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12話
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勇者パーティーが魔王城へと攻めてきてから、2日が経った。
またもやゼイス達が魔族領へと入ってきた。
王城まではまだ距離がある。
私はエギュアス殿がいる玉座の間へと瞬間移動した。
「急に現れたってことは、緊急か?」
「その通りよ。勇者パーティーが魔族領へと入ったわ。」
「またかよ。お前との実力差は見せつけたんだろう?」
「ええ。でも、私をすり抜け、貴方さえ討てば問題ないと考えているみたいね。」
「はははっ!無理にも程があるだろ。」
「全くね。面倒だから私が今すぐ会ってくるわ。」
「良いのか?」
「無論よ。私達を倒せるという思い違い、ちゃんと正してあげないとね。」
「分かった。任せるぜ。」
「了解したわ。ではまた後ほど。」
「ああ。」
そうして、走って向かってきている勇者パーティーの目の前に転移する。
ゼイス達は驚き、動かしていた足を止めた。
初めは目を見開いて私を見ていたが、状況を飲み込むと今度は睨みつけてきた。
「何の用だ。」
「それはこちらの台詞よ。私は魔族領に攻め込んできた貴方達を止めに来ただけ。総軍団長として、当然だと思うけれど?」
「魔王を倒すのが勇者である俺の役目だ。なぜ人族である貴様が味方をする?魔王はもとより、魔族も人族にとって恐怖の象徴でしかない。魔族は人族を襲う。ならば滅ぼすしかないだろう?」
「ならば、立場を逆にして考えてみなさい。魔族にとって、人族は自分達を殺しに来る者。何もしていないのに殺される。」
「はっ!何を言うかと思えば、そんなことかよ。」
「そんなことですって?」
「ああ、そうさ。魔物は人を襲う。そして魔物を操っているのは魔王だろうが!」
「はぁ……つくづくお馬鹿さんなのね…。」
「何っだと!」
「魔物を魔王殿が操れるわけないじゃない。」
「何言ってやがる!魔王は魔物を操り、人族を襲わせているんだよ!魔族だって操れる。奴らに感情なんてものはねぇ!」
「魔族に感情がない?彼らは人と同じように、親に育てられ、学び、恋をし、新たな家庭が生まれる。人族と何も変わらない生活をしている。魔物が人を襲うのは、動物が魔力の暴走により凶暴化しているだけ。魔族にも同じことが起こりうる。」
「そんなこと…誰が信じるかよ!」
「魔族は『魔物に近しい者』ではない。『魔力に近しい者』よ。人も魔力の制御を完全に失った時、魔人となるでしょう?同じことよ。私が今話したことを踏まえて、もう一度自分の行動を振り返りなさい。お前が行っているのはただの殺戮だと、理解することね。」
「そんなことは……そんなことは関係ない!俺は勇者だ!ならば魔王を倒す義務がある!」
「頭が悪いのも大変ね。仕方ないわ。この魔族領全体に、勇者が入れないようにする結界を張っておきましょう。 ではまたいつか。せいぜい考えを改めることね。」
「てめぇ!!!」
私はゼイス達を隣国ではなくテイナーシュ王国まで飛ばした。
とんでもない距離の瞬間移動を、相手のみにかけたのだ。
これだけで、一国を滅ぼせる力を有しているということの照明である。
もう二度と、ゼイスを魔族領へと入らせはしない。
そう思い、結界を張った。有言実行だ。
後は5日後を待つのみ……。
またもやゼイス達が魔族領へと入ってきた。
王城まではまだ距離がある。
私はエギュアス殿がいる玉座の間へと瞬間移動した。
「急に現れたってことは、緊急か?」
「その通りよ。勇者パーティーが魔族領へと入ったわ。」
「またかよ。お前との実力差は見せつけたんだろう?」
「ええ。でも、私をすり抜け、貴方さえ討てば問題ないと考えているみたいね。」
「はははっ!無理にも程があるだろ。」
「全くね。面倒だから私が今すぐ会ってくるわ。」
「良いのか?」
「無論よ。私達を倒せるという思い違い、ちゃんと正してあげないとね。」
「分かった。任せるぜ。」
「了解したわ。ではまた後ほど。」
「ああ。」
そうして、走って向かってきている勇者パーティーの目の前に転移する。
ゼイス達は驚き、動かしていた足を止めた。
初めは目を見開いて私を見ていたが、状況を飲み込むと今度は睨みつけてきた。
「何の用だ。」
「それはこちらの台詞よ。私は魔族領に攻め込んできた貴方達を止めに来ただけ。総軍団長として、当然だと思うけれど?」
「魔王を倒すのが勇者である俺の役目だ。なぜ人族である貴様が味方をする?魔王はもとより、魔族も人族にとって恐怖の象徴でしかない。魔族は人族を襲う。ならば滅ぼすしかないだろう?」
「ならば、立場を逆にして考えてみなさい。魔族にとって、人族は自分達を殺しに来る者。何もしていないのに殺される。」
「はっ!何を言うかと思えば、そんなことかよ。」
「そんなことですって?」
「ああ、そうさ。魔物は人を襲う。そして魔物を操っているのは魔王だろうが!」
「はぁ……つくづくお馬鹿さんなのね…。」
「何っだと!」
「魔物を魔王殿が操れるわけないじゃない。」
「何言ってやがる!魔王は魔物を操り、人族を襲わせているんだよ!魔族だって操れる。奴らに感情なんてものはねぇ!」
「魔族に感情がない?彼らは人と同じように、親に育てられ、学び、恋をし、新たな家庭が生まれる。人族と何も変わらない生活をしている。魔物が人を襲うのは、動物が魔力の暴走により凶暴化しているだけ。魔族にも同じことが起こりうる。」
「そんなこと…誰が信じるかよ!」
「魔族は『魔物に近しい者』ではない。『魔力に近しい者』よ。人も魔力の制御を完全に失った時、魔人となるでしょう?同じことよ。私が今話したことを踏まえて、もう一度自分の行動を振り返りなさい。お前が行っているのはただの殺戮だと、理解することね。」
「そんなことは……そんなことは関係ない!俺は勇者だ!ならば魔王を倒す義務がある!」
「頭が悪いのも大変ね。仕方ないわ。この魔族領全体に、勇者が入れないようにする結界を張っておきましょう。 ではまたいつか。せいぜい考えを改めることね。」
「てめぇ!!!」
私はゼイス達を隣国ではなくテイナーシュ王国まで飛ばした。
とんでもない距離の瞬間移動を、相手のみにかけたのだ。
これだけで、一国を滅ぼせる力を有しているということの照明である。
もう二度と、ゼイスを魔族領へと入らせはしない。
そう思い、結界を張った。有言実行だ。
後は5日後を待つのみ……。
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