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お話しましょう

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「ご機嫌よう。何をなさっているので?」


私とディルジア、エフェンの3人を見て驚き固まる令嬢達。


「ヴァリフィア…様……。」

「ディルジア殿下に…エフェン様まで…。」

「え、えと、…ご機嫌麗しゅう。ヴァリフィア様こそ、何用でしょうか…。」

「先に質問をしたのは私ですわよ?貴女達は分をわきまえなさい。」

「「「ひっ……。」」」


私が睨むと、令嬢達は後ずさった。
何故か、隣でディルジアも顔をひきつらせている。
それほど怖かったのだろうか。
私にはどうでもいい事なのだが。


「もう一度聞くわ。何をしているのかしら?手に持っているのは、教科書のようだけれど。」

「え、えぇと……その……。」

「あ…あの!私の教科書が、メイナという人によって隠されたのです!ここに埋まっていると笑いながら言われ……探しに来ていたのですわ!」

「埋まっている……ね。」

「はい。酷いですわよね!」

「そうよねぇ!」

「全くだわ!」


これみよがしに、他2人の令嬢も口々に言い出した。
そんなことを、メイナがするはずはない。
念の為にエフェンを見たが、首を振った。
ならば話は早い。
追い詰めよう。


「そうなのね。では何故、その教科書はとても綺麗なのかしら?土も付いていないようだけれど。」

「そ、それは……深く埋まっていなかったのですわ!手ではらうと綺麗に落ちましたの。」

「そう。不幸中の幸いね。」

「その通りですわ!本当にメイナは酷いのですから……。」

「その教科書、見せていただけるかしら?私なら、魔法でもっと綺麗に出来るわよ。」

「いえ、ヴァリフィア様のお手を煩わせるなど…!」

「遠慮なさらないで。私が綺麗にして差し上げたいだけだから。ご迷惑かしら?」

「えっと……その……。」


(普通なら、これ以上遠慮することは失礼となる。まぁ分かっていて、言っているんだけどね……。)


エフェンは私の狙いを分かっているようで、口元が少し笑っている。
前世の記憶があるだけに、こういった場面は定番だ。
次に私が言う言葉は決まっている。


「それとも……何か見せられない理由でもあるのかしら?先程から、名前を書いているはずの場所を隠しているようだけれど。」

「っ…!」

「「……。」」

「はぁ……もう分かっているの。メイナへの嫌がらせ、全て貴女達がしたのでしょう?」

「そ、そんなこと……」

「ないとでも?貴女達がした事……私達にばれないとお思いで?…もう正直に言いなさいな。」

「っ……。」

「も…申し訳……ありません…。」

「……。」


令嬢3人は、誤魔化すのを諦めたようだ。
自分達の非を認めた。
エフェンが一歩前に出る。


「この学園に在籍している間は、貴族だ平民だなど関係ない。等しく学園生だ。それも、メイナは同じクラスメイト。こんな事をしていると他の生徒達が知れば、君達の評判は家名と共に落ちるだろうね。」

「「「……。」」」

「敬語や気を遣えと言っている訳では無い。あくまでクラスメイトとして、友人として、接すれば良い。」

「平民と過ごすなど、気分が悪くならないのですか?!」


その言葉に、私は意味が分からないと思った。
少し腹が立った。


「まずはその考え方から改めることね。私は平民がどうとか思ったことはないわよ。」

「何故ですか!?」

「生まれが私達とは違うだけで、同じ世界に生きている。もし私が平民だった場合、貴女はメイナと同じように扱うでしょう?」

「それは……。」

「ともかく、メイナは私達の友人よ。これ以上、言わなくても分かるでしょう?」

「「「はい…。」」」

「次、またメイナに何かあった場合は……ね?」

「「「も、もうしません!お許しを!」」」

「ええ。くれぐれも、頼むわよ。」


笑顔でそう言い残す。
私達の友人ということは、メイナに何かあった場合、私達にも無礼を働いたことになる。
令嬢達はそれをよく理解したようだ。
私は身を翻しその場を去る。
勿論、エフェンとディルジアもついてきている。


「素敵な笑顔だったよ。令嬢達の顔が青ざめていた。ディルも固まっていたな。くくくっ。」

「それ、褒めてないよね?」

「さぁ?」

「エフェン?君、今かなり失礼なこと言ったけど?」

「あはは、気のせいさ。さて戻ろう。これで彼女が嫌がらせをされることはなくなったんだからさ。」

「ええ。一安心ね。」


そうして、私達はホームルーム前に、クラスルームへと戻ったのだった。
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