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第132話 近づく成人式
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高校を卒業して随分と時間が経った。
社会人としては順調に歩めていた。
祐一とリカの問題を除けば。
家に帰ると小さくなって震えるリカと祐一の「出ていけ」というループの日々。
そんな祐輝が心から楽しんでいるのがキックボクシングだった。
練習には毎日行っていた。
20時から行われるプロクラスに混じって血反吐を吐く様な練習を行っていたが、それすらも楽しく感じていた。
激しいスパーリングにも興奮する。
強くなっていく実感がたまらない。
20時から22時までの過酷な練習も祐輝にはあっという間だった。
そして家に帰ると現実に戻る。
「ただいま。」
「祐輝・・・早く引っ越したい・・・」
「また親父に言われたか・・・」
祐輝は祐一の部屋へ向かうと妹の千尋が海外へ留学へ行くと話していた。
千尋は海外留学へと旅立つ。
真美は息子と娘を同時に失いかけていた。
リビングで1人で座っている真美はぼんやりと下を向いて黙っていた。
祐輝が隣に座ると静かに涙を流していた。
「子供がいなくなっていく・・・」
「母ちゃん・・・」
「どこにも行かないで・・・」
千尋の留学は真美の心を砕いた。
しかし千尋は日本以外の世界をどうしても見てみたかった。
問題は祐輝にある。
もうすぐ20歳にもなるというのにどこからか出会った女性と実家で同棲をしている。
祐一の所有する自社ビルが大きいから深刻化していないが常識的にはあってはならない状況だ。
だがそれは祐輝も自覚していた。
引っ越しをするために資金をためていたが、真美は最愛の息子が離れる事に苦しんでいた。
真美の隣に座っている祐輝を見ながら泣いていた。
「幸せになってほしい・・・」
「大丈夫だよ。」
「そんな事ない・・・あの娘でいいの?」
「うん。」
真美とリカの関係は悪くはなかったが、真美は常に不安であった。
何故なら自分が結婚相手を間違えたからだ。
最愛の子供は愛しているが、祐一の事は嫌悪していた。
「私は過去に戻れるならあの人とは結婚したくない・・・あんた達が産まれたからもうやり直せないの・・・でも勘違いしないで・・・あんた達の事は命よりも大事なの・・・」
真美の言葉に嘘はない。
約20年間で何度も祐輝は感じていた。
深すぎる愛を何度も味わった。
どんな時も味方でいてくれた。
野球部の朝練で早起きをする時だって常に真美は支えてくれた。
パートで貯めたお金を全て子供のために使っていた。
溢れる愛に感謝していた。
だが祐輝はリカの事も見捨てられなかった。
「親父がいるからここには暮らせない。 でもまた会えるから。」
「寂しい・・・」
すると真美は涙を拭くと不動産のチラシを見ていた。
「2人がいなくなるなら私も」と引っ越しの準備を密かにしていた。
祐一と2人の生活なんて真美にはあり得なかった。
愛する我が子達がいるから耐えていた。
ただそれだけだった。
祐輝は間もなく20歳になる。
社会人としては順調に歩めていた。
祐一とリカの問題を除けば。
家に帰ると小さくなって震えるリカと祐一の「出ていけ」というループの日々。
そんな祐輝が心から楽しんでいるのがキックボクシングだった。
練習には毎日行っていた。
20時から行われるプロクラスに混じって血反吐を吐く様な練習を行っていたが、それすらも楽しく感じていた。
激しいスパーリングにも興奮する。
強くなっていく実感がたまらない。
20時から22時までの過酷な練習も祐輝にはあっという間だった。
そして家に帰ると現実に戻る。
「ただいま。」
「祐輝・・・早く引っ越したい・・・」
「また親父に言われたか・・・」
祐輝は祐一の部屋へ向かうと妹の千尋が海外へ留学へ行くと話していた。
千尋は海外留学へと旅立つ。
真美は息子と娘を同時に失いかけていた。
リビングで1人で座っている真美はぼんやりと下を向いて黙っていた。
祐輝が隣に座ると静かに涙を流していた。
「子供がいなくなっていく・・・」
「母ちゃん・・・」
「どこにも行かないで・・・」
千尋の留学は真美の心を砕いた。
しかし千尋は日本以外の世界をどうしても見てみたかった。
問題は祐輝にある。
もうすぐ20歳にもなるというのにどこからか出会った女性と実家で同棲をしている。
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だがそれは祐輝も自覚していた。
引っ越しをするために資金をためていたが、真美は最愛の息子が離れる事に苦しんでいた。
真美の隣に座っている祐輝を見ながら泣いていた。
「幸せになってほしい・・・」
「大丈夫だよ。」
「そんな事ない・・・あの娘でいいの?」
「うん。」
真美とリカの関係は悪くはなかったが、真美は常に不安であった。
何故なら自分が結婚相手を間違えたからだ。
最愛の子供は愛しているが、祐一の事は嫌悪していた。
「私は過去に戻れるならあの人とは結婚したくない・・・あんた達が産まれたからもうやり直せないの・・・でも勘違いしないで・・・あんた達の事は命よりも大事なの・・・」
真美の言葉に嘘はない。
約20年間で何度も祐輝は感じていた。
深すぎる愛を何度も味わった。
どんな時も味方でいてくれた。
野球部の朝練で早起きをする時だって常に真美は支えてくれた。
パートで貯めたお金を全て子供のために使っていた。
溢れる愛に感謝していた。
だが祐輝はリカの事も見捨てられなかった。
「親父がいるからここには暮らせない。 でもまた会えるから。」
「寂しい・・・」
すると真美は涙を拭くと不動産のチラシを見ていた。
「2人がいなくなるなら私も」と引っ越しの準備を密かにしていた。
祐一と2人の生活なんて真美にはあり得なかった。
愛する我が子達がいるから耐えていた。
ただそれだけだった。
祐輝は間もなく20歳になる。
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