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キャラダイスでの大事件
どうしてこうなった
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・どうしてこうなった
エリザベスのフリーフォールの楽しみ要はすさまじかった。もっと高い所から落ちてほしい、もっとぎりぎりまで攻めてほしい、ここではなくて水辺ならもっと違うことができるのでは? などなど要求がエスカレートしていった。最初こそタンポポを通じて俺に要求を伝えてきていたが、途中からタンポポが俺に伝えるのをためらい始めたのを感じて、俺に直接ジェスチャーで要求を伝え始めた。途中からタンポポは完全にギブアップしてしまい、普通に飛んで移動するときは乗ってくれるものの、フリーフォールの時には地上でお留守番をするほどだった。俺も箒の身体になれるための運動として申し分なかったので、出来る限り、エリザベスの要求にこたえていった。
エリザベスも家出していたことをすっかり忘れて、フリーフォールの更なるスリルを研究するのに夢中になって気が付けば夕方。
「エリザベスもそろそろ帰るように声をかけてもらえるか?」
「わ、わかりました……エリザベス様、そろそろ帰りませんか?」
「▲▲」
エリザベスの声は穏やかで否定している様子はない。タンポポも頷いてエリザベスと2人で俺に乗っかる。エリザベスの握力は疲れからか、それとももう完全になれてしまったからか俺を握る手の力はとても弱くなっていた。
「悪い、タンポポ、少しだけ高度をあげる」
「え、あ、はい! エリザベス様少しあがるみたいなのでしっかり掴まっておいてください!」
時刻は夕暮れ、夕陽がタンポポたちが住む町は森があり、山があり、自然が豊かだ。そんな町が夕陽に照らされている風景というのは俺のいた世界では絶対に見られない風景である。山にゆっくりと消えていく夕陽、町がだんだんと夜に変わっていく瞬間を高い所から見下ろしていると特別な存在になった気分になれる。
「うわぁ……綺麗ですね」
タンポポの言葉にエリザベスがうなずいて、箒の柄をばしばしと叩く。ここ数時間でエリザベスが俺に用事がある時にするようになった合図だ。エリザベスが懐から意匠が施された指輪のようなものとこじんまりとした袋を取り出す。袋の中は見たことのないコインが入っておりそれをとりだし、俺の方へと突き出してくる。それと同時に指輪の意匠をみせつけるようになにかを大声で叫び始める。
「へ!? だ、だめですよ! 箒はともかく、ヤクモさんはモノではないですから! その白金貨もしまってください! 落としたらどうするんですか!」
あぁ、なるほど、俺を雇いたいというよりは俺を購入したいということを俺に直接話していたのか……タンポポの反応からするとあのコインは簡単にはお目にかかれないかなり高価なものらしい。なににしても何が交換条件に出されたとしても俺の気持ちは決まっている。
「断っておいてくれ……タンポポたちとは約束があるし」
何よりもタンポポたちというよりはタンポポと離れたいとは思っていない。話ができるし可愛らしい。俺と会話が成立するのは死霊術士ギルドの面々たちだけで今の俺のなくてはならない居場所はあそこである。
「ヤクモさんも断っています」
「▲▲▲! ▲▲!」
「なら、徴兵するって何言っているんですか! ヤクモさんは住民ではないので、無理矢理徴兵はできません!」
領主は何気に徴兵する権限も持っているのか……確かに俺は住民ではないので徴兵に応じる義務もない。タンポポが徴兵されたらまぁ、ついていくしかないがそうならないことを祈るしかない。タンポポとエリザベスが言い合っている内に俺はエリザベスの家へと移動する。ここで気が変わられても困る。たったと送り届けたら暫くは指名依頼には注意するしかない。
領主の家に近づいていくと上空からわかるほどに慌ただしくなっていることがうかがえた。そういえば、エリザベスは誰にも知らせずに家出をしたのだった……面倒なことになっていないといいのだが、とりあえず門番から少し遠い所に着陸する。
着陸して、命綱につないでいたロープを解く前にエリザベスはいの一番に俺に対して上目遣いでうるんだ目を向けながら、手招きしたり、ぼろぼろになったドレスの裾からちらっと可愛らしい足を見せて絶対になれていないだろうセクシーなポーズをしてくる。しまいには再び白金貨を取り出して思い切り頭を下げたりも始める。可愛らしいなとは思うが、それ以上はない。その間にタンポポは自分の分のロープをナイフで切って解いて身軽になっていた。
「●●●●!」
男の野太い声が響く。簡素な鎧と槍を装備した、朝に見た門番の人だった。おそらく、門番たちや動ける兵たちが総出になってエリザベスを探していたのだろう。そして、探していたエリザベスを発見したから騒いでいると。
そのエリザベスのドレスはぼろぼろで、身体は浮いている箒にかなり強固に結ばれている。しかも手には白金貨が乗せられており、頭までさげている。なるほど。
そして、その傍らにいるタンポポの手にはナイフがあると。なるほど。
ピィィィィィィィィィィィィ! と甲高い笛の音が響く。異世界でも笛の音色は似たようなものなんだなぁと現実逃避。
