもダメだった。 最後に追いついてやるよ。 野球舐めんなよ1年坊主。」
キングスCチームは勝ったと思いニコニコとしていたがここにナインズ最後の砦がその人生をかけて打席に入っているのだがキングスの少年にはこの威圧感がわからない。
祐輝はここで何もかも捨てる覚悟だ。
バットを構える事だって痛いはずなのに祐輝はすっと高くバットを構えるとピッチャーが投げた初級を渾身のフルスイングでかっ飛ばした。
外野に飛来する打球は弾丸ライナーでフェンスに激突した。
慌てて外野手がボールを追いかけるが祐輝は残った体力を出し切るかの様な全力疾走で二塁ベースを蹴って三塁ベースに向かった。
そこでようやく外野手が内野に向かってボールを投げたが内野手があたふたとボールを落としていると祐輝はなんと三塁ベースまで蹴ってホームへ突入しようとしていた。
内野手は慌てながらホームへボールを投げた。
祐輝はヘッドスライディングをした。
キャッチャーが捕球して祐輝の手に向かってミットを振り落とした。
タッチをして判定は。
「アウトッ!! ゲームセットッ!!」
ホーム突入は失敗した。
静寂に包まれた球場は突如一変して大歓声の拍手が起こった。
キングスベンチからも祐輝へ向けて拍手がされた。
祐輝は立ち上がると清々しい表情をしていた。
「歴史には残らなくてもこの1年坊主の記憶には残ったかな。」
そして試合は終わった。
祐輝の野球人生も終わったも同然だった。
そして祐輝は三振だけでアウトを3つ取ると平然とベンチへ戻ってきた。
だが相変わらずナインズ打線は貧相であっさりと3アウトを取られて最後の守備をするために7回表のマウンドへ向かった。
7回の裏がナインズに残された最後の攻撃となる。
そこで1点を取れなければ試合は終わる。
祐輝の野球人生は実質終わるのだ。
しかしここに来て球場がどよめき始めた。
先頭打者を三振に取ると祐輝の球速は徐々に上がっていたのだ。
そして2番打者まで三振に取った。
145キロなんて快速ではない。
せいぜい130キロ出ているかどうかという速度だがこれが肩を怪我した男が投げる球なのかというほど力強かった。
これにはさすがに中学1年生では手も足も出なかった。
2アウトまで取ると3人目の打者すらあっという間に2ストライクに追い込むと3球目はこの試合で一番怪我をする前の祐輝のフォームに近く、速度も130キロを超えたであろう完璧なストレートが低めに決まった。
「バッターアウトッ!!」の判定を聞くやいなや祐輝は腹の底から雄叫びを上げてベンチに向かって叫んだ。
「まだ終わってねえぞ!!!!!!!!」
野球というスポーツには神がいるとされている。
奇跡の様な展開で勝利する事もあればあと1球で勝利する状況でサヨナラ負けをする事もある最後の瞬間まで何が起きるのかわからないスポーツだ。
7回の最後の攻撃では健太、エルド、祐輝と打順が続いた。
しかし健太は三振でエルドは外野フライであっという間に2アウトだ。
最後の打者に立ったのは祐輝だった。
これも野球の神がいるとされるが所以だ。
不思議なまでにラストバッターがエースやキャプテンなどチームを引っ張ってきた存在になるのだ。
打席に入った祐輝は呼吸を整えた。
薬が切れたのか激痛が肩に走っていた。
「バッティングはずっと温存してわざとアウトになってきた。 俺が打たなくても味方が打ってくれると信じてたからね。 佐藤コーチの教えは守った・・・でもダメだった。 最後に追いついてやるよ。 野球舐めんなよ1年坊主。」
キングスCチームは勝ったと思いニコニコとしていたがここにナインズ最後の砦がその人生をかけて打席に入っているのだがキングスの少年にはこの威圧感がわからない。
祐輝はここで何もかも捨てる覚悟だ。
バットを構える事だって痛いはずなのに祐輝はすっと高くバットを構えるとピッチャーが投げた初級を渾身のフルスイングでかっ飛ばした。
外野に飛来する打球は弾丸ライナーでフェンスに激突した。
慌てて外野手がボールを追いかけるが祐輝は残った体力を出し切るかの様な全力疾走で二塁ベースを蹴って三塁ベースに向かった。
そこでようやく外野手が内野に向かってボールを投げたが内野手があたふたとボールを落としていると祐輝はなんと三塁ベースまで蹴ってホームへ突入しようとしていた。
内野手は慌てながらホームへボールを投げた。
祐輝はヘッドスライディングをした。
キャッチャーが捕球して祐輝の手に向かってミットを振り落とした。
タッチをして判定は。
「アウトッ!! ゲームセットッ!!」
ホーム突入は失敗した。
静寂に包まれた球場は突如一変して大歓声の拍手が起こった。
キングスベンチからも祐輝へ向けて拍手がされた。
祐輝は立ち上がると清々しい表情をしていた。
「歴史には残らなくてもこの1年坊主の記憶には残ったかな。」
そして試合は終わった。
祐輝の野球人生も終わったも同然だった。
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