242 / 255
番外編
ヒロイン誘拐事件 3.5
しおりを挟む
--ツィレイル王国王城 国王の書斎にて--
「はぁ……大丈夫だろうか…。」
「ため息ばかりつかれて……きっと大丈夫ですよ。」
「今頃、3人で乗り込んでいるんだろうな。」
「まさか!いくらヴァリフィア王妃陛下でも…。」
「平然とそういうことをするのがリフィだよ。無謀なことだと言っても、涼しい顔で帰ってくるのが彼女だ。それはサールズもよく知っているだろう?」
「……ええ…ですが今回は相手の実力が未知数です。エフェン様よりの調査報告書を見る限り、北の盗賊団が関わっているようですが…。」
「そのようだね。」
「あの盗賊団は危険と言われています。さすがに3人で乗り込むようなことはしないのでは?」
「それはどうかな。この国の実力者の頂点に立つ者が2人と、そんな2人についていけるエールズだ。リフィは他の者達では足手まといと考えるだろうね。」
「……。」
「国内の兵達の実力も上がっているが、2人には遠く及ばない。なにせ、リフィとエフェンだけでこの国……ひいては世界を滅ぼせるだろうからな。」
「っ!そんなことが、本当に出来るのでしょうか…。」
「出来るさ。かつて私は--」
そうして、ディルジアは子供の頃の話をし始めた。
かつて、ヴァリフィアに最強の魔法を撃ってみてくれないかと頼んだことがある。
しかし彼女は空に向けてでも良いかと聞いてきた。
意味がわからなかったが許可をすると、指を鳴らした瞬間とんでもない魔法を放ち、周辺の空が全て夜となったのだ。
「あっ…。」と声を漏らしたヴァリフィアが、もう一度指を鳴らすと空は元に戻った。
しかし彼女は言った。
『危なかった……かなり魔力を抑えたけれど、本気で撃っていたらどうなっていたか……。殿下。目撃されて面倒なことになっては困りますので、これ以降は…。』
『分かった。無理を言って悪かったな、ありがとう。』
『いえ!とんでもございません。 』
「--と、子供の頃ですら、本気を出さずともこれだけの力があったんだ。たった指を鳴らすだけで……ね…。今のリフィの実力がどうなっているかなんて、考えたくもないな。」
「……言葉が出ませんね…。味方で本当に良かったです…。エフェン様は…?」
「エフェンは頭が切れるし、詳しく知る者の間では情報屋とも呼ばれていた。このことは知っているだろう?」
「はい。」
「そんなエフェンが、一度だけ怒ったことがあるんだ。確か5年前…私が国王の位に就いてすぐの頃。エフェンの妹であるリエーナ・アーリグェーが魔物によって重傷を負わされたと報告があった。」
「確かにそのようなことがありましたね。馬車での移動中に襲われたとか。護衛は瀕死でリエーナ様は重傷だったということでしたね。」
「そうだ。その報告を聞いた時、そばにいたヴァリフィアにエフェン呼んできてもらって、すぐにリエーナの元へ一緒に向かった。」
リエーナ達を傷付けた魔物は、護衛が命を懸けて討伐した。
しかしその場から全員が動けないほどの被害が出てしまう。
かけつけたエフェンは、魔物への怒りを隠せなかった。
その怒りによってエフェンの魔力が可視化され、凄まじいオーラが見えるようになった。
そして襲ってきた魔物が出てきた方向を睨み、魔力の刃のようなものが放たれる。
「次の瞬間には、周辺の魔物が1匹残らず死んでいたよ。エフェンが本気だったかは分からないけど、あの殺気だけで立っているのがやっとだった。そんな中、涼しい顔をしていたリフィも恐ろしかったけどね。」
「なんと…。」
「まぁ私としては、今回の事を起こした盗賊団に同情するよ。あの2人を敵に回して、無事なはずないだろうしな。逃げ切れたら褒めてやりたいくらいさ。」
「あはは……。」
今頃はどんなことになっているのだろうかと、想像してしまう。
ヴァリフィアは、身内や友のこととなると容赦しなくなる。
自分も協力したかったが、今回ばかりはサールズの目があるので仕方がない。
「……ディルジア陛下。」
「どうした?急に改まって。」
「メイナとエールズの結婚……普通ならばありえないものでした。それが可能となったのは、陛下のおかげです。陛下が動いておられなければ、報われない恋となっていたでしょう。」
「感謝されることはしていないさ。それに、私は『平民であってもフルシーネア学園の高等部門を出ているのならば、貴族と婚姻を結べる』というようにしただけだ。高等部門を出ていない平民とは、どうやっても結ばれないよ…。」
「それでも、私にとっては嬉しかったのです。本当に…ありがとうございました。」
「…どういたしまして。さて、今頃あちらはどうなっているかな?」
(メイナ……彼女のことは、2人に任せれば大丈夫だろう。それにエールズもいる。でも、無理だけはしないでくれ…ヴァリフィア……。)
「はぁ……大丈夫だろうか…。」
「ため息ばかりつかれて……きっと大丈夫ですよ。」
「今頃、3人で乗り込んでいるんだろうな。」
「まさか!いくらヴァリフィア王妃陛下でも…。」
「平然とそういうことをするのがリフィだよ。無謀なことだと言っても、涼しい顔で帰ってくるのが彼女だ。それはサールズもよく知っているだろう?」
「……ええ…ですが今回は相手の実力が未知数です。エフェン様よりの調査報告書を見る限り、北の盗賊団が関わっているようですが…。」
「そのようだね。」
「あの盗賊団は危険と言われています。さすがに3人で乗り込むようなことはしないのでは?」
「それはどうかな。この国の実力者の頂点に立つ者が2人と、そんな2人についていけるエールズだ。リフィは他の者達では足手まといと考えるだろうね。」
「……。」
「国内の兵達の実力も上がっているが、2人には遠く及ばない。なにせ、リフィとエフェンだけでこの国……ひいては世界を滅ぼせるだろうからな。」
「っ!そんなことが、本当に出来るのでしょうか…。」
「出来るさ。かつて私は--」
そうして、ディルジアは子供の頃の話をし始めた。
かつて、ヴァリフィアに最強の魔法を撃ってみてくれないかと頼んだことがある。
しかし彼女は空に向けてでも良いかと聞いてきた。