わかっている、わかってる。これは問答無用なやつだ。
エリザベスのフリーフォールの楽しみ要はすさまじかった。もっと高い所から落ちてほしい、もっとぎりぎりまで攻めてほしい、ここではなくて水辺ならもっと違うことができるのでは? などなど要求がエスカレートしていった。最初こそタンポポを通じて俺に要求を伝えてきていたが、途中からタンポポが俺に伝えるのをためらい始めたのを感じて、俺に直接ジェスチャーで要求を伝え始めた。途中からタンポポは完全にギブアップしてしまい、普通に飛んで移動するときは乗ってくれるものの、フリーフォールの時には地上でお留守番をするほどだった。俺も箒の身体になれるための運動として申し分なかったので、出来る限り、エリザベスの要求にこたえていった。
エリザベスも家出していたことをすっかり忘れて、フリーフォールの更なるスリルを研究するのに夢中になって気が付けば夕方。
「エリザベスもそろそろ帰るように声をかけてもらえるか?」
「わ、わかりました……エリザベス様、そろそろ帰りませんか?」
「▲▲」
エリザベスの声は穏やかで否定している様子はない。タンポポも頷いてエリザベスと2人で俺に乗っかる。エリザベスの握力は疲れからか、それとももう完全になれてしまったからか俺を握る手の力はとても弱くなっていた。
「悪い、タンポポ、少しだけ高度をあげる」
「え、あ、はい! エリザベス様少しあがるみたいなのでしっかり掴まっておいてください!」
時刻は夕暮れ、夕陽がタンポポたちが住む町は森があり、山があり、自然が豊かだ。そんな町が夕陽に照らされている風景というのは俺のいた世界では絶対に見られない風景である。山にゆっくりと消えていく夕陽、町がだんだんと夜に変わっていく瞬間を高い所から見下ろしていると特別な存在になった気分になれる。
「うわぁ……綺麗ですね」
タンポポの言葉にエリザベスがうなずいて、箒の柄をばしばしと叩く。ここ数時間でエリザベスが俺に用事がある時にするようになった合図だ。エリザベスが懐から意匠が施された指輪のようなものとこじんまりとした袋を取り出す。袋の中は見たことのないコインが入っておりそれをとりだし、俺の方へと突き出してくる。それと同時に指輪の意匠をみせつけるようになにかを大声で叫び始める。
「へ!? だ、だめですよ! 箒はともかく、ヤクモさんはモノではないですから! その白金貨もしまってください! 落としたらどうするんですか!」
あぁ、なるほど、俺を雇いたいというよりは俺を購入したいということを俺に直接話していたのか……タンポポの反応からするとあのコインは簡単にはお目にかかれないかなり高価なものらしい。なににしても何が交換条件に出されたとしても俺の気持ちは決まっている。
「断っておいてくれ……タンポポたちとは約束があるし」
何よりもタンポポたちというよりはタンポポと離れたいとは思っていない。話ができるし可愛らしい。俺と会話が成立するのは死霊術士ギルドの面々たちだけで今の俺のなくてはならない居場所はあそこである。
「ヤクモさんも断っています」
「▲▲▲! ▲▲!」
「なら、徴兵するって何言っているんですか! ヤクモさんは住民ではないので、無理矢理徴兵はできません!」
領主は何気に徴兵する権限も持っているのか……確かに俺は住民ではないので徴兵に応じる義務もない。タンポポが徴兵されたらまぁ、ついていくしかないがそうならないことを祈るしかない。タンポポとエリザベスが言い合っている内に俺はエリザベスの家へと移動する。ここで気が変わられても困る。たったと送り届けたら暫くは指名依頼には注意するしかない。
領主の家に近づいていくと上空からわかるほどに慌ただしくなっていることがうかがえた。そういえば、エリザベスは誰にも知らせずに家出をしたのだった……面倒なことになっていないといいのだが、とりあえず門番から少し遠い所に着陸する。
着陸して、命綱につないでいたロープを解く前にエリザベスはいの一番に俺に対して上目遣いでうるんだ目を向けながら、手招きしたり、ぼろぼろになったドレスの裾からちらっと可愛らしい足を見せて絶対になれていないだろうセクシーなポーズをしてくる。しまいには再び白金貨を取り出して思い切り頭を下げたりも始める。可愛らしいなとは思うが、それ以上はない。その間にタンポポは自分の分のロープをナイフで切って解いて身軽になっていた。
「●●●●!」
男の野太い声が響く。簡素な鎧と槍を装備した、朝に見た門番の人だった。おそらく、門番たちや動ける兵たちが総出になってエリザベスを探していたのだろう。そして、探していたエリザベスを発見したから騒いでいると。
そのエリザベスのドレスはぼろぼろで、身体は浮いている箒にかなり強固に結ばれている。しかも手には白金貨が乗せられており、頭までさげている。なるほど。
そして、その傍らにいるタンポポの手にはナイフがあると。なるほど。
ピィィィィィィィィィィィィ! と甲高い笛の音が響く。異世界でも笛の音色は似たようなものなんだなぁと現実逃避。
わかっている、わかってる。これは問答無用なやつだ。
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