青春聖戦 24年の思い出

くらまゆうき

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第133話 成人式と衝撃の出来事

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いよいよ成人式を迎えた。


そこで祐輝はとある者と再会を果たした。


新宿区で行われる成人式は広いホールで行われた。


酒や食事が並べられている。


スーツを着た祐輝はホールを1人で歩いていると懐かしい声が祐輝を呼んでいた。


振り返ると褐色の肌を見せて微笑む男が立っていた。




「久しぶりだね!!」
「一樹!?」
「そうだよ!!」




思わずその場でハグをしていた。


周囲の目を気にする事もなく再会に歓喜していた。


顔を見合わせて大人びた互いの姿を見ていた。


親同士の揉め事で引き裂かれた親友は10年ぶりに再会をしてはそれからの事を話していた。


あの日、別れてからのそれからの事を。




「じゃあ野球は最後までできたんだね。」
「祐輝は怪我しちゃったのか・・・」
「今はキックボクシングやってるよ!!」
「俺は親父と同じ警察官になった!!」




一樹は父親と同じ警察官の世界に入った。


話を聞けば聞くほど父親から愛を受けてきたのだと痛感していた。


少し悲しそうにしてホールの中を一樹と歩いているとこれもまた聞き慣れた声が聞こえた。


振り返ると振り袖が美しい美女が歩いてきた。




「祐輝君久しぶりー!! えっともしかして・・・」
「一樹だよ!!」
「えー!! 久しぶりだねえ!!」




可愛らしい声を響かせて口に手を当てている美女はミズキだ。


すっかり大人になっているミズキは祐輝と一樹との再会に興奮していた。


ミズキとは高校生の頃に一度再会していたが、あれからもう2年も経っていた。


祐輝は嬉しそうにミズキの笑顔を見ていた。




「2人とも今何してるのー?」
「俺は警察官になったよ!!」
「俺はキックボクシングやってる!!」
「そうなんだー!!」




ミズキは笑顔のまま、テーブルに置かれているワインを手に取ると上品に飲んだ。


グラスを置いて髪の毛を耳にかけた時に、左手の薬指が美しく輝いている事に気がついた。


祐輝は驚いていた。


ミズキは恥ずかしそうに赤面して「実はね・・・」と話していた。





「相手誰よ!?」
「改めまして・・・越田ミズキと申します・・・」
「な、何だってええ!?」





ミズキは越田と結婚していた。


祐輝は開いた口が塞がらなかった。


あの日別れてから関東高校へ行けなかった。


肩の怪我さえなければ未来は変わっていたのかもしてない。


祐輝は酒が回ったかの様にクラクラとして会場を後にしようとしていた。


するとミズキが走ってきた。





「祐輝君!!」
「あ、ああ・・・おめでとう。」
「ありがとう・・・ご、ごめんね・・・」
「何言ってるんだよ俺の方だよ謝るのは・・・」





悲しそうにしている祐輝とミズキとの間には奇妙な沈黙が続いた。


どちらが言ったわけでもなかった。


気がつけば互いの瞳には涙が。




『幸せになって・・・』




同時に言った。


そして2人は別れた。


祐輝は二度とミズキに会う事はなかった。
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