男子校で親友2人と大恋愛!?〜宇宙人の出世がかかっているらしいです〜

ろっぽんせん

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夏休み

とある日の夏の終わり

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 夏の終わり。遥は暇だった。順は実家の酒屋の手伝い、仁は夢を見なくなったとか何とかで、遥からしてみれば十分すぎるほど勉強しているのに残りの夏休みは全て勉強に使いたいらしい。

「将来叶えたい夢がある奴は違うなぁ……さすがは仁だ」

 その目標は安定した職業について遥を養いたいという夢だということを遥は知らない。

「んでも、順にも断られるとはなぁ……3日連続で断れるとは思わなかった。欲しいものでもあるんかね」

 遥の予想は半分正解、半分ははずれだった。たしかに欲しいものはあるのだが、その欲しいものは順が欲しいものではなかった。10月が遥の誕生日だ。ただの誕生日ではない、高校最後の誕生日であり、さらに言えば仁がライバルだとわかった最初の誕生日である。順は順なりに自分の強みは何か考えた結果が、自分が頑張れば自由にできるお金は仁よりも圧倒的に多くなるという点である。遥に仁よりも良いプレゼントを渡したい。ただそのためだけに頑張っているのである。
 そんなことを全く知らない遥は久しぶりに1人で街をうろうろする。何か3人で遊べそうな面白いものを見つけるのが目的のうろうろが遥がひとりの時の過ごし方だった。
 と言っても十数年過ごしてきた街、大きな変化があるわけがない。もう3人で遊べそうなところは大体遊びつくしてしまっている。こうなってくると電車を使って遠くに行くか新しいゲームを買うぐらいしかなくなってくる。

「うーん。駅と中古ショップの間か……」

 近い方へ行ってみようかと思ったが距離的にはどっちもどっち。とりあえず、近くの公園で休みながら1人作戦会議を開くために歩き出そうとすると背後から声が聞こえてくる。

「かわいいねー。ちょっと俺たちと遊ばない? カラオケとかさ」
「おいしいデザート出してくれるカラオケしってるんだよね。だめ? いいでしょ?」
「え、えー。うーん、もえ的には君たちはないよりのなしだからいきたくないなぁって」
「そんなこといわずにさぁ、あ、もちろんおごりだよ?」

 まだまだ日が高いというのにナンパである。見た所同年代の男子が同年代の女子に絡んでいる。男子たちに見覚えはないが脱色した髪といかつい服装で周りを威圧している感じは品行方正とは言いにくい、不良と言える奴らだ。女子の方は女子の方で髪をピンクに染めて、着ている制服もどこの制服かわからないぐらいに改造して着こなしているので似た者同士なのかもしれない。

「あ、そこのひとー! もえをたすけてくれるとうれしいなぁ!」
「げっ」

 遥ともえと名乗る女子の目がばっちりと合ってしまう。遥は出来る限りすばやく目をそらしたが、もえは気にせず遥に声をかけてくる。まわりの不良たちが一斉に遥を睨みつける。不良たちにとっては遥は突然現れた敵である。不良たちが目くばせをして何人かは遥の方へとやってくる。

「おい、チビ。あいつと知り合い? お友達?」
「いやー。知らない人。俺、自慢じゃないけど友達って少なくてさー。それに男子校だから女子の友達なんていないいない」
「男子校? あっそ、ならひっこんでろよ。チビ」
「……おい、ちょっと待て。この辺の男子校っていったらあそこしかねぇべ? え、この身長で高校生かよ」
「男子校でチビ……お、おい、チビ……さん。な、名前教えろや」

 遥より身長の高い不良たちが遥を囲む。大声を出してくれれば周りの人も異常に気が付いてくれそうなものだが、慣れているのか小声ですごんでくる不良たち。しかし、不良たちの勢いは目に見えて勢いを失う。

「は、遥っていいます。よろしく」
「あ、あー……そ、そっすか。あ、はい」

 名前を聞いた途端、不良の1人がもえの傍で待っていたリーダー格であろう人物と話す。リーダーと思われる人物の顔色が面白いぐらいに変わる。不良たちがアイコンタンクとを取ると全力で走り逃げていく。
 順、ありがとう、でもなにしたんだろう。遥は心の中で順の事を思い出し感謝もしたがやや困惑の方が勝った。

「やー、きみつよいねぇ。ふーん。けっこういいかも? はい、これもえの連絡先! きみのも頂戴?」

 ふわふわと甘い香りをさせながら、もえが連絡アプリのコードを映す。ぐいぐいとその画面を見せつけてくるので遥はその勢いに押されて連絡先を交換する。

「もえ、今、彼ピいないから、えっと……これなんて読むの?」
「はるかだけど」
「よし、なら、はるるんはもえの彼ピになってよ」
「はい??」

 そこからは大変だった。推しが強すぎるもえに遥は押されに押されてプリクラを撮ったり、映えるらしいスイーツを食べに行ったりと全力で振り回されまくったのである。男子校で女子に耐性がない遥は女子ってこんなにパワフルなのかと感じながら振り回されまくり……解放されたのは門限ギリギリ。

「た、ただいま……」
「おや、おかえりなさい。ぎりぎりでしたね? なにかありました?」
「な、なんかよくわからん女の子とデートしてきた……」
「はい???」
「言いたいことはわかるから、ドド、久しぶりにあれ見せて」

 ドドがうなずいて空中で手を動かす。本来は見せてはいけないんですよと前置きをしてから映し出したのは数か月ぶりに見る恋愛的好感度を示す表。

 冴木・仁 99
 割田・順 99
 198/200

 変わっていないことを喜ぶべきか嘆くべきか……なんにしてももえの名前がないことを確認した遥はもうもえが連絡してくることはないのだなと少しだけ悲しくなるのだった。
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