男子校で親友2人と大恋愛!?〜宇宙人の出世がかかっているらしいです〜

ろっぽんせん

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夏休み

とある日の夏休み午後!

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 夕方になると花火大会の会場付近には屋台が出始める。食欲をそそるいい香りや音、輪投げやくじを引いて一喜一憂する子どもたちの声、そこから少し離れたところが遥と仁の待ち合わせ場所だった。

「うぉ、もういた、待たせたか?」
「いや、だいじょう……おぉ」

 現在、待ち合わせの20分前。仁は待ち合わせの一時間前からスタンバイしていた。少しでも遅れるかもしれない可能性を無くしたかったのだ。更にデートお決まりのセリフである『今来たところ』を言いたかったのだが、仁の言葉は準備していた言葉を発することはできなかった。遥が甚兵衛を着ておりいつもとはまた違う雰囲気でやってきたのだ。そちらに見惚れてセリフが完全に飛んでしまった。

「ん、あぁ、これ? ドドの奴が着ていけ着ていけってうるさくてな……ここに来るまでは少し恥ずかしかったけど案外、会場近くは浴衣とか甚兵衛着てる人が多くて安心したよ」
「そ、そうか、言ってくれたら僕も準備したんだがな」

 仁は予想外の状況に準備していた会話デッキが完全に吹き飛んでしまう。ここに来る前も事前に下見をしており、どこにどんな屋台があるか把握したはずなのにそれも完全に頭から抜けてしまう。

「それじゃ、いつもどおり混む前においしそうなものに目星つけて、ちょっと遊んだら、ご飯買って山登ろう」
「あ、あぁ」

 遥自身は何も気にすることなくいつもと同じような感覚で会話して、屋台を見るべく歩き回る。仁も慌てて追いかけるが、すでにほんのり混雑し始めている会場では見失わないようにするのがやっとである。少しすると遥が人のいない道路の端の方へと移動したので仁もようやく追いつくことができた。

「あ、いたいた……いやぁ、いつもは動くランドマークの順がいたから迷子にならずに済んでたんだな。俺視点だと仁全く見えなくて焦ったわ」
「あ、あぁ、そうだったのか。そういえば、知らず知らずに順を目印にしていた気がするな」

 いなくなって初めてわかるありがたみである。大人と比べても頭1つ抜けている順の身長は見つけやすくいい目印だった。そんな順は今はここにいない。

「はぁ……しゃーない。高校生にもなってすることじゃないけど」
「……あ、あぁ、まぁ、しかたないな」

 仁は順の名前が出てきたので少し不機嫌になりかけたが、遥に手を差し出されたことで一瞬で上機嫌になる。付き合っているとか仲が良いからではないという点は仁にとっては少し残念だったが、お互いを見失わないようにするために遥と仁は屋台を手をつないで見て回った。
 会場は思ったよりも人が多く、遊んでいる暇はないと判断した仁と遥は早めに屋台で食べたいご飯を購入すると会場近くの山に登り始めた。遥の下駄がからんころんからんと小気味よい音を出しながらの山登りである。当たり前といえば当たり前なのだが、山に登るための靴というには心許なさすぎる装備である。いくら気軽に登れる山とはいえ山を舐め過ぎていた。

「く、靴擦れっていうか下駄ずれ? いてぇ……」
「す、すまん。僕が最初に気が付くべきだった。ば、絆創膏はあるから貼っておくと良い」

 いつも花火を見る特等席まで奇跡的に登ってくることが出来たが遥はもうしばらくは動けないだろう。

「そんな顔するなって、それに俺はやべぇかなってちょっと思ってたけど登ったんだから自業自得だし……まぁ、花火見てから考えよう」
「無理そうなら言ってくれよ? あぁ、そうだ。花火を見ている間はこうしよう」

 遥たちが花火を見るのは頂上付近の休憩できるベンチである。このベンチ、背もたれなんて言う気が利いたものはないただ座るだけのベンチである。

「いや、悪いな……重くないか」
「こ、これぐらいならなんともないさ」

 下駄を履いているだけでもつらい遥は下駄を脱ぎベンチに両足を乗せる。そして、その背中を仁が支えているのだがすでに震えており遥は少し心配していた。
 しかし、その震えはいつもと違う雰囲気の遥と肉薄してその体重を支えるという仁にとって異次元過ぎる状態に震えているだけだった。
 その年の花火大会は仁にとって最高の花火大会になったのはいうまでもなかった。
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