意味がわからなかったが許可をすると、指を鳴らした瞬間とんでもない魔法を放ち、周辺の空が全て夜となったのだ。
「あっ…。」と声を漏らしたヴァリフィアが、もう一度指を鳴らすと空は元に戻った。
しかし彼女は言った。
『危なかった……かなり魔力を抑えたけれど、本気で撃っていたらどうなっていたか……。殿下。目撃されて面倒なことになっては困りますので、これ以降は…。』
『分かった。無理を言って悪かったな、ありがとう。』
『いえ!とんでもございません。 』
「--と、子供の頃ですら、本気を出さずともこれだけの力があったんだ。たった指を鳴らすだけで……ね…。今のリフィの実力がどうなっているかなんて、考えたくもないな。」
「……言葉が出ませんね…。味方で本当に良かったです…。エフェン様は…?」
「エフェンは頭が切れるし、詳しく知る者の間では情報屋とも呼ばれていた。このことは知っているだろう?」
「はい。」
「そんなエフェンが、一度だけ怒ったことがあるんだ。確か5年前…私が国王の位に就いてすぐの頃。エフェンの妹であるリエーナ・アーリグェーが魔物によって重傷を負わされたと報告があった。」
「確かにそのようなことがありましたね。馬車での移動中に襲われたとか。護衛は瀕死でリエーナ様は重傷だったということでしたね。」
「そうだ。その報告を聞いた時、そばにいたヴァリフィアにエフェン呼んできてもらって、すぐにリエーナの元へ一緒に向かった。」
リエーナ達を傷付けた魔物は、護衛が命を懸けて討伐した。
しかしその場から全員が動けないほどの被害が出てしまう。
かけつけたエフェンは、魔物への怒りを隠せなかった。
その怒りによってエフェンの魔力が可視化され、凄まじいオーラが見えるようになった。
そして襲ってきた魔物が出てきた方向を睨み、魔力の刃のようなものが放たれる。
「次の瞬間には、周辺の魔物が1匹残らず死んでいたよ。エフェンが本気だったかは分からないけど、あの殺気だけで立っているのがやっとだった。そんな中、涼しい顔をしていたリフィも恐ろしかったけどね。」
「なんと…。」
「まぁ私としては、今回の事を起こした盗賊団に同情するよ。あの2人を敵に回して、無事なはずないだろうしな。逃げ切れたら褒めてやりたいくらいさ。」
「あはは……。」
今頃はどんなことになっているのだろうかと、想像してしまう。
ヴァリフィアは、身内や友のこととなると容赦しなくなる。
自分も協力したかったが、今回ばかりはサールズの目があるので仕方がない。
「……ディルジア陛下。」
「どうした?急に改まって。」
「メイナとエールズの結婚……普通ならばありえないものでした。それが可能となったのは、陛下のおかげです。陛下が動いておられなければ、報われない恋となっていたでしょう。」
「感謝されることはしていないさ。それに、私は『平民であってもフルシーネア学園の高等部門を出ているのならば、貴族と婚姻を結べる』というようにしただけだ。高等部門を出ていない平民とは、どうやっても結ばれないよ…。」
「それでも、私にとっては嬉しかったのです。本当に…ありがとうございました。」
「…どういたしまして。さて、今頃あちらはどうなっているかな?」
(メイナ……彼女のことは、2人に任せれば大丈夫だろう。それにエールズもいる。でも、無理だけはしないでくれ…ヴァリフィア……。)
64
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
悪役令嬢の生産ライフ
星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。
女神『はい、あなた、転生ね』
雪『へっ?』
これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。
雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』
無事に完結しました!
続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?
桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。
だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。
「もう!どうしてなのよ!!」
クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!?
天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?
ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない
魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。
そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。
ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。
イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。
ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。
いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。
離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。
「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」
予想外の溺愛が始まってしまう!
(世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!
転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